前回に続き、今回の滝ガール旅も紅葉と滝のコラボレーションがテーマです。前回「袋田の滝」(記事はこちら)は関東エリアでしたが、今度は西へ。三重県名張市、赤目四十八滝です。
所在地は三重県ですが、名古屋、京都、大阪、奈良などいずれのエリアからもアクセス良好。最寄りの近鉄赤目口駅から渓谷入り口までのバスが出ているので、マイカーでなくても手軽に楽しめます(電車でのアクセスなら、近鉄の「赤目四十八滝 渓谷の自然探勝きっぷ」がおすすめです)。
赤目四十八滝は「滝川」沿いに約4キロメートルにわたって、無名のものも含めると大小50以上の滝が見られる渓谷が続きます。日本の滝百選のひとつにも選ばれており、古くから観光地としても有名な場所。遊歩道も整備されているので、山歩きにあまり慣れていない方でも安心です。
次々に現れる風情あふれる滝たち
紅葉の見ごろは例年11月上旬から下旬。標高の高い場所から順に色づきはじめ、落葉したあとは水面に浮かぶ様子も楽しめます。比較的長めに紅葉が楽しめるスポットです。
数多くの滝が存在する渓谷で、特に見どころとされている5つの滝が「赤目五瀑」と呼ばれているのですが、中でも私がお気に入りの3つがこちらです。
ひとつめが、千手滝(せんじゅたき)。
滝の流れが「千手観音様の手」のようだとして名付けられたといわれています。確かに、観音様のような落ち着いたたたずまい。滝の向かい側には茶屋があってにぎわってはいるのですが、この滝を眺めていると静かな気分になれるのが不思議です。
この滝の脇にそそり立つ岩壁も色とりどりの紅葉に彩られ、見事な景観ですよ。
千手滝の次にすぐ現れるのが、布曳滝(ぬのびきたき)です。落差は30メートル。細い布をかけたように落ちる滝で、こちらもまたしっとりとした風情なのですが、滝壺の深さはなんと約30メートルもあるそうです。
渓流沿いには巨岩がゴロゴロと転がっていますが、「七色岩」という珍しい紅葉スポットもあります。7種類の植物(マツ・モミ・カエデ・サクラ・アカギ・ウメモドキ・ツツジ)が自生するという珍しい岩。グラデーションで紅葉していました。
そして渓谷随一の人気の滝が、こちらの荷担滝(にないたき)です。
赤や黄色の彩りをまといながら流れてくる滝は、とろりとした深緑色をたたえる滝つぼに白い影となって吸い込まれるように消えていきます。滝の前にしばしたたずんで、この芸術的な風景を堪能していただきたいです。
ちなみにこの先、渓谷の一番奥の岩窟滝までは、片道90分とややハード。荷担滝で折り返してくるくらいでも十分楽しめるでしょう。
忍者、ライトアップも……変わった滝の楽しみ方
赤目四十八滝は、さまざまな楽しみ方ができるのもポイントです。
ちょっと変わったところでは「コスプレ」。名張市のお隣、伊賀市といえば「忍者」のふるさとなのですが、赤目四十八滝も当時は忍者の修行スポットのひとつだったそうです。
というわけで、滝の入り口では忍者衣装の1日レンタルもしています。私はやってみたことはないですが、実際にカラフルな忍者たちがそろって歩いているのは、かなり目立ちます(海外の観光客の方がよく楽しんでいらっしゃいます)! 滝の近くの「忍者の森」では、忍者修行体験もできますよ。
「夜の滝」を訪れてみても、また違った雰囲気を味わうことができますよ。紅葉時期には夜間のライトアップも実施しています(11月27日まで、夕暮れから午後8時まで)。
滝周辺には温泉宿も多くあります。ゆっくり温泉に滞在して夜のライトアップや朝の静かな渓谷の散策まで満喫するのもいいですね。
滝のお土産には、名水のお酒をどうぞ
ちなみにこの赤目四十八滝、平成の名水百選にも選ばれているだけあって、流れている水の清涼さにも驚かされます。
名瀑を楽しんだあとには、赤目四十八滝の伏流水を仕込み水として使ったお酒を堪能してみてはいかがでしょうか。
瀧自慢酒造の「瀧自慢」は、まろやかな軟水によって仕込まれたふくよかな味わい。2016年の伊勢志摩サミットでも提供された、三重の代表的なお酒です。
地元の人が「自慢」したくなる気持ちもわかる、滝の恵みです。ぜひお土産に買って、ゆっくり余韻を味わってみてくださいね。

滝ガール。2015年まで日経BP社に編集記者として在籍。学生時代から10年以上、趣味の滝めぐりで日本全国を行脚。2013年に自身の滝活動の情報発信サイト「takigirl.net」を開設。日本の滝のポテンシャル、楽しみ方をウェブサイトや雑誌で情報発信するほか、都会で暮らす女性向けに滝めぐりのレクチャーや滝yogaイベントを開催している。 http://takigirl.net/