「紅葉」の慣用句いろいろチャレンジことばのドリル第31回

鮮やかな紅葉の季節となった
鮮やかな紅葉の季節となった
「失笑」の正しい意味を知っていますか? 間違って使っている人が多いようなので、出題しました。このほか今回は「紅葉(もみじ)」のつく慣用句や、おでん種の「つみれ」の漢字表記、本来の意味とは違った意味で使われやすいことばに関する問題を用意しました。ちょっとした話のタネに、ぜひチャレンジしてください。

【問1】読み方が正しいものはどれですか。

1)叱咤(しったく) 2)捺印(ないん) 3)知己(ちき) 4)真摯(しんしつ)

【問2】誤字がなく正しいものはどれですか。

1)旧態依然 2)国政調査 3)野郎自大 4)粉骨砕心

【問3】ありえないことが起こったり、身分の低い者が急に出世したりすることを「山の芋が□になる」といいます。□に入る語は次のうちのどれですか。

1)蛇(へび) 2)蕎麦(そば) 3)饅頭(まんじゅう) 4)鰻(うなぎ)  

【問4】次に挙げた「紅葉(もみじ)」のつく慣用句のうち、意味が間違っているものはどれですか。

1)紅葉に鹿=取り合わせのよいもののたとえ

2)(顔に)紅葉を散らす=酒を飲んで顔が赤くなる

3)紅葉のような手=幼い子の、小さくてかわいらしい手の形容

4)紅葉に置けば紅(くれない)の露(つゆ)=環境によって見え方が変わることのたとえ

【問5】おでんや鍋料理の具としてよく使われる「つみれ」は漢字でどう書きますか。

1)摘入 2)積入 3)詰入 4)爪入

【問6】キリストの降誕を待ち、11月下旬からクリスマス前日まで準備をする期間を何と呼びますか。

1)イースター 2)レント 3)アドベント 4)ペンテコステ

【問7】次に挙げた「霜」がつく熟語のうち、「白髪」を意味しないものはどれですか。

1)霜蓬(そうほう) 2)星霜(せいそう) 3)霜雪(そうせつ) 4)霜鬢(そうびん) 

【問8】「失笑」の意味として最も適切なものはどれですか。

1)笑ったりして打ち解けて語り合うこと

2)こらえきれずに、ふきだして笑うこと

3)笑いも出ないくらいあきれること

4)相手をばかにしたように笑うこと

【問9】太字にした語句が本来の意味で最も適切に使われている文はどれですか。

1)土砂崩れで幹線道路が1カ所寸断された。

2)雨のため本日の社内野球大会はあさってに順延する。

3)経営会議に1人の若手社員が突然乱入した。

4)君が薦めてくれた短編小説は珠玉の小品だった。

【問10】次の文章には間違いが3カ所あります。どこが間違っているか答えてください。(出題用に創作した文章です)

「今からうちでゲームしようぜ」「ごめん、きょう用事あるからまた今度ね」。バスケ部の練習を終えた僕は自転車にまたがりながら、そう言って友達と別れた。待ちに待った新しいゲームソフトが発売されたばかりだったから、友達の家に行って一緒に遊びたかったが、じっとこらえて自転車を走らせた。

大きなリュックを背負いながら、学校から10分ほどの距離にある病院へ向かった。僕は週2回学校帰りに病院に行く。自分のけがとか病気ではない。母が入院しているからだ。父は働きずくめでいつも帰りが遅く、妹はまだ小学生で、中学生の僕が母の着替えなどを届けることになっていた。

「これ、電話でお母さんが言ってたの持ってきたよ」「ありがとう、部活どうだった?」。母は手術からだいぶ調子が戻ってきたようで、僕の学校の勉強や部活のことをいろいろ聞きたいようだった。でも、長々と話すと余計な心配をするのではないかと思い、ずっとうなずくだけで、あまり自分からは話さなかった。

母の病気は女の人がなりやすいがんだと病院の先生は言っていた。病気のことや母がこれからどうなるか詳しくは分からなかった。父は「心配することはない」とずっと言っていたし、一回だけ先生が説明してくれたときも「これからお母さんは良くなるからね」と言われただけだった。がんと聞いて、少し怖い気もしたけれど、母が徐々に元気になっていくのを見ていたから、あまり心配はしていなかった。

「あら、来てたの? みかんあるからこっちにおいで」。そろそろ帰ろうと思って椅子から立ち上がったとき、母の隣のベッドにいたおばあさんが声をかけてきた。「お母さんの言うことちゃんと聞かなきゃだめよ」「勉強もバスケも一生懸命やるんだよ」「好きな子はいるの?」。そのおばあさんはいつも僕に同じことを話しかけてきた。いい人なのだろうけれど、あまり話しかけられて長い時間いるのが好きじゃなかった。母がいる部屋は女の人しかいなくて、なんとなく恥ずかしかったし、母といるのをほかの人に見られるのが嫌だったからだ。

おばあさんは1年以上この病院に入院していると聞いた。具合はあまり良くないらしく、なかなか治らない病気だと母は話していたけれど、おばあさんはいつも明るかった。いつもそのおばあさんの周りには人が集まっていて、母も他の入院している人も、ずっとおしゃべりをしていた。

「塾行く前、コンビニ寄っていこうぜ」「ごめん、きょうは塾休むから」。母が入院してから1カ月。毎日のようにバスケの練習や塾があった。きょうも冬期講習の特訓コースがあったけれど、家族みんなで母を迎えに病院に行くことになっていたから熟は休むことにした。やっと母が退院することになったのだ。母は退院してもしばらく定期的に病院に行かなくてはいけないけれど、体調も良く、先生から退院の許可が下りた。父と妹は先に病院に行っていて、僕はバスケの練習が終わった後に合流することになっていた。これから病院に行くことがなくなるのはよかったし、母が家に帰ってくることが何よりうれしかった。

「お母さん、お待たせ」。母は父と妹と笑いながらしゃべっていた。母の笑顔を見てほっとした。久しぶりに家族みんなで笑った気がした。「ありがとう、じゃあ行こうね」。母が立ち上がろうとしたとき、隣のベッドに何もないことに築いた。「あれ、おばあさんは?」。僕が聞くと、母が続けた。「おばあさんはねえ、きのう退院したのよ」。僕はなかなか言葉が出なかった。おばあさんは家に帰れたの? おばあさんは大丈夫なの? 頭の中でいろいろなことが思い浮かんだけれど、僕は何も聞かなかった。

(解答と解説)

【問1】3

1)は「しった」、2)は「なついん」、4)は「しんし」が正しい。

【問2】1

2)は「国勢調査」、3)は「夜郎自大」、4)は「粉骨砕身」が正しい。

【問3】4

似たような意味を表すことわざとして「雀(すずめ)海中に入(い)って蛤(はまぐり)となる」がある。

【問4】2

「(顔に)紅葉を散らす」とは、(若い女性が)恥ずかしさのあまり、顔に紅葉を散らしたかのように顔を赤らめる様子。1)の「紅葉に鹿」と同じく、取り合わせのよいもののたとえとして「梅に鶯(うぐいす)」「獅子に牡丹(ぼたん)」「竹に虎」などがある。4)の「紅葉に置けば紅の露」は、白い露も紅葉の上に置くと紅の露に見えることから。

【問5】1

「つみれ」は「(ツミイレの約)魚の擂(す)り身に卵・小麦粉・塩などを加えてすり合わせ、少しずつすくい取り、ゆでたもの。鍋の具や汁の実とする」(「広辞苑第六版」岩波書店)。「抓入」とも書く。「抓」はつまむ、つねるの意。

【問6】3

「アドベント」は「到来」を意味するラテン語に由来。日本語では「待降節」などという。1)の「イースター」はキリストの復活を祝う日で、春分を過ぎて最初の満月の次の日曜日。復活祭。2)の「レント」は「受難節」ともいい、イースターを迎える前の準備期間。4)の「ペンテコステ」はイースター後50日目。聖霊降臨祭。

【問7】2

「星霜」は歳月、としつきのこと。星は一年に天を一周し、霜は毎年降ることから。1)の「霜蓬」は霜が降りて枯れた蓬(よもぎ)。転じて、乱れた白髪頭のたとえ。

【問8】2

「失笑」とは「思わず笑い出すこと。こらえきれずに、ふき出すこと」(「明鏡国語辞典第二版」大修館書店)。「失」は「失う」ではなく、「失言」「失火」などと同様に、抑えきれずに、またはうっかり外へ出してしまうという意味。文化庁の「国語に関する世論調査」(平成23年度)で「彼の行為を見て失笑した」という例文を挙げ、「失笑する」の意味を尋ねたところ、本来の意味である「こらえ切れず吹き出して笑う」(27.7%)よりも本来の意味ではない「笑いも出ないくらいあきれる」(60.4%)を選んだ人の方が多いという結果が出ている。1)は「談笑」、4)は「嘲笑」または「冷笑」。

【問9】4

1)の「寸断」とは、ずたずたに断ち切ること。土砂崩れなどで道路が1カ所だけ塞がれた場合などに使うのは適切ではない。2)の「順延」は、今日が中止なら明日、明日も中止ならあさってというように、順繰りに日を延ばすこと。「あさってに順延」ではなく「あさってに延期」とするのが正しい。3)の「乱入」は「おおぜいが一時に怒濤(どとう)のごとき勢いでその域内に入りこむこと」(「新明解国語辞典第七版」三省堂)。近年は人数の多少にかかわらず「乱暴に(無法に)押し入ること」の意味で使われることも多く、「おおぜい」を語義に含めていない辞書もあるが、本来の意味は「おおぜいがなだれこむこと」と覚えておきたい。4)の「珠玉(しゅぎょく)」は真珠と宝石のことで、美しいものや優れたものをほめたたえるときに使う言葉。ただし、真珠や宝石は小さくて美しいものの形容なので、大きいものや長いものに対して用いるのは適切ではない。「珠玉の大作」「珠玉の長編小説」などと使うのは誤用。

【問10】

1)×働きずくめ→○働きづめ。2)(最後から2段落目)×熟は休むことにした→○塾は休むことにした。3)×築いた→○気付いた。

10問正解は日本語の達人、9問=言葉の上級者、8問=言葉に自信を持ってもいいでしょう、7問=言葉でそんなに恥をかくことはないでしょう、6問=ひょっとしたら時々、恥をかいているかもしれません、5問以下=言葉の勉強をしてみませんか。なお、問10は3カ所すべて正解して1問分の正解とします。

(編集=日本経済新聞社記事審査部)