失敗しない中古マンション購入、耐震性の見極め方不動産コンサルタント 長嶋修

2016/11/2

不動産リポート

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中古マンション購入で最も大切なチェックポイントの一つが建物の「耐震性」。大きな目安となるのはいわゆる「新耐震基準」を満たしているかどうかだ。新耐震基準の建物は阪神大震災の際に全壊が少なかった。一方で、旧耐震建物の中には大破・倒壊したものもあれば、問題なく継続使用できたものもありと、まちまちだった。

この新耐震基準は、1978年に発生した宮城県沖地震の被害を受け、81年に建築基準法が改正されたものだ。この基準を要約すれば、「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」といったものだ。

建築基準法改正は81年6月1日に施行された。建築工事は着工前に建築確認を申請して、確認済証が交付された後に着工される。81年6月1日以降に建築確認申請が受理されていれば新耐震の建物となり、それ以前なら旧耐震基準で建てられているということになる。

ところが中古マンションの物件情報には、建築確認申請の受理日の記載がなく、建物の完成(竣工)年月がわかるのみである。従って新耐震基準を満たしているかどうか見極めるには、建築工事期間を考慮に入れる必要がある。マンションは工期が長く、規模にもよるが着工から完成までに1~2年近くかかるのが一般的。

もし、物件の完成年月が83年もしくは84年以降であれば、新耐震基準で建てられていると考えてよいだろう。目安として、おおむね築30年以内(2016年時点)であれば、新耐震基準でつくられているため現行の耐震基準を満たしているといえよう。

もちろん、新耐震基準以前に建築されたいわゆる「旧耐震」のマンションであっても、新耐震基準と同等の設計をしているものは数多くあり、構造面、管理面などを含めて個別にチェックすることが大切だ。

具体的に建築確認申請受理日を知りたければ、不動産仲介会社に調べてもらうか、自治体の建築確認担当部署に赴いて尋ねてみるのも良いだろう。

旧耐震の建物に対しては、耐震診断を受け、その結果に応じて必要な耐震改修をしているかどうかが評価の一つの目安となる。ただし、現実にはそうした耐震診断を受けている物件は多くなく、また耐震診断を受けても改修までは行っていないマンションも多い。

竣工図面がなかったり、費用がなかったり、住民間の合意が得られなかったりと多くの課題があり、国や自治体も耐震診断や改修に助成措置を講じているものの、なかなか進んでいないのが実情だ。そうしたことを理解した上で、購入の可否を判断することが大切だ。

【旧耐震基準物件】
・耐震診断を受けていることが望ましい
・耐震補強が必要な建物が含まれている
・耐震診断実施(計画)の有無、診断結果、さらに改修実施・計画の有無を確認
【新耐震基準物件】
・現行の建築基準法と同水準
・震度6強~7でも倒壊・崩壊しない
長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。

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