マネー研究所

Money&Investment

ソーシャル融資が活発 高利回りもリスクに注意

2016/11/6

 インターネットなどを通じてお金を貸したい投資家と借りたい人を仲介する「ソーシャルレンディング」が日本でも活発になってきた。投資利回りは年5%以上のものが多く、運用難の環境のもとでは魅力的に映る。運営会社は不動産などを担保にすることで信用力を高めようとしている。それでも個人投資家が各種リスクを見極めるのは難しく、実際に投資する際には十分に注意が必要だ。

 ソーシャルレンディングは、中小企業や個人がインターネットを通じて小口資金を集める「クラウドファンディング」の一種で、「貸し付け型」と位置づけられる。金銭などの対価を求めない「寄付型」、投資対象の商品やサービスを対価として受け取る「購入型」に比べて、投資色が強い。矢野経済研究所の調べでは、2015年度の貸し付け型の新規実行額は約322億円。16年度に約404億円となる見込みだ。

 投資家から調達した資金でファンドをつくって融資するのが一般的。運用期間は1年程度、最低投資額は1万円のものが多い。貸付先は中小企業やプロジェクト事業、個人ローンなど様々だ。ただ貸金業法上、個人が貸し付けを行うのは難しいため、投資家はソーシャルレンディング運営会社と匿名組合出資契約を結ぶことになる。投資家は貸付先の詳細を知ることはできず、貸付先がしっかり返済できるかなどの不安もある。一部の運営会社は信用力を高めようとして不動産担保融資に積極的に取り組んでいる。

■主に利回り5%

 maneoマーケット(東京・千代田)が08年から運営するmaneoは日本初のソーシャルレンディングサービスとされる。不動産担保融資を中心に、担保なしの事業性ローンも扱う。貸付先は不動産業者や事業会社など。利回りは5~8%のものが多い。10月時点の融資額は累計約550億円で、ユーザー登録数は約3万7千人という。

 ロードスターキャピタル(東京・中央)が14年9月から子会社のロードスターファンディングを通じて運営する「OwnersBook」は不動産担保融資が中心。銀行融資に比べて返済の優先順位は劣るが、金利が高い融資を実施する。貸付先は小規模なデベロッパーが中心。実績年利回りは4.8~14.5%で、主に5%程度の案件が占める。ロードスターキャピタルが不動産の自己投資を手掛けており「投資家目線で担保の案件を選んでいるため、利回りは控えめだが、リスクも低い」(同社の岩野達志社長)としている。

 SBIホールディングスの子会社であるSBIソーシャルレンディング(東京・港)も不動産担保融資を手掛ける。業歴、財務内容などを審査し、クリアした事業者向けに担保評価に対して70%を上限として貸し付ける。ただ国内不動産価格の高騰で、不動産関連の商品比率が高まるとリスクが上昇するため、新商品の開発にも取り組んでいる。

 例えば太陽光発電事業者向けのファンド。太陽光発電所建設の権利を保有する事業者向けに、発電所の建設資金の貸し付けを行う。

 有担保案件の利回りは2~6.5%で、融資残高は3月時点で40億円超。「17年3月には100億円を超える見込み」(同社の織田貴行代表取締役)という。

■新興国向け多く

 世界に目を向ける運営会社もある。クラウドクレジット(東京・千代田)は米国、エストニア、フィンランドなどのクラウドファンディング業者に貸し付ける形で世界各国の中小事業者や個人に融資する。経済成長率は高いが資金調達の難しい新興国向けに多く貸し付けることで、期待利回りは10%程度と高い。

 各国業者が持つ信用度を点数化する統計的なモデルを精査して貸し付けのリスクを抑制。融資成立額は10億円を超え、口座開設者は1千人を突破したという。同社はペルーの不良債権投資なども手掛ける。

 1万円程度から投資でき、高利回りが魅力のソーシャルレンディングだが、元本が保証されないことなどには注意が必要だ。各運営会社ともリスク管理はしているが「銀行預金などとは違い、リスクとリターンの責任は投資家が負う」(クラウドクレジットの杉山智行代表取締役)ものであることに注意したい。(藤井裕起)

[日本経済新聞朝刊2016年10月29日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL