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プ女子によるプロレス観戦術

NOAHの天才、丸藤正道 新日本に刻んだチョップ

2016/11/5

プ女子によるプロレス観戦術

丸藤正道選手の得意技、逆水平チョップ
丸藤正道選手の得意技、逆水平チョップ

今回描かせていただいたイラストはプロレスリングNOAHの丸藤正道(まるふじなおみち)選手の「逆水平チョップ」です。チョップ(手刀)は力道山の「空手チョップ」時代から続くもっともポピュラーな技の一つです。丸藤選手は全身を使い右手をムチのようにしならせて叩き込む独特のスタイルで、今年夏の新日本プロレスリングのシリーズ、G1クライマックスで最もインパクトを残した技と言っていいと思います。周りに散るオリーブは「方舟(はこぶね)」から連想しました。

10月10日の新日本プロレス両国国技館大会、例年この秋の両国大会で翌年1月4日東京ドーム大会の重要カードが決まります。セミファイナルでG1決勝と同じ対戦ながらケニー・オメガ選手が後藤洋央紀(ごとうひろおき)選手を激闘の末、退けていちはやくドームでのIWGPヘビー級チャンピオンへの挑戦権を手にしました。

力を振り絞ってオカダ・カズチカ選手(左)の胸板にチョップを打ち込む丸藤正道選手(写真は苅谷直政)
丸藤正道選手の強烈なチョップで、オカダ・カズチカ選手の胸板が赤くはれ上がる

続くメーンイベントでは、チャンピオンのオカダ・カズチカ選手が丸藤選手を下して王座を防衛。東京ドーム大会一つ目の対戦カード「オカダVSケニー」のIWGP戦が確定となりました。

オカダ選手は夏のG1初戦でまさに完封、といった感じで丸藤選手に敗れています。他団体の選手が現チャンピオンに開幕戦でいきなり勝利をあげたインパクトは大きなものでしたが、一方で「丸藤選手ならありうる」という納得感もありました。リマッチとなった今回の対戦も、オカダ選手が丸藤選手を完全に圧倒してみせたというところまではいかなかった印象です。その印象の出どころの一つはおそらく丸藤選手の「逆水平チョップ」なのではないかと思います。

エプロンサイドの硬い部分を利用してオカダ・カズチカ選手の頭部を打ち付ける

試合の序盤、リング中央で両者が向き合うと場内に高まる丸藤選手のチョップへの期待感。1発、1発とたっぷり間を取って打ち込むたびにバシーンと鋭い破裂音が国技館に響きます。苦悶の表情で胸を押さえうずくまるオカダ選手。そんな見せ場以外にもエプロンでの攻防や相手の技へのカウンターとして要所要所にこのチョップがちりばめられ、トータルの印象として「丸藤選手のチョップはやっぱりすごかったなぁ」と感想が残るのです。

プロレスラーをパッと見て、普通の人と違うのはまず胸板の厚みです。実物のレスラーを見るとどの選手も大胸筋が一般的なマッチョのイメージよりはるかに大きく盛り上がっています。そのレスラーの「看板」ともいえる胸板に、目に見えるかたちで文字通り「痕(あと)」を刻みつけるのが丸藤選手のチョップです。

丸藤正道選手の必殺技「不知火」が鮮やかに決まる

丸藤選手はプロレスリングNOAHをリング内外で引っ張り、「方舟の天才」とも称されます。独創的で華麗な動きでファンを魅了する丸藤選手は、チョップという一見平凡な技をも独自に進化させています。目元涼やかで凛(りん)としたたたずまいの丸藤選手が繰り出す一撃は、音も威力もまさに革のムチの一閃(いっせん)のようです。パワーファイターどうしが我慢比べ的にガンガン打ち合う迫力とはまた違った美しさと鋭さがあります。

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