家計

もうかる家計のつくり方

会話ゼロ夫婦 無駄だらけのブラックボックス家計 家計再生コンサルタント 横山光昭

2016/11/2

家計を効率的に運営するには夫婦の話し合いが欠かせない

 「夫が毎月くれる生活費では足りないのに、増やしてくれません」と相談に来たのは、都内に住む専業主婦のAさん(36)。毎月赤字で貯蓄ができないうえに、結婚前の自分の貯蓄を取り崩して赤字を補填しているそうです。小学1年生の長女、幼稚園年中の長男の2人の教育費をためるためにはもっと生活費が必要なのに、夫と話し合いができないことが悩みだそうです。

 Aさんのご主人(40)は士業事務所の経営者です。Aさんは夫の収入を把握していないそうですが、生活費を妻に渡しても自由にできるお金があり、夜は飲み会中心であまり家にいないとのこと。ならば、もう少し生活費をくれるよう話し合いたいそうですが、会話をする時間が少なく、お金のことは話しにくいと言います。私が加わって、Aさんご夫婦と3人で家計について話し合うことはできないだろうかと依頼されました。

 話し合いの前に、Aさんの生活費の使い方を伺い、家計表を作っていきました。生活費はほぼ、お子さんとAさんの3人分の支出で、2万円ほどの赤字です。驚いたのは食費、教育費、娯楽費が支出のかなりの部分を占めていること。Aさんのお金の使い方に問題がありそうです。

 聞けば、朝食や弁当は作りますが、夫が不在のため夕食は3人で外食に出ることが多いそうです。総菜を買うことも多く、食費が高くなる原因になっています。

 教育費は私立幼稚園、私立小学校の学費と、時折、徴収される教材費などを合わせた金額なので、削りようがありません。

 娯楽費は温泉などに行くときの交通費やお土産代がメーンとのこと。家族で話し合って計画するというよりも、夫が「家族と過ごしたい」と楽しそうに予約をするので、やむなく支払っているのだそうです。

 この時点で改善できそうなのは食費と娯楽費です。夫とかかわりが深い部分でもあるので、Aさんご夫婦と私の3人で日を改めてお金の話をすることにしました。

 当日、夫に聞くと、毎月の収入は手取りで55万円ほど。そのうちの35万円を生活費として妻に渡し、残り20万円を社宅家賃、自分の昼食代と飲み代、家族で出かける宿泊費などに使っていました。

 夫も月4万円の娯楽費を使っています。聞くと、週末ごとに遊園地やテーマパークに遊びに行ったり、家族でショッピングに出かけたりする費用とのこと。無計画がたたり、娯楽費は夫婦合計で月9万円近くに達しています。夫に残るお金はほぼなく、貯蓄は50万円ほどしかありません。

 夫は妻に対し、「家賃を払わなくていいんだし、35万円もあれば生活も貯蓄もできるでしょう」といいます。Aさんの家計表が赤字なのがわかると「どうして赤字になるの? 僕も貯蓄できていないし、まずいよ」と驚いていました。

 赤字の補填をしているため、奥さんが結婚前につくった貯蓄の残りは30万円のみ。合計80万円しか貯蓄がない家庭であるという事実に驚いていました。妻は妻で、夫に貯蓄がないとわかり、がっかりしています。

 現状が分かったので、改善の仕方を検討しました。

 夫は同僚の手作り弁当がうらやましいそうですが、妻に遠慮し毎日昼食は外食やコンビニ弁当にしていました。「子どもは毎日弁当なのだから、言ってくれればいいのに」と妻。この会話を交わしただけで、夫の昼食は弁当になりランチ代がかなり減りました。

 また、夫は夕飯時に帰宅する頻度が増えました。仕事上の付き合いの飲み会は変わりませんが、友人などと行く飲み会を減らし、家で食事したいという思いが強くなったそうです。妻も「夫が家で食べる機会が増えると料理が楽しくなった」と言い、外食を減らして手料理を増やしました。食費削減につながったうえ、日用品の「ついで買い」も減りました。

 夫が勝手に予約してくる温泉などは、話し合って行き先や日程、予算を決めることにしました。計画することも楽しみの一つです。旅行は2、3カ月に1度になりましたが、その間、計画的に積み立てができるし、内容も充実してより楽しい時間を過ごせるようになりました。

 奥さんが夫と2人で飲みたいと買っていたお酒代も、事前に相談して買うことによって削減できました。

 Aさん夫婦の家計を改善するポイントは「支出の重複をなくすこと」でしたので、会話ができるようになるとスムーズに改善できました。話し合って決めることにより、生活費からは3万円、夫管理分から6万円残すことができるようになりました。

 家計管理の方法を根本から変えてしまうとやりにくいということなので、財布を完全に一つにすることはせず、今まで通りの予算で管理しています。それでも改善につながったのは、夫婦それぞれの余剰分を積み立てる通帳を準備し、給料日前に見せ合ってお金の流れを互いに確認し、話し合う時間をつくったからです。

 仲の良いご夫婦でも、お金の話がきちんとできていないと、お金がたまる家計はつくれません。いたわりあえる関係は大切ですが、それもきちんと会話ができ、理解しあえるからこそと思います。

 夫婦が別々に財布を管理する方法や、家計を完全に一つにして管理する方法など、いろいろな管理法がありますが、それぞれのご家庭に合ったやり方で十分です。家庭のお金の流れを全体的に把握する、そのために会話をする。まずはそこから始めてほしいと思います。家計は必ず良い方向に変われますよ。

「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は11月16日付の予定です。
横山光昭(よこやま・みつあき) マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめとする著書は累計180万部。近著は「『老後貧乏』はイヤ!」(日本経済新聞出版社)。

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著者 : 横山 光昭
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