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街中が劇場 大道芸の世界大会、静岡で25年続くワケ

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NIKKEI STYLE

日本で最も晴れの日が多く温暖で、人気漫画「ちびまる子ちゃん」が生まれた街、静岡市。ゆったりのんびりとしたこの場所が毎年秋も深まると、にわかに沸き立つ。この街の風物詩としてすっかり定着した「大道芸ワールドカップin静岡」が開かれるためだ。世界中から大道芸人が集まって磨き上げたパフォーマンスを披露する。人口70万人の街に毎年150万人あまりを集める一大イベントは開催25周年を迎える。

今年は11月3~6日に開かれ、過去最多の108組が参加する。日本ではなかなか見られない個性的なパフォーマンスが、静岡の街中を盛り上げる。大道芸はジャグリングや手品、アクロバティックな演技から腹話術、フェースペインティングなど多岐にわたる。商店街や市役所、ビジネス街や駿府城公園と街を歩けば見られるので、基本的に観覧は無料になっている。観客はショーを見終わると、楽しめたら楽しめた分の投げ銭で称賛する。

参加アーティストは、主催する大道芸ワールドカップ実行委員会が世界中を回って応募を募った中から選ばれる。中でもパフォーミングアートの世界一を決めるのが、数百組から選んだ14組が参加する「ワールドカップ部門」だ。

技術の高さはもちろん、華やかさやおもしろさ、アーティストのキャラクターなどを総合的に評価し「1000円持っていたらいくらを投げ銭するか?」との審査基準で選ばれる。審査委員が各自金額を決め、その合計金額が最も多い人がチャンピオンに選ばれる。毎年、前回のチャンピオンがゲストで参加するが、今回は4組の歴代チャンピオンが来ることも特別だ。さらにトップ14組に追随する実力派41組が参加する「オン部門」があり、そのほかは「フリンジ部門」と呼ばれる。応募数は年々増えており、出場倍率はオン部門では5倍にものぼるという。

街の中だからこそのダイナミックな演技は一見の価値ありだ。通りすがりの道路で上を見て歓声をあげる人だかりにつられて見上げると、命綱をつけた2人の男性がビルの壁を地面に見立ててバク転や宙返りをする。見ている人が平衡感覚を失いそうな美しい演技に目が離せない。ゆったりとした動きながらもダイナミックで、道行く人の足を止めさせるにはじゅうぶんだ。

すぐそばの市役所の駐車場では、はらはらさせる音楽をバックに椅子を不安定に何段にも重ね、逆立ちをする男性。見ているこちらが「もう限界では」と思う間に、7つも積み上げてしまった。最後は斜めに置いた椅子の上で足を広げて倒立。100人以上の観客が目や口に手を当て悲鳴に近い歓声を上げる。商店街を歩くと、一見本物のようでも突然動き出す銅像、小道具を使って話芸で楽しませてくれるコメディアンなど、あちこちで驚きと笑いが待っている。

全国的に決して知名度の高くないこのイベントだが、この4日間で集まる人は150万人を超え、経済規模は22億円ともいわれる。日本一の集客を誇る祭りといわれる青森ねぶた祭が6日間で約300万人、京都の祇園祭のピークの宵山前後が3日間で30万~50万人と、全国の有名な祭りと比べても遜色はない。国内で似たイベントは「ヨコハマ大道芸」など数カ所であるが、「世界から集まる参加者の数やレベルで静岡がトップクラス」(スポンサー企業)との誇りがある。

今年は25周年を祝い、カナダやフランス、中国など20カ国から過去最大の108組に加え、歴代チャンピオンが4組も登場する。例年より1割多い参加数で、より多彩な大道芸を楽しめそうだ。天候に恵まれた2015年は過去最高の180万人が来場したが、「今年は200万人をみたい」と杉山元実行委員長は意気込む。

一大イベントを控え、受け入れ準備も進んでいる。市内のコンビニエンスストアや書店では、2週間ほど前から恒例のガイドブックが並び始めた。1部550円でスケジュールや出演アーティストが載っており、来場者の必携品だ。その他にも限定のタオルやクラウン(道化役)が付ける「赤い鼻」、人だかりの中でパフォーマンスを見るための潜望鏡「パフォグラス」など数々のオリジナルグッズが随所で販売される。期間中には最新情報を盛り込んだ新聞「デイリーニュースペーパー」が朝と夕方に配られる。

大道芸ワールドカップが誕生したのは1992年。当時の静岡市長だった天野進吾氏が「人の集まるまちづくり」をめざして企画したプロジェクトだった。海外旅行中に街中で見た大道芸人と周囲に集まる人たちのにぎやかな様子をヒントにした。商工会や青年会議所、さらに世界各国に拠点を持つNHKなどの協力を得て、官民一体で実現した。初回から111万人が集まり、以降、参加者、来場客は順調に増えている。

見どころはパフォーマンスだけではない。期間中は赤い鼻をつけた約100人のクラウンが会場を盛り上げる。彼らは通称「市民クラウン」と呼ばれる。1993年から始まるクラウン育成のための「大道芸カレッジ」の卒業生徒たちだ。おどけた見た目で注目を集めつつ、道案内や大会のしくみ、座席付きのステージショーの申し込み方法を助言するなど、おもてなしの心で来場者を迎えてくれる。さらに街中の自販機の一部には「DAIDOGEI」の文字が踊る。オフィシャルパートナーのキリンビバレッジが設置する静岡だけの限定機で、売り上げの一部が運営資金として寄付される仕組みになっている。

1人の市長の夢から始まった大道芸ワールドカップだが、今や静岡の秋の風物詩として、地元のみならず県外の来場客、世界中のアーティストに愛されている。25年前と比べると静岡市や地元企業の懐具合は決して楽ではない。それでも、国内外のファンたちや1000人を超えるボランティアスタッフらの思いが連綿とイベントを支え続けている。

(静岡支局 青木真咲)

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