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身近になる仮想通貨 利用者保護のルール整備 普及前夜の仮想通貨(上)

2016/11/1

 ビットコインなど仮想通貨に関連する法律ができたと聞いています。これまで仮想通貨は何となく敬遠していたのですが、今後は使いやすくなりますか。

 5月に改正資金決済法が成立し、初めて仮想通貨の定義や利用者保護のルールなどが決まった。これまでビットコインのような仮想通貨は「モノ」として扱われてきたが、法改正によって「お金」としての位置づけが明確になった。

 では仮想通貨と、現金代わりに使えるJR東日本の「スイカ」のような電子マネーやポイントとの違いは何か。

 改正資金決済法が定めた仮想通貨の条件の第一は、「不特定多数を相手に物やサービスの買い物などに使え、円やドルなどと交換できる。そしてインターネットで移転できる」ことだ。

 これだけなら電子マネーなどにも当てはまりそうだが、第二の条件に「円や外貨などの法定通貨と通貨建て資産は除く」とある。円やドルが仮想通貨ではないのは当然だが、もう一つの「通貨建て資産」とは、国内の既存の電子マネーなどを指すと見られる。

 例えば、スイカは1万円入金すれば原則、電車賃や買い物などに1万円分利用できる。必ずしも現金は介さなくても円建てのやりとりだ。一方、仮想通貨のビットコインの単位はビットコイン(BTC)であり、円などと交換する際の相場は常に変動する。

 既存の電子マネーと仮想通貨は規制対象も異なる。電子マネーなどは一般に発行者がいるが、ビットコインには発行主体がない。そこで、改正資金決済法では仮想通貨の取引所などの交換業者を規制対象にした。交換業は登録制となり、利用者が預けたお金などを分別管理し、監査法人などによる監査が義務になる。

 2014年に破綻したビットコイン取引所「マウントゴックス」の教訓を踏まえ、利用者保護のルールがやっと整った。遅くとも来年6月までに法律は施行される予定で、細かい管理方法などが近く内閣府令として決まる予定だ。

 近年、急速に増えている様々な決済手段の保護ルールはそれぞれ異なる。スイカや楽天Edyなど一般的な電子マネーは法的に「前払い式支払手段」とされ、発行者は未使用残高が一定額を超えれば残高の2分の1以上の供託などが義務になる。

 海外で外貨を引き出せる「海外用プリペイドカード」は資金移動業として規制され、業者は送金途中の滞留資金の100%以上の供託など、一段と厳しい決まりがある。一方、企業が「おまけ」として発行し、利用者が対価を払わず手にするポイントには公的保護ルールはない。

 現在、財務省と金融庁は仮想通貨を買うときにかかる消費税を来年にはなくす方向で調整している。仮想通貨の「お金」としての存在感は一段と高まりそうだが、ビットコインなどは1日に価格が20%以上変動することがある。価値が激しく変化する仮想通貨をいかに日常生活で使いこなすのか、利用者側の知恵も問われているといえそうだ。

[日本経済新聞朝刊2016年10月26日付]

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