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赤ワインは熟成させた方が抗酸化作用が高いって本当? 健康効果の王様は、やっぱり赤ワイン?(2)

日経Gooday

2016/10/30

世界で幅広く栽培されている「カベルネ・ソーヴィニヨン」(Cabernet Sauvignon)。ポリフェノールの含有量が多い(c)Magdalena Paluchowska -123rf)
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

“赤ワインの健康効果”を紹介しているこのシリーズ。第1回「赤ワインに含まれるポリフェノール 何がすごいのか」では、赤ワインに多く含まれる抗酸化物質「ポリフェノール」の健康効果について紹介したが、ポリフェノールはどんな種類のブドウに多く含まれているのだろうか。また、ワインの熟成年数が抗酸化作用と関係があるのは本当なのだろうか。詳しく解説しよう。

■ブドウはどの種類を選べばいい?

では、数ある赤ワインの中で、どれを選べばいいのだろうか。まず見るべきなのが「ブドウの品種」だ。赤ワインの元となるブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、ネッビオーロなどをはじめとして非常に多い。

佐藤教授は、生産地域や製造年が異なるさまざまなワインのポリフェノールの量と、活性酸素消去能(SOSA)を測定比較している(下のグラフを参照)。薄い紫の棒がポリフェノールの量、濃い紫が活性酸素消去能(SOSA)を示している。「ワインのポリフェノール含有量とSOSAには高い相関関係があることが確認できます」(佐藤教授)

ワインの銘柄によるポリフェノール含有量と活性酸素消去能(SOSA)の違い(1995~1996年に佐藤教授らが発表)。活性酸素消去能は、実際に活性酸素を消去する能力を示す。この値が大きいほどより強い抗酸化能力がある。熟成を重ねたワインの方が活性酸素消去能が大きい。ブドウの品種別にみると、カベルネ・ソーヴィニヨンが一番多いことがわかる。白ワインにもポリフェノールは含まれるが、赤ワインに比べると量は少ない

このグラフから、全体的な傾向として、カベルネ・ソーヴィニヨンが、ポリフェノール量、SOSAともに多く、次にネッビオーロが多いことがわかる。銘柄にもよるが、ピノ・ノワールやメルローは、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べるとやや少ない。

「ブドウの品種の中では、カベルネ・ソーヴィニヨンが最もポリフェノールを多く含み、抗酸化作用も高くなります。一般的に、赤ワインならどれでも抗酸化作用が期待できますが、より多くの効果を期待するならカベルネ・ソーヴィニヨンを選ぶといいでしょう」(佐藤教授)

■カベルネのワインはどう探す?

とはいえ、「カベルネ・ソーヴィニヨン」と言われても、どのワインを買っていいかわからないという人も少なくないだろう。カベルネ・ソーヴィニヨンは、最もポピュラーなワインの品種の1つで、世界各地で栽培されている。

一番有名なのは、フランス南西部のボルドー地方で造られるワインだ。特に、この地方を南北に流れるガロンヌ川とその上流のジロンド川左岸は、水はけが良く、熱を蓄える砂利のような表土を持つため、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適しているとされる。

著名なボルドーワインである「シャトー・ラトゥール」「シャトー・マルゴー」などは、カベルネ・ソーヴィニヨンをメインに使ったワインだ。一般にボルドーのジロンド川「左岸」で生産されたワインはカベルネの比率が高い(銘柄や生産年にもよるが、カベルネの比率は6~9割程度のことが多い)。一方、同じボルドーでも、サンテミリオン地区やポムロール地区(一般に右岸と総称される)のワインはメルローの比率が高い。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、ボルドーに限らず、アメリカのカリフォルニアやチリ、オーストラリアなど世界各地で広く栽培されている。

「カベルネ・ソーヴィニヨンは、気温が高く乾燥した場所の方がいいブドウが収穫できます。気温が高く降雨量が少ない、チリなどの南米やオーストラリア、カリフォルニアなどは、まさに栽培適地です。高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったワインが安く購入できますのでおすすめです」(佐藤教授)

チリ産カベルネ・ソーヴィニヨンを使った赤ワインのラベル例(エラスリス)。アメリカ、チリ、オーストラリアなどの“新世界”のワインは、ラベルにブドウの品種が書いてあることが多い。一方、フランス産のワインはラベルにブドウの品種が書いていないことが多い

フランスやイタリアなどでは、使っているブドウをラベルなどに表記しないケースが多い。一方、カリフォルニアやチリ、オーストラリアなどのワイン(これらは一般に「新世界」と分類される)は、たいていの場合、ラベルにブドウの品種が明示されている。このラベルを見て「Cabernet Sauvignon」と書いてあるワインを選べばいい。

上のグラフで、ポリフェノールの量がカベルネに次いで多かったネッビオーロは、北イタリアのピエモンテ地方で栽培されているブドウの品種だ。「バローロ」「バルバレスコ」という有名銘柄に使われているブドウだ。高品質だが価格は高めとなっている。

■熟成させた赤ワインの方が抗酸化作用が高くなる

「ワインの抗酸化作用で、ブドウの品種のほかに、もう一つ重要な要素となるのが『ワインの熟成年数』です。「ワインの健康効果は価格と関係あるか」でも少し触れましたが、若いワインより、熟成を重ねたワインの方が、抗酸化作用が高くなります。ポリフェノールの総量は同じだったとしても、熟成させた方がより効くようになるのです。このため、数年熟成させた高額なワインは健康効果がより高くなります」

「同じ銘柄を比較すると、例えば、Chポンテカネ(ボルドー左岸の有名ワイン)は、1988より1990年の方がポリフェノールの総量は多いですが、抗酸化能力は1988年の方が高くなっています。抗酸化作用のピークは5年くらいで、その後は緩やかに効果は下がります」(佐藤教授)

ここまでは抗酸化作用を中心に見てきたが、赤ワインの健康効果を語る上で欠かすことができない重要な成分がある。それが、「レスベラトロール」というポリフェノールだ。第3回ではこのレスベラトロールの効果や、レスベラトロールが多く含まれる品種について解説する。

※ 熟成させることで品質が高まるのは、主に2000円以上の高級ワイン。数百円から1000円台くらいで購入できる安価なワインは、熟成させずに楽しむのが一般的。

(ライター 大塚千春)

■この人に聞きました

佐藤充克(さとう・みちかつ)さん
山梨大学ワイン科学研究センター・客員教授。農学博士。東北大学農学部卒業後、メルシャン入社。東京大学農学部、カリフォルニア大学デービス校を経て、メルシャン酒類研究所・所長に就任。赤ワインのポリフェノールの研究を進める。NEDOアルコール事業本部、研究開発センター所長、山梨大学大学院ワイン科学研究センター、ワイン人材生涯養成拠点・特任教授、山梨県果樹試験場・客員研究員などを歴任。ワイン及びポリフェノールに関する論文多数。

[日経Gooday 2016年9月29日付記事を再構成]

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