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運用指南のロボアド、自動報告や一任型など多彩に

2016/10/30

 個人投資家に資産運用を指南する「ロボット・アドバイザー(ロボアド)」と呼ばれるサービスが広がっている。ホームページやスマートフォン(スマホ)のアプリで幾つかの質問に答えると、顧客に合った投資信託の組み合わせを紹介してもらえる。証券会社や銀行などが相次いで導入しており、無料で使えるものから手数料を払えば運用を一任できるものまで、サービス内容は多彩だ。

 「金融商品を選ぶうえで重視することは?」「投資経験は?」……。カブドットコム証券がスマホ用アプリで提供するロボアド「FUND ME(ファンドミー)」は、年齢や投資方針など7つの質問に答えると、顧客がどの程度のリスクとリターン(収益)を望んでいるかを判断。国内株式や先進国株式、新興国債券など8種類の資産から最適な配分比率を提案する。安定性重視であれば債券や国内の投信の比率を高め、利回り重視なら株式や新興国の比率が高くなる。

■自動リバランス

 最適な比率を基に、具体的に投信の商品や購入代金を提案する。投信は1千本弱から入れ替えが可能。同証券に口座があれば、提案された投信をそのまま購入できる。また顧客がとれるリスク許容度が同年代と比較して高いのか低いのかを、5段階で分かるようにしている。伊藤充淳UX戦略グループ長は「友人とお金の話をしにくい人が参考にしてほしい」と話す。

 みずほ銀行の「SMART FOLIO(スマートフォリオ)」は投信の提案のほか、運用状況を知らせる機能がある。当初決めた運用目標に対し、資産残高が5%以上、多くなったり少なくなったりした場合は、自動的にメールが届き、投信の見直しを促す。必要以上にリスクをとったり、資産が目減りしたりすることを防ぐためだ。リスク・リターンの管理も「機関投資家のものと同水準」(個人コンサルティング推進部の野崎慎二郎氏)という。

 ロボアドはアドバイス型と投資一任運用型に大別できる。カブコムのファンドミーとみずほ銀のスマートフォリオはアドバイス型だ。無料で使える半面、顧客自身が投信を購入し、構成を見直す必要がある。

 そうした手間を省けるのが投資一任運用型だ。ロボアドで最適に資産を配分しても、長く運用するうちに想定した比率からかけ離れてくる。投資一任運用型であれば、自動で投信を売り買いして修正するリバランス機能がある。手数料は基本的に運用残高に応じて払う。売買に伴う費用も含んでおり、リバランスで追加の手数料は発生しない。

 楽天証券の「楽ラップ」は投資一任運用型の1つ。日経平均株価や債券指数などに連動するインデックス型投信15本で運用する。10月からは株式相場の値動きが荒くなれば、株式の比率を下げ、債券の割合を高められる機能を加えた。

 お金のデザイン(東京・港)の「THEO(テオ)」では231通りの投資パターンを用意。顧客のリスク許容度や投資方針に合わせて最適な配分を提案する。投資対象は海外の上場投資信託(ETF)で約6千本に上る。

 新しい手法のロボアドも出てきた。エイト証券が12月にサービスを始める「クロエ」は自動車の購入や旅行といった目的別に資産の目標と運用期間を設定。目標から逆算して配分比率を決める。飯盛信文社長は「ゴールに向かって資産形成する過程を楽しんでほしい」と語る。

■手数料も安く

 ロボアドが登場するまでは顧客に合わせて最適な配分を提案するサービスはラップ口座が一般的だった。ただ数千万円以上の資産を持つ富裕層を対象とし、手数料も相対的に高かった。一方、ロボアドは手数料が安く、一任型でも数万円から投資できるものが多い。米国では金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックとして急速に普及している。

 ロボアドは長期にわたる運用でリターンを得ることを目指すものが多く、短期間で成果を上げたい投資家には不向きだ。また投資一任運用型は手数料を抑える狙いなどから、米国のETFで運用するサービスが多いが、このタイプは資産全体が円ドル相場の影響を受けることにも注意が必要だ。メリット、デメリットを十分に把握したうえで賢く利用したい。(花田幸典)

[日本経済新聞朝刊2016年10月22日付]

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