お金をかけなくても喜ばれる 贈り物の極意ファイナンシャルプランナー 風呂内 亜矢

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食品栄養学を学んでいた学生時代、減塩食の実習がありました。塩を減らしても食事をおいしく感じてもらうためには、だしをしっかりとることや、塩味の替わりにレモンなどの酸味でアクセントをつけることを学びました。

では、塩をお金に例えてみてください。塩(お金)をたくさん使わなくても、おいしくできる(誰かを喜ばせることができる)というケースがあります。

心遣いが伝わる贈り物

誰かに何かをいただいたとき、それがささやかなものであっても、とてもうれしく感じることがあります。例えば、直筆のメッセージが添えられている場合、ちょうど自分が関心を持っている品物だった場合、思いがけないタイミングにいただいた場合などです。共通点は、相手の心遣いを感じられたときといえるでしょうか。

塩(お金)をたくさん使わなくても、心遣いが伝わればだしや酸味のような役割を果たし、贈り物をよりうれしく(おいしく)感じさせてくれます。

最近はスマホやパソコンを使うことが多いため、文字を書く機会が減りました。私自身、字が下手なのでつい、活字や印刷に頼ってしまいます。そんな昨今、手書きのメッセージが添えられてあると、手間をかけてくださったのだなとうれしさがアップします。

こんなこともありました。ポイントカードに関する取材を受けたとき、新しい共通ポイントカードが始まって、一部コンビニで無料配布されているという内容を編集者の方にお話ししたことがあります。

「まだお店に寄る機会がなくて入手できていないんですけどね」と私が話したことを覚えていてくださり、次回お目にかかったときに「風呂内さんの分ももらってきました」とカードをくださったことがあります。何気なく話したことを覚えていてくださるなんてと、とても感動しました。

また、会って日の浅い方が昇格をされたという話を耳にして、軽めのお祝いをしてみたことがあります。非常にクールな印象の方だったのですが、届いた直後と思われるタイミングで、ご丁寧なお礼のお電話をいただいたことがありました。私という思いがけない相手からの祝い品がサプライズとなり、喜んでいただけたのかもしれません。

このように手間をかけてもらった、自分の話を覚えていてくれた、予想していなかったところで自分のことを思ってくれていたと感じられたとき、その贈り物は受け取る人にとって、金額以上の価値を感じさせることがあります。

効果をより高める演出

もちろん、いただき物が高価だったときにもありがたみを感じます。それはもしかすると、「私のためにここまでの金額を払ってくださるなんて」という気持ちになるからなのかもしれません。

気遣いや相手に対する思いを形にするのは意外に難しいもの。だから、ちょっと高級なお菓子を買ったり、ご祝儀を少し多めに包んだりして、金額で自分の思いを表現しようとする側面もあるでしょう。

裏を返せば、こちらが相手を大切に思っていることが伝われば、必ずしも大金を使わなくても誰かに喜んでもらうことは可能です。キーワードは先ほど出てきた「手間」「相手の話を覚える」「サプライズ」といった心遣いです。もちろん、他にも方法はあるかもしれません。

こうした心遣いを味方につけると、同じ金額の贈り物をした場合でも、より相手を喜ばせることができるかもしれません。また、金銭以外で誰かを喜ばせる方法についての引き出しを増やしておけば、ふところ事情が厳しいときに自分を救ってくれる知恵になりそうです。

どうして贈り物をするのか。その理由を考えると、お金を使うという以外の選択肢も見えてきます。

風呂内 亜矢(ふろうち・あや) 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―(祥伝社)』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』などがある。管理栄養士の資格も持つ。公式サイトhttp://www.furouchi.com/
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