「残業はないし、連休も多いし、ほかの会社に入社した同級生の話を聞くと、なんてホワイト(労働条件が良い)なんだろうと思う」(召田さん)。

隔日勤務のスケジュール例。月に2度、3連休がある月も

「同級生の倍」 給与はいうことない

給与の高さも魅力的だ。基本給と売り上げに応じた成果給で決まり、月の売り上げの約半分が給与として振り込まれる。「自分が頑張った分だけ給与がもらえて、あとどのくらい頑張れば目標額に達するか分かることもやりがいになる」と召田さん。厚生労働省によると、2015年の大卒初任給は20万2000円。年収にすると300万以下だが、ドライバーの場合、年収400万円台は「余裕」で、腕のいいドライバーなら600万~700万円を稼ぐ1年目もいる、という。

13年に立正大学を卒業後、タクシードライバーとして入社した松山航希さん(26)も、2年連続で人材採用課に出向して新卒採用に関わった一人。待遇のよさや、仕事のやりがいを後輩たちに伝えたい、という。

松山さんは「卒業後に同級生と給与を比べたところ自分は倍もらっていた。もっともらえる仕事もあると思いますが、これだけ休みもある、という条件も加えたらなかなかないはず」という。

社内恋愛も増加

「タクシー運転手はオジサンの仕事」。そういったイメージから人間関係に課題を感じる人もいる。国際自動車に勤めるドライバーの平均年齢は56歳、新卒のドライバーにとっては父親世代だ。しかし、入社の決め手を「社内の雰囲気のよさ」という人も少なくない。

「タクシーは、強盗などトラブルの際にスモークを出すしかけなど、ドライバーを守る設備も充実している」と語るのは東雲営業所の成毛望紗さん

国際自動車は、特に大卒のドライバーを採用するようになってから、入社して2年足らずの社員を営業所のドライバーを束ねる管理職の「班長」に抜てきするケースが増えてきた。やる気ある若い世代の熱気で現場の士気をあげることと、将来の管理職候補を育てることが主な目的だ。

「父親のような年齢の人がドライバーとして後輩になることもあるが、それが当たり前。年功序列のような上下関係もないし、逆に社会人としての常識を学ぶこともある」と松山さんは話す。

社員同士の仲の良さを反映してか、社内恋愛の多さを指摘する社員も多い。入社2年目のある女性ドライバーは「私も社内恋愛中です。同僚とダブルデートすることもあります。相手もドライバーで、互いの仕事に理解もあるし、休みをあわせられるのでうれしい」と告白する。「営業所によっては、同期入社した女性ドライバーの半分以上が社内恋愛中」と話すドライバーもいた。営業所を超えた部活もあるなど、仲のよさを否定する社員はいない。

業界を変えたい

板橋営業所に所属する広村舞さん。「タクシー業界を変えたい」と意気込む

大東文化大学を卒業後、15年に入社した広村舞さん(24)は、入社2年目で約100人ものタクシードライバーを束ねる班長に抜てきされた。車が好きだったことがきっかけでタクシー業界に飛び込んだ広村さんは、「入社を決めてから、タクシードライバーという仕事に偏見があることを知った。業界を変えたいと思ったし、その会社の覚悟を強く感じたので入社を決めました」という。

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