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リバースモーゲージの弱点 首都圏中心で金利も高め リタイア前の住まい見直し術(4)

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2016/12/19

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自宅を担保に生活資金を借りる「リバースモーゲージ」。うまく利用すれば、自宅を保有しつつ老後資金を確保できるが、通常の住宅ローンとは仕組みが根本的に異なる。実際の金融機関の商品内容や利用時の注意点について見ていこう。

最近はリバースモーゲージを扱う金融機関が増え、商品も多様化している。みずほ銀行と三井住友銀行が扱う下表の商品は、借りた資金の使途は自由だが、担保資産の評価額は数千万円以上と、比較的、富裕層に向く。

三菱東京UFJ銀行が扱うのは住宅融資保険を使ったタイプ。公的な住宅金融支援機構が金融機関のリバースモーゲージにかかる債務を保証するもので、同様の商品を扱う金融機関も増えている。使途は自宅購入・リフォームなどに限られるが、担保となる物件は評価額が数百万円規模でも借りられる可能性がある。これから買う物件も対象だ。

注:原則として、自宅に単身か夫婦のみで住む場合が対象(イラスト:福島由恵)

これまでは使える地域は東京など首都圏に集中していたが、足利、静岡銀行など地銀が扱い始め、地方でも利用者が徐々に増えている。

■住宅ローンから乗り換えも

リバースモーゲージに力を入れる東京スター銀行の商品は、商品設計が独特で、使い勝手がいいのが特徴だ。資金の使い道は自由で、一戸建てとマンション(1都3県他)が対象。500万円程度の小口から借りられる。

まず自宅の価値や収入などをもとに融資額が決まり、その金額が契約者の普通預金口座に入金される。契約者はこの口座から、使った分に対してのみ毎月利息を払えばよい。後で余裕資金が準備できた場合には、そのお金を口座に入金すれば、その分の利払いは不要になる仕組みだ。「ここ2~3年利用者数が伸び、既存の住宅ローンから乗り換える例も多い」(ローン営業部長の大庭芳昭さん)

一般にリバースモーゲージの貸出金利は年3%前後で変動型が主流。0.5%などの金利を打ち出す住宅ローンに比べると高水準だ。だが、「利払いだけになると毎月の返済負担が減るので、人によっては利用価値は高い」(CFPの久谷真理子さん)。

下図に示したのは、元本と利息を返済する通常の住宅ローンを、利払いのみのリバースモーゲージに乗り換えた場合の例だ。この条件では約9.2万円の返済額が2.5万円まで圧縮できる。

(イラスト:福島由恵)

■公的な低金利固定タイプも

古びた自宅を直して住み続けたい場合は、住宅金融支援機構が直接融資を行う「高齢者向け返済特例制度」を利用するのもよい。60歳以上が対象で、自宅で耐震改修かバリアフリーを含むリフォーム用資金の融資が受けられる。

同制度もリバースモーゲージ型で、生存中は利息のみを返済。借り入れ元本は契約者死亡時に一括返済となる。全国の物件が融資の対象で、利用できる人の間口が広いのが特徴だ。金利は年約0.7%と0.9%(10月3日時点)で、民間の住宅ローン並みの低水準。例えば1000万円の融資を受けた場合は、毎月1万円以下の返済で済む。融資時の金利で固定されるので、金利上昇リスクも逃れられる。マイナス金利で超低金利にある今の時期に活用すると効果的だ。

現在は融資時の評価対象は一戸建て、マンション共に土地のみが対象だが、今後建物も評価対象とするよう検討中だという。

リバースモーゲージ全般で注意すべきは、借り入れ元本を返済しない限り、利払いは生存中ずっと続くこと。変動金利だと、市場金利が上がれば利払い負担も増える(死亡時に利息を一括返済する商品もあるが、この場合も生存中は利息が継続して加算される)。

死亡後の一括返済時は、返済資金を他で準備するか、担保とした家の売却が必要になる。相続人に家が残せない場合も多いので「子供たちには必ず伝えておいたほうがよい」(フリーダムリンク代表の永田博宣さん)。想定以上の不動産価格下落で担保割れした場合、金融機関によっては現金で追加返済が必要になることもある。

■この人たちに聞きました

永田博宣さん
フリーダムリンク代表。CFP、公認不動産コンサルティングマスター。大手不動産仲介会社勤務後、現在は相続・土地活用などの相談業務を行う
久谷真理子さん
CFP、公認不動産コンサルティングマスター。国土交通省「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」委員を務める

(ライター 福島由恵)

[日経マネー2016年12月号の記事を再構成]

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