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残った自宅ローン リバースモーゲージで支払いゼロ リタイア前の住まい見直し術(3)

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2016/12/16

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退職金を当て込んで住宅ローンの残債を一括返済しようと考えているミドル世代は少なくない。だが昨今、思ったほど退職金が受け取れず、老後生活に支障が出るケースも散見される。そんなときに使えるのが、自宅を担保に生活資金を借りる「リバースモーゲージ」。うまく利用すれば、自宅を保有しつつ老後資金を確保できる。

「退職金を当てにしていたのに……」と話すのは加藤昇さん(仮名・66歳)。退職時、自宅のローンが残っていたが、返済に充てるはずの退職金は想定より少なめ。預金をかき集めれば何とか完済できるが、蓄えは底を突いてしまう。夫婦の不安は一気に膨らんだ。

そこで踏み切ったのが、住宅ローンの乗り換えだ。夫婦は自宅を担保に資金を借り、借り入れ元本は死亡時に一括返済するリバースモーゲージ型を選択。一旦、1000万円の資金を得て、住宅ローンの残債を一気に片付けた。

(イラスト:福島由恵)

乗り換え先は東京スター銀行のリバースモーゲージで、月々の返済は借りた額の利息部分だけでよい。元利合計の返済が必要な旧ローンでは、毎月の返済額は約10万円。これが新ローンへの乗り換えで2.5万円に圧縮できた。

さらに同銀行のリバースモーゲージは、普通預金口座に現金を入れておけば、その額に相当する利払いも不要になる。夫妻は徐々に保有資金を同銀行に移し、一度使った1000万円分と同額分の現金を口座に入金。今では利払いの必要もなくなった。

普通預金口座の現金は必要な時にすぐに引き出せるので、安心して毎日を過ごしている。

■自宅の一部を「現金化」

シニア世代が自宅を担保に生活資金などを借りる「リバースモーゲージ」という融資制度がある。家はあるが生活資金が足りない時や、リフォームなど一時金が必要な際に活用したい制度だ。自宅を手放さず、そのまま住み続けられる。

不動産を担保とするなら不動産担保ローンもあるが、返済期限があり、毎月元本と利息の返済が必要。一方リバースモーゲージは、契約者の生存中は返済不要か、利息のみを払う。ここが大きな利点だ。

融資額は担保となる家の価値に応じて決まり、資金は一時金や分割などで受け取る。借りたお金は契約者の死亡時に、相続人などが担保にした家を引き渡すか、売却した資金を使って一括返済する。返済資金が別にあれば、家を売らずに相続するのも可能だ(返済時の条件は金融機関により異なる)。

「固定された家の資産価値の一部を、『利用料』を払うことで現金化するような仕組み」(CFPの久谷真理子さん)だ。

次回は、金融機関が扱う具体的なリバースモーゲージの融資内容などについて紹介する。

■この人たちに聞きました

永田博宣さん
フリーダムリンク代表。CFP、公認不動産コンサルティングマスター。大手不動産仲介会社勤務後、現在は相続・土地活用などの相談業務を行う
久谷真理子さん
CFP、公認不動産コンサルティングマスター。国土交通省「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」委員を務める

(ライター 福島由恵)

[日経マネー2016年12月号の記事を再構成]

日経マネー2017年1月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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