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老後生活に不安 自宅手放した2つのケース リタイア前の住まい見直し術(2)

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2016/12/9

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50代になると、子供の独立や老巧化で「適正な住まい」のあり方も変わってくる。そもそも、住宅ローンの残高や老後資金のたまり具合によっては、自宅の売却なども検討しなければならない。今回は自宅を「ダウンサイズ」して老後生活に備えた2つのケースを紹介する。

【ケース1】 一戸建てを手放し3000万円を確保

(イラスト:福島由恵)

「このままでは夫婦二人、老後の生活が成り立たない」。危機感を抱いた市川武さん(仮名・65歳)は、実家を手放し、先代から継いだ思い出の土地を離れる決断をした。

実家は東京都世田谷区の小田急電鉄沿線にある一軒家。約30年前に新築した3階建てで、かつては市川さんの親子3代で同居。その後両親は他界し、子供も独立し家を出て、夫婦二人で広々とした家を持て余していた。現役時代は、住宅ローン返済は何とかやりくりできていたのだが、リタイア後は毎月の返済資金を絞り出すのに苦労。負担は日に日に重くなった。

完済まであと数年だったのだが、その後の生活費を用立てする策がない。悩んだ末、もっとコンパクトな住宅に住み替え、老後の生活資金をひねり出す方法を選んだ。

家・土地を売って約7000万円を得た。このうち1000万円を使い住宅ローンを完済。これからの生活に必要な金額の3000万円を確保した上で、残りの資金3000万円を新規の住宅取得費に充てた。

現在の住まいは東京都狛江市の2LDKマンション。なじみのある小田急沿線を選んだこともあり、新生活にも慣れてきた。自慢の家を手放すのは惜しかったが、「ローン返済のストレスから解放された」と今は喜んでいる。

【ケース2】 夫の死で家族が減り2人用住宅に引っ越し

(イラスト:福島由恵)

都内豊洲エリアにある4LDKのマンションに家族4人暮らしだった近藤美穂さん(仮名・63歳)。長女が嫁いで家を出た後、夫が病死。住宅ローンは夫の死亡時はその後の返済が免除される団体信用生命保険を付けていたため、支払い負担はなかったが、「長男と2人で暮らすのに4LDKはもったいない」と、住み替え相談にFP事務所を訪ねることにした。

もともと生まれ育った土地を離れマンション暮らしだった近藤さんは、引っ越しにさほど抵抗はなかった。「無駄な居住スペース分は生活資金に変えた方が、旅行や趣味など豊かな生活が送れて楽しいのでは」とFPから助言をもらい、早速行動に移すことにした。

近藤さんの希望は、自宅を狭くする分、これまでと使い勝手が変わらない機能的なマンションに住むこと。豊洲マンションの売却で7000万円以上の資金を得たため、新居の選択肢は多かった。

それでも息子の収入に頼らず、女性一人で安心して老後を過ごせる十分な現金の確保を優先した。その上で3000万円程度を予算とし、住み慣れた豊洲物件に雰囲気が似た埼玉県川口市のタワーマンションを選んだ。間取りは2人暮らし向きの2LDK。生活資金に余裕が出た上、掃除も楽になり満足している。

[注]ケースは実例に基づき、日経マネー編集部で一部内容を改変しました

(ライター 福島由恵)

[日経マネー2016年12月号の記事を再構成]

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