MONO TRENDY

デジタル・フラッシュ

実録「iPhone 7を買った。ついでに格安SIMに替えた」

日経トレンディネット

2016/10/22

日経トレンディネット

2016年9月16日、iPhone 7/7 Plusが発売された。筆者はソフトバンクを利用しており、iPhone 7 Plusについても当然ソフトバンクの端末を購入するつもりだったが、在庫が多そうなApple Storeで買おうと考えていた。実は、キャリア版のiPhoneはApple Storeの実店舗でも販売しており、店舗で受け取るのであればアップルのサイトから予約できる。

そこで、iPhone 7の予約開始日にアップルのサイトへアクセスしたが、予約サイトはつながりにくくなっていた。早く予約しようと焦っていたせいか、キャリア版端末の予約方法が分からなくなり、しかたなくSIMフリー版の端末を予約した。

SIMフリー版iPhoneであれば、どのキャリアのSIMでも利用できる。ソフトバンクのSIMを挿せば今までと同様にiPhoneを使い続けることもできるが、これを機に格安SIMに乗り換えようと考えた。

実は、以前から通信料金を削減できる格安SIMに興味があり、乗り換えを検討してきた。ただ、面倒くさがりのため、乗り換えずソフトバンクユーザーのままできてしまっていたのだ。今回は、自分の不注意ではあるものの、乗り換える絶好のタイミングだ。さっそく、どの格安SIMがいいのか検討を始めた。

■データ通信料が格段に安く

せっかく格安SIMに乗り換えるのなら、すこしでもお得に使いたい。そのためには、現状の環境を確認することから始めた。

筆者はソフトバンクでは通信容量2GBのプランに加入していたが、データ通信だけで月3780円かかっていた。また、よくノートパソコンやiPadを外に持ち出して仕事をしているので、これらの端末用のモバイル通信は必須。iPhoneでテザリング・オプションを使えばモバイル通信可能だが2GBでは全く足りない。大容量プランへ変更するのも面倒。なので、これまではノートパソコンやiPadではWiMAX(月額3696円)を使っていた。

WiMAXは7GBまで使えるので、あわせて9GB、データ通信料の総額は毎月約7500円となる。一方、格安SIMは数多くあるが、10GBの容量なら月2500円前後といったところが相場。格安SIMに乗り換えれば、格段に安い料金でこれまで以上の通信容量を使えるはずだ。

■2つの格安SIMで迷う

格安SIMを検討するなかで、候補としてまず考えたのは「IIJmio」。格安SIMのなかでは老舗で、各種の速度調査を見ると利用者が増えても通信速度があまり変化していないように見える。仕事でも使うので、通信や速度が安定していそうな点はメリットだ。

もうひとつ検討したのが「LINE MOBILE」。IIJmioとは対照的に、2016年9月に登場したばかりの格安SIMだ。

LINE MOBILEの特徴は、主要SNS(LINE、twitter、Facebook)の通信量がカウントフリーになること。特にLINEはトークはもちろん、画像や動画の送受信、LINE無料通話やビデオ通話までも使い放題になる。仕事相手ともLINEやFacebookでコミュニケーションをとることが増えているので、通信制限を気にせず使い放題になる点は魅力的だ。

料金プランは両社ともそれほど大差はない。ただし、LINE MOBILEは主なSNSの通信量が控除されるため、実質的なデータ容量は増えることになる。一方、IIJmioはSNSカウントフリーはないが、データ容量を複数端末でシェアできるのがいい。

※すべてSMS(ショートメッセージ)と音声通話付きのプラン

ただ、LINE MOBILEは新規参入したばかりで、通信品質などが未知数だ。いくら通信量が増えても、通信品質が落ちてしまえば意味がない。仕事でも使うことを考えると、まだLINE MOBILEに踏み切れない。そこで今回はIIJmioに乗り換えることにした。

なお、IIJmioのデータ容量シェアは、6GBプラン(ライトスタートプラン)の場合、SIMを最大2枚まで利用できる[注1]。10GBプラン(ファミリーシェアプラン)の場合、SIMは最大10枚まで利用でき、そのうち最大3枚は無料で使える[注2]

[注1]1枚目は無料だが、2枚目は月額400円必要。
[注2]音声通話付きの場合は1枚につき月額700円が別途必要。

これまでWiMAXを使って複数端末でインターネットを共有していたが、WiMAXのバッテリーが気になったり、端末側でWi-Fiのオンオフを切り替えたりする作業が煩わしいと感じていた。だが、端末に複数のSIMを挿入しておければ、その煩わしさからも解放され利便性も高まるはずだ。

■悩ましいのは「電話かけ放題」

乗り換え先を決めた後は契約プランを考えないといけない。

これまでソフトバンクで契約していたのは、データ通信容量2GBのプランと通話定額の「通話し放題プラン」。IIJmioでも同じようなプランで契約したいところだが、注意が必要だ。

ソフトバンクの「通話し放題プラン」は、月2700円の定額料金を払えば、国内電話であれば電話がかけ放題。一方、IIJmioの「通話定額オプション」は、家族(同一契約者名義)となら最大10分間もしくは最大30分間、それ以外は1回の通話時間が最大3分間もしくは5分間に限り、オプション料金(月660円もしくは月830円)で済むというもの。

筆者の場合、仕事でよく電話するが、さすがにタイミングよく5分で切ることができない。気づくと30分を超えていたということも多いので、IIJmioのかけ放題プランは使い方に合わなかった。

そこで、電話についてはFaceTimeオーディオやLINE outなど、データ通信を使った通話サービス(VoIP)を極力利用することで、通話料を抑えることにした。当然、通信量は増えるので、ソフトバンクよりも通信量が多いプランを選択したい。

一方で、WiMAXはしばらく契約しておくことにした。理由は、乗り換えを急きょ決めたことと、格安SIMの品質を見極めたいと思ったからだ。

筆者が選んだプランは、通信量が6GBの「音声通話機能付きSIM みおふぉん ライトスタートプラン」だ。これであれば、VoIPで電話をかけたとしても使い切ることはないはずだ。

しばらく使ってみて不満がなければ、WiMAXからも乗り換えることになる。その際は、IIJmioのプランも10GBの「ファミリーシェアプラン」に変更するつもりだ。

■2年間で約9万円安くなる計算に

ここで、格安SIMに乗り換えた場合と、ソフトバンクを現行のままのプランで契約したときのコストを試算してみた。

ソフトバンクの場合、契約に2年縛りがあるので、2年間の金額で比べていく。筆者が選んだ端末はiPhone 7 Plusの256GB。ソフトバンクでも同じモデルで試算する。

格安SIMに乗り換えた場合、今回選んだ料金プランが月2397円(税込み、以下同じ)なので2年間のコストは5万7528円。これに加え、SIMフリー版iPhoneの価格が11万6424円。合計で17万3952円となる。

一方、ソフトバンクのままの場合、料金プランは月6696円なので2年間のコストは16万704円。ソフトバンクが販売しているiPhoneの端末代が12万6000円だが、端末には毎月割引があるので、それを差し引くと5万7960円。2年間のコストは合計21万8664円となる。格安SIMの通話料が今後どれだけかかるかにもよるが、格安SIMとソフトバンクとの差額は最大で4万4712円となった。

キャリアを乗り換えるには、他にも費用がかかる。まず、IIJmioへの初期費用として3240円。そしてソフトバンクからの転出事務手数料が3240円かかる。さらに筆者の場合、乗り換えるタイミングが悪くソフトバンクに契約解除料の1万260円支払うことになった。ただ、それらを加算しても、IIJmioにかかる2年間の総額は19万692円。契約解除料を支払っても、乗り換えたほうが約2万8000円お得となった。

なお、筆者はWiMAXも契約しているので、今後WiMAXから乗り換えるとお得感が増す。WiMAXは月額3696円なので2年間で8万8704円。この金額が乗り換え前の金額に上乗せとなるので、合計で30万7368円となる。

一方、今回選んだIIJmioのプランではデータ容量に不安があるので、先述した10GBの「ファミリーシェアプラン」を選ぶことになるだろう。このプランだと月額3520円、2年で8万4480円となり、2年間のコスト総額は21万7644円。ソフトバンク+WiMAXと比べて、2年で最大9万円近くの節約ができる計算だ。

■約30分で乗り換え完了

こうした料金プランや料金シミュレーションをしていたところ、アップルから「iPhone 7 Plusの出荷のお知らせ」メールが届いた。

早速ソフトバンクのMNP用窓口に電話をして手続きを開始。ここでは、MNP予約番号を発行してもらう。

MNP予約番号を取得したら、IIJmioの契約を行う。IIJmioのホームページから、「ご購入・お申し込み」をタップし、プランやSIMタイプの選択、契約者情報の入力など手順通りに進めること約30分、無事に完了できた。すべてiPhoneで作業できるので、パソコンがなくても簡単に契約できるはずだ。

MNPの受付が終了すると、メッセージに予約番号が送られてくる。この番号をIIJmio申し込み時に入力する
IIJmioの申し込み開始。SIMカードの選択、個人情報の入力をしたあと、身分証明の写真を送って、申し込み完了だ。所要時間は約30分

■開通手続きで落とし穴が……

数日するとIIJmioのSIMが届いた。早速、セットアップを開始していく。iPhone 6sのバックアップから端末にデータを移行し、SIMを入れて開通手続きという段取りだ。

IIJmioから宅配便で送付されてきたパッケージの内容。これ以外はなにもなく、非常にシンプル。右側にある、開通手続きのご案内に記載されている電話番号に電話をかけて、開通手続きをする

ただ、開通手続きする際、IIJに開通手続き用窓口に電話をかければ好きなタイミングで切り替えられるが、この受付時間が平日・休日ともに9時から19時まで。セットアップしている時間は22時を回っていたため、当日の開通手続きは断念せざるを得なかった。

昼間は仕事をしている関係上、この受付時間に開通手続きをできる日は限られる。24時間とは言わないが、もう少し時間に余裕があればうれしい。

■実際の使用感は?

開通手続きから約1時間後、iPhone 7 Plusの画面に「docomo」と表示され、開通したことが分かった。

1時間後、iPhone 7 Plusに「docomo」と表示され、開通したことが分かる
複数端末でのインターネット共有(テザリング)もできる

そこで普段使っているニュースアプリを自宅で見ることにした。時間はお昼時。格安SIMの通信速度が落ちるといわれている時間帯だ。

いつも通りアプリを使ってみたが、これまでと変わらず軽快に閲覧できた。他にもネットを検索したり、Facebookを閲覧してみたが、これも普段通り。正直、もう少し遅くなるのではと危惧していたのだが、驚くほど変わらない。

サイトの読み込み中、途中で引っかかるような印象はあったが、それも気になるほどではない。あまりにも変化がないので、負荷をかけるためYouTubeで動画を再生してみることにした。すると、しばらく読み込み中の状態が続いた後、再生できた。一度再生すると止まることもなく、視聴も快適だ。これだけの通信品質であれば問題がない。

もしかしたら、人が多いところで使うと遅くなるのかもしれないと考え、後日、業務終了後に名古屋駅に向かった。この駅は新幹線も停まるため、18~19時あたりの時間帯は、仕事帰りや出張帰りのサラリーマンでごった返す。通信品質に何らかの影響はあるはずだ。

名古屋駅ではビデオ電話で試すことにした。普段よく利用しているLINEでビデオ通話をしたが、音声、動画ともに途切れない。つながりはじめは多少動画にもたつきが見られたが、それ以降は気になることはなく快適に通話ができた。これには正直驚いた。

駅構内でFaceTimeなどのVoIPを使ったが、違和感なく通話できた
夕方の時間帯であれば、ビルの屋内でも、このぐらいの良好な通信スピードが得られた

■意外な問題が起こった

今回はソフトバンクからのMNPだったので、電話番号の変更はない。しかしキャリアのメールアドレス(softbank.ne.jp、i.softbank.jp)は使えなくなった。

今までキャリアメールで連絡していた知人にはGmailのアドレスをSMS(ショートメッセージ)で伝えた。電話番号は変わっていないので、相手に不信感を与えなくて済むためだ。また、キャリアメールを使っている場合、迷惑メール対策で「パソコンからのメールを拒否」と設定しているケースがある。そのため、確実に届くSMSを選んだというわけだ。この連絡のおかげで、キャリアメールのみでやりとりしていた知人とも継続してコミュニケーションができている。

ここまではスムーズに移行が進んだが、電話のVoIP化で問題が発生した。通話料金を抑えるために、FaceTimeオーディオやFacebook Messengerの通話などに加え、LINEから固定電話や携帯電話に格安で電話できるLINE outを使うことにしたが、LINE outでは相手に電話番号が通知されず、取ってもらえない事態が生じたのだ。

キャリアメールがなくなったことをSMSで連絡。これなら相手に名前も表示され、疑われることはない
LINE outで電話したときの、相手側の画面。「不明」と表示されてしまい、誰からの着信か分からない

調べてみると、NTTドコモやソフトバンクは、電話番号偽装対策としてLINE outなどからの着信は、すべて番号を非表示にしていることが分かった。そのため、通話先のキャリアがNTTドコモやソフトバンクの場合、筆者からのLINE outは「不明」と表示されてしまうのだ。これは格安SIMでなくても起こるLINE out固有の問題だが、格安SIMを機にVoIPを活用しようと思っていた筆者にはかなり深刻な問題だ。

今さらながら、IIJmioの通話定額オプションをつけようかとも思ったが、最大5分の制約がやはりネックだ。とはいえ、問題となるのはLINE outでの通話だけなので特別な対策をとるのも難しい。

現状では、通話料金が30秒あたり10円になるIIJmioの専用アプリ「みおふぉんダイヤルアプリ」を使って通話することで、しばらく様子を見ようと考えている。このLINE out問題の抜本的な解決にはしばらく時間がかかりそうだ。

格安SIMの開通後、1~2週間ほど使っているが、ほとんどストレスを感じることはない。格安SIMは「通信速度が遅くなるのではないか」「電波状況が悪いのではないか」など不安を持っていたが、実際に使ってみるとこれまでと変わらない。乗り換えるまでの手順も、難しくなくスムーズだ。これだけ簡単なら、もっと早く格安SIMに乗り換えればよかったと思った。

ただ、格安SIMに乗り換えた知人などに話を聞くと、通信速度が急に遅くなったという話も聞く。今後は分からないが、この通信品質が続くならばSIMを追加してタブレットなどの複数端末で使ってもいいだろう。

(ライター 村瀬浩司)

[日経トレンディネット 2016年10月5日付の記事を再構成]

MONO TRENDY 新着記事

MONO TRENDY 注目トピックス
日経クロストレンド
NTTドコモが店頭の看板から「ドコモ」を消したワケ
日経クロストレンド
日本初「カチッと鳴る」歯ブラシ ライオンが開発
日経クロストレンド
日本電産・永守重信会長 最後の大仕事は大学
日経クロストレンド
30代前半で世帯年収1000万超 好きなブランドは?
ALL CHANNEL