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白ワインにも健康効果はあるのか 実は……

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
 今、ワインが人気だ。実はここ数年は「第7次ワインブーム」と言われ、日本のワインの消費量は過去最大を更新している。今なぜ、ワインが人気なのか? その背景には、安くておいしいワインが手軽に入手できるようになったという面もあるが、忘れてはならないのが「健康にいい」というイメージだ。
 「ワインは低糖質 ポリフェノール以外にも効能」「ワインの健康効果は価格と関係あるか」では知られざるワインの健康効果を紹介してきた。今回は、白ワインの健康効果に迫る。ワインの健康効果というと、もっぱら赤ワインばかりクローズアップされるが、白ワインはどうなのだろうか。さらに、食前酒などでもおなじみのスパークリング・ワインについても見ていこう。

最近、ふと気が付くと手にしているのは白ワイン、ということが増えた。この傾向は私だけのことではないようだ。ワインバーなどでカウンターを見回すと、白ワインを飲んでいる人ばかりという光景もたまに見かける。特に暑い時期にはキリッと冷えた白ワインが飲みたくなるものだが、気候にかかわらず、最近、白ワインを選択する人が増えているように感じる。

実際、少し前の調査になるが、国税局による「ワインに関するアンケート」(2007年5月31日~2008年11月22日)によれば、最近の日本人は赤ワインより白ワインの方を好む傾向がみられる。同アンケートでは、30.9%が白ワインが好きと回答したのに対し、赤ワインは28.8%と、わずかだが白ワインが上回った(有効回答数171件・複数回答、20代以上の男女が対象)。

ワインが日常的な食卓に取り入れられるようになった結果、和食に合いやすい白がより好まれるようになっているという声も聞く。「フレンチ・パラドックス」(「ワインは低糖質 ポリフェノール以外にも効能」参照)の影響で、圧倒的に赤ワインの消費が多かった1990年代後半とは状況が異なるようだ。

しかし、今回のテーマである"健康にいい"という面では、白ワインの影はちょっと薄い。記事を書くに当たって、周りの知人に「ワインのイメージは?」と聞くと、「赤ワインは健康にいいよね」という返事がすぐに返ってくるが、「白ワインは?」と聞くと、「好きだけどカラダにいいのかよくわからない」といった回答が多かった。

「健康にいいワインは赤ワイン」というイメージが強いが、実は白ワインにも優れた健康効果がある。「牡蠣にはシャブリ(白ワインの一種)が合う」とはよく言われることだが、それには味わいだけではない、健康に関係する立派な理由があるのだ。

そこで、メルシャン酒類研究所所長を務め、ワインの醸造と健康効果両方の研究に取り組んできた山梨大学ワイン科学研究センターの佐藤充克客員教授にご登場いただき、白ワインの健康効果について聞いていく。佐藤教授によると、ある製法で作った白ワインには、他のワインにはない"いいこと"もあるという。こうしたあまり知られていない白ワインの効能について紹介しよう。

果皮と種子を除いて仕込む、だからポリフェノールが少ない

先に、白ワインと赤ワインの違いを簡単におさらいしておこう。違いは大きく2つある。一つはブドウの違い。赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンなどの黒ブドウを使って作るが、白ワインはシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、甲州などの白ブドウから作られる(厳密には、黒ブドウからも白ワインは作ることができるがここでは割愛する)。

そしてもう一つは、赤ワインはブドウの実を果皮や種ごと発酵槽に入れて発酵させるが、白ワインは、収穫したブドウを破砕したらすぐに圧搾機で搾汁する。そして、その果汁を発酵槽で発酵させるのだ。

つまり、白ワインは果皮や種にある成分があまり抽出されない。ブドウに含まれるポリフェノールの多くは果皮や種に含まれている。このため、白ワインは赤ワインに比べてポリフェノールの量が少なくなってしまうわけだ。実際、佐藤教授らがさまざまなワインのポリフェノールの含有量を計測した結果によると、300~700ppm程度で、赤ワインの半分から数分の1程度となっている。

白ワインのポリフェノールは少ないが性能がいい

佐藤教授によると、白ワインに含まれるポリフェノールは量は少ないが、ある特徴があるという。

「白ワインのポリフェノールの総量は赤ワインに比べて少ないのですが、赤ワインのポリフェノールに比べて分子量が小さいという特徴があります。このため、胃や腸内で吸収されやすく、抗酸化作用が早く現れます。つまり、量は少ないのですが性能がいいわけです」(佐藤教授)。特に、日本で栽培されている甲州種の白ワインは、低分子ポリフェノールが多く含まれているという。

ちなみに、白ワインの中でも「樽」で熟成させたタイプのものは、ポリフェノールの含有量が少し増えるという。樽に使われる木に含まれるポリフェノールがワインに移るためだ。一般に、カリフォルニアなどのニューワールド産の白ワインは、樽の香りが強いものが多いが、そういったタイプはポリフェノールが多いそうだ。

白ワインには強い殺菌効果がある

白ワインならではの優れた健康効果もある。それが、大腸菌、サルモネラ菌などの食中毒菌に対する強い抗菌力だ。

「白ワインには、赤痢菌、サルモネラ菌、大腸菌などの食中毒菌に有効であることは古くから知られています。これは、白ワインに含まれるアルコールと有機酸の相乗的な働きによるものです」と佐藤教授。

実際、佐藤教授が実験したところ、白ワインでサルモネラ菌、大腸菌をそれぞれ培養したところ、サルモネラ菌は10分間、大腸菌は20分間で10万個の細菌が数個まで減少したという。佐藤教授によると、「赤ワインでも同じように殺菌効果がありますが、殺菌力は白ワインの方が強い」という。

食いしん坊なら、「生牡蠣にはシャブリ」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。シャブリとは、フランスのシャブリ地区(ブルゴーニュ地方の最北端)で生産されるシャルドネ種で造った白ワインのことだ。一般に「味、おいしさ」の面で相性がいいという意味で使われることが多いが、それだけではなく、「雑菌汚染が問題になる生の魚介類を、即効性の殺菌効果が高い白ワインと一緒に食べることで安全が高められる」(佐藤教授)という側面もあったわけだ。

白ワインの健康効果はこれだけではない。ワインには赤白を問わず血圧を下げ新陳代謝を活発にしたり、腸内環境を整えたりする効果がある。新陳代謝を活発にする効果は、ワインに多く含まれるカリウムによるものだ。カリウムには利尿作用があり、体外にナトリウム(塩分)を排出してくれる働きがある。また、赤白ワインいずれにも多く含まれる有機酸により、腸内細菌群のバランスを整え、ビフィズス菌などの善玉菌を増やす効果も期待できる。

固有の「甲州」種はアミノ酸が豊富

白ワインにはその製造法により、健康効果が高まるものもある。その一つが、最近人気の白ワイン用のブドウ「甲州」種を醸造する際に使われる「シュール・リー」という製法だ。

シュール・リー製法とは、フランス・ロワール地方で、「ミュスカデ」というブドウなどから白ワインを造る際に伝統的に使われる手法で、ワインの香りやボディーを豊かにするために用いる。甲州は山梨を中心に栽培されている日本固有の品種だが、これまで味わいが平板だといわれ長い間評価が低かったことから、この製法が導入されたのだという。

シュール・リーとは「オリの上」という意味。通常、発酵が終了したワインはタンクや樽の底に酵母や酒石などがオリとして沈むため、その上澄みだけを別のタンクなどに移すが、シュール・リーはワインを沈殿したオリの上で半年ほど熟成させる。「こうすることで、酵母から抽出されたアミノ酸が増え、栄養価が高いワインになります」と佐藤教授。「私が行った実験では、アミノ酸の中でも、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジンが特に有意に増加しました」という。

また、甲州種には、「プロリン」というアミノ酸が多く含まれている。「プロリンは、破壊されたコラーゲンを修復する力を持ち、肌に潤いをもたらす天然保湿成分です。甲州ワインには多量のプロリンが含まれていて、シャルドネなどのヨーロッパ系ブドウ品種を用いて醸造されたワインと比較すると、2~3倍多く含まれています」(佐藤教授)

スパークリング・ワインの健康効果は?

最後に、食前酒などでおなじみ、最近では専門のバーがあるほど人気のスパークリング・ワインについて佐藤教授に聞いてみた。健康効果は、その味わいや色合いから白ワインに近いように思えるが、実際のところはどうなのだろうか。

「スパークリング・ワインは、まず白ワインを作り(一次発酵)、これに糖分と酵母を加え、瓶やタンク内で二次発酵させます。このため、健康効果は白ワインとほぼ同じになります。しかし、酵母と接している時間が長くなり、アミノ酸などの成分がワインに溶け出すため、通常の白ワインに比べて、アミノ酸成分が豊富になります。殺菌効果も白ワインと同じなので、魚介類と合わせるのにも適しています」と佐藤教授は説明する。

なお、スパークリング・ワインに含まれる炭酸(二酸化炭素)は、この二次発酵によりできるのだが、安価なスパークリング・ワインでは、白ワインに二酸化炭素を吹き込んだだけという製法をとっていることもあるそうだ。そのため、健康効果を考えるなら、伝統的な製法で作られるシャンパン(フランス)、カヴァ(スペイン)、スプマンテ(イタリア)、ゼクト(ドイツ)や、それに相当する製法をうたっているワインを選びたい。

この人に聞きました

佐藤充克(さとう・みちかつ)さん
 山梨大学ワイン科学研究センター・客員教授、農学博士。東北大学農学部卒業後、メルシャン入社。東京大学農学部、カリフォルニア大学デービス校を経て、メルシャン酒類研究所・所長に就任。赤ワインのポリフェノールの研究を進める。NEDOアルコール事業本部、研究開発センター所長、山梨大学大学院ワイン科学研究センター、ワイン人材生涯養成拠点・特任教授、山梨県果樹試験場・客員研究員などを歴任。ワイン及びポリフェノールに関する論文多数。

(ライター 大塚千春)

[日経Gooday 2016年9月28日付記事を再構成]

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