朝ドラの美子役 杉咲花が宮沢りえの娘を映画で熱演
2016年春から朝ドラ『とと姉ちゃん』に出演し、高畑充希演じる主人公の妹・美子役で注目を浴びた現在19歳の杉咲花。朝ドラ後、初の出演作品は映画『湯を沸かすほどの熱い愛』だ。宮沢りえ演じる母親がガンで余命わずかとなったことから、様々な壁に立ち向かい、家族を支えようと成長していく娘・安澄役を務める。
「大事にしたのは、親子の関係性です。宮沢りえさんと妹役の伊東蒼ちゃんと初めて会った時、監督に言われたんですよ。『"見せる"芝居ではなく、家族に"見える"芝居をしてほしい』と。そこで『毎日メールする』『敬語は使わない』『りえさんのことは"お母ちゃん"と呼ぶ』とルールを決めて連絡を取りました。おかげで、撮影中は自然と"家族"でいられて。時間をかけて関係を築く方法は、私に合っていると感じました」
天才肌に見られる杉咲だが、実は役をつかむまで悩むことが多いという。今回演じた安澄は、監督が杉咲をイメージして当て書きした役だったが、「私の持っているモノを出し切ろうと臨んだんですが、本読みの段階で『それは安澄じゃない』と監督に言われて焦りました」。しかし、宮沢と本気でぶつかり合うなかで役をつかんだ。
「お母ちゃんが言ってくれたんです。『どれだけ時間がかかっても大丈夫』って。『もう1回』と私が監督に言われるたびに同じお芝居をしてくれ、自分は映っていない時も私のために何度も涙を流してくださる。やっぱりすごい、私もそうなりたいと思いました」
朝ドラでは間を取り過ぎない芝居を
9月に放送終了した『とと姉ちゃん』も、貴重な経験となった。
「私はこれまで若い役を演じることが多いので、20歳を演じるのもどうしようという感じなんですが、最後は60代まで(笑)。『大人に見えるかな』と不安でした。また、朝ドラは1話15分なので、間を取りすぎない、コンパクトなお芝居を求められるんです。私はそれに戸惑ったんですけど、高畑さんは短い時間で、胸を打つお芝居をされていて……。すごく刺激的でした」
高畑も宮沢も、舞台で腕を磨いた。杉咲も興味が湧いたようだ。
「お母ちゃんに『舞台をやると変わるよ。花の年齢でやれたら、すごくいいことだと思うよ』とアドバイスをいただきました」
来年は20歳。さらに幅広い舞台で"花"を開かせていきそうだ。
ガンを宣告され、出奔中の夫を連れ戻した双葉。家業の銭湯を再開すると、娘の安澄を連れて旅へ出る……。余命モノとして泣けるだけでなく、予想外の展開とラストに衝撃を受ける人間ドラマ。
脚本・監督:中野量太/宮沢りえ、杉咲花、松坂桃李、オダギリジョー/2時間5分/クロックワークス配給/新宿バルト9ほか全国公開中
(ライター 泊貴洋)
[日経エンタテインメント! 2016年11月号の記事を再構成]
11月2日(水)杉咲花
11月3日(木)広瀬アリス
11月4日(金) 知英
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