海ドラ1位『ウォーキング・デッド』ゾンビ人気の理由
2016年9月 海外ドラマ月間レンタルランキング
海外ドラマのレンタル人気作1位は、ゾンビに支配された世界でのサバイバルを描く『ウォーキング・デッド』のシーズン6。シーズン1~5もトップ30に全作ランクインしており、近年の海外ドラマで最大のヒット作となっている。隠れたヒット作としては、極悪バイカーチームの抗争劇『サンズ・オブ・アナーキー』が3作ランクイン。TSUTAYAの海外ドラマ9月度レンタルランキングを基に、人気作を紹介しよう。
1位となった『ウォーキング・デッド』シーズン6。"ウォーカー"と呼ばれるゾンビがはびこるアメリカを舞台に、生存者である元保安官のリックをリーダーとする生存者の仲間たちが、安住の地を求めてゾンビや他の生存者グループと戦いを繰り広げる。ゾンビものと聞くと、ゾンビと戦う派手なアクションやグロテスクな特殊メークの場面が売りものと思うかもしれない。そうした要素もあるが、この作品が面白いのは、戦う相手がむしろ人間同士であること。生存者グループ内での確執や他のグループとの対立がスリリングかつ濃密に描かれ、見る者をくぎ付けにする。
特に、シーズン3と4では総督と呼ばれる冷酷な悪役が登場して、生存者が住む町や刑務所を舞台にすさまじい戦いを繰り広げ、ファンは大いに盛り上がった。そして彼を上回り、シリーズ最凶と恐れられる悪役ニーガンが登場するのがシーズン6。全16話のうち前半の8話がレンタルされて、圧倒的な回転を見せている。
TSUTAYA MD販促部映像ユニット レンタルチーム 海外ドラマ担当の中山知美氏によると、「シーズンを重ねるごとに視聴者を増やし、向かうところ敵なし。シーズン6は30~40代を中心にレンタルされているが、新たにファンになった20代がシーズン1から借りるため、全シーズンがランクイン。ファンが後から増え続けているのが特徴です」。
ちなみにハロウィーンのイベントでゾンビのメークが流行して久しいが、そのメークの元ネタのひとつがこの作品である。10月からは最新作となるシーズン7の全世界放送が始まり、日本では10月24日から放送がスタート。こちらも話題を呼びそうだ。
地獄から天国へ広がる世界観で魅了
2位には10年以上のロングランヒットを続ける超常現象アクションシリーズの第11シーズンにあたる『SUPERNATURAL(スーパーナチュラル)XI』が入った。地獄や煉獄(れんごく)からの様々な魔物や超常現象と戦う、イケメンの悪魔ハンター兄弟を描く。
今シーズンでは、かつて神が封印した黒い闇"ダークネス"が敵となる。海外ドラマはシーズンが進むにつれて登場するキャラクターが増え、複雑な人間模様が繰り広げられるケースが多いが、本作はレギュラーキャストがきわめて少ないのが特徴。悪魔ハンター兄弟、天使、地獄の王の4人を中心にストーリーが展開する。それぞれのキャラが魅力的なのに加え、地獄から天国へと広がっていく奇想天外なストーリーと世界観が多くのファンを魅了し続けている。
3~5位は、8月度にトップ5入りした作品が引き続きランクイン。3位の『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』は、シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンを演じたベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンが世界的に大ブレイクした人気シリーズの特別編。原作と同じ19世紀が舞台で、それまで現代のロンドンで活躍してきた2人を過去の世界に出現させて話題を呼んだ。4位の『SUPERGIRL/スーパーガール』は、スーパーマンのいとこが地球を守るべく、スーパーガールとして宇宙から来た敵と戦う。派手なアクションが売りだ。5位の『HEROES REBORN/ヒーローズ・リボーン』は、世界的なメガヒット作『HEORES/ヒーローズ』シリーズの新章。日本人女優の祐真キキが抜てきされ、"刀ガール"ことミコ・オオトモ役で活躍している。
極悪バイカーチームの抗争劇が人気
ランキングの30位までを見ると、『サンズ・オブ・アナーキー』がリリースされているシーズン1~3全部がランクインした(14位、17位、24位)。全米では2008年にケーブル局FXで放送が始まり、7シーズン続いた人気シリーズだ。放送後もファンの熱い支持を受けて、スピンオフの製作が決まっている。
極悪バイカーチームが愛する街を守るため、敵対するギャングや汚い手を使う警察と戦うクライムアクション。過激なバイオレンスや頭脳戦、チームの絆や男気が見どころのアウトロードラマだ。主演を務めたチャーリー・ハナムが甘いマスクと精かんな肉体で女性ファンをとりこにして大ブレイク。映画『パシフィック・リム』に主演するなど活躍が目覚ましい。「海外ドラマファンの間では隠れた注目作でしたが、ようやく日本でも8月からDVDリリースが始まり、知る人ぞ知るヒット作となっています」(中山氏)。シーズン4以降は、2017年1月まで毎月リリースが続く。
また、アメリカの映画・テレビ界ではアメコミの映像化がブームになっている。レンタルでも、4位の『SUPERGIRL/スーパーガール』をはじめ、7位『THE FLASH/フラッシュ』、9位『GOTHAM/ゴッサム』、10位『ARROW/アロー』と4作がランクインした。アメコミの版元にはDCコミックスとマーベルの2陣営があり、4作はいずれもDC作品。DCからは続いて10月5日に『レジェンド・オブ・トゥモロー』がリリースされる。また、マーベルからは11月に『マーベル/デアデビル』がリリースとなる。年末にかけて、アメコミ作品がランキングをにぎわすことになりそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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