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未知なる自分を探しに 真っ暗闇への旅

2016/10/20

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は外苑前駅から歩いて8分ほど

 地下に向かう階段を下り、ほの暗い待合室で光を発するスマートフォンや時計をスタッフに預ける。視覚障害者用の白い杖(つえ)を受け取り、案内スタッフ(アテンド)に導かれて仲間と扉をくぐると、照明が消え、やがて完全な闇になった。体温、息遣い、汗。ひんやりとした暗闇の中でも、仲間が近くにいるのがわかる。

 東京メトロ銀座線の外苑前駅から徒歩8分。神宮球場からほど近い、ビルやレストランが立ち並ぶ外苑西通り沿いに、間接照明に照らされたコンクリート打ちっ放しの建物がある。暗闇の中のエンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の会場だ。

 都会の真ん中にある「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」会場は暗闇の中で異世界を旅することができる場所だ。参加者は確かだと思っていた自分の感覚の危うさや、よく知っていると思っていた家族や友人の意外な表情に出合うことになる。

■たった一筋の光もない、純度百パーセントの暗闇

地下の階段を降りて会場に向かう

 友人8人でこの会場に訪れた。私たちは貸し切りでの利用だ。視覚障害を持つアテンドの「えばやん」が私たちに「暗闇」での歩き方を教えてくれた。暗闇では視覚以外の感覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をフル回転させなければならない。互いに声をかけあい、触れなくても気配を感じることで、相手がどこにいるかを確認する。

 仲間とは互いにあだ名で呼び合うことがルールだ。暗闇のなかでは、視覚を奪われる。目から得られる情報、思い込みや先入観、肩書も意味がなくなる。あだ名で呼び合うことで、親しみが生まれる。

 体験は90分間。室内では、ビールなどアルコールや軽食を楽しむ時間も用意されている。暗闇のカフェでサーブしてくれる女性に「コーヒーは私です」と声をかけると、まったくの暗闇なのに違和感なく手元においてくれる。ここでは、アテンドに完全に身を任せるしかない場面も多い。

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