SHISHAMO 青春の情景を歌うロックで武道館制覇平均20.4歳 シングル初のバラード

2010年に高校の軽音楽部のメンバー同士で結成した3ピースロックバンドのSHISHAMO。耳に残る抜群にキャッチーなメロディーと、青春の甘酸っぱさと苦さが伝わる歌詞が特徴だ。学生時代の12年にリリースしたCDはインディーズチャート7位にランクイン。その後順調にセールスやライブ動員を伸ばして、今年1月には平均年齢20.4歳の若さで日本武道館公演を開催。勢いそのままに、春には全国のホールツアーを行い、6月には大阪城ホール公演も成功させた。

SHISHAMO
ししゃも メンバーは左から、吉川美冴貴(ドラム)、松岡彩(ベース)、宮崎朝子(ギター&ボーカル)。2013年春、高校卒業と同時に本格的にバンド活動を開始。これまで3枚のアルバムと4枚のシングルを発売。今年は、初の日本武道館、大阪城ホールでのワンマンライブを成功させた。11月からは全9都市13公演のライブハウスツアーで、自身最大規模となる2万3000人の動員を予定している。

そんな活躍をみせる彼女たちが、5thシングル『夏の恋人』をリリース。シングル曲としては初めてのバラードとなる。SHISHAMOのシングルは、疾走感のあるノリのいい曲が続いてきた。しかし昨夏の『熱帯夜』は、メロウなラブソングで、彼女たちのターニングポイントとなる1枚だったという。詞曲をメインで手がけるギター・ボーカルの宮崎朝子は、「ミドルテンポのしっとりとした曲をシングルで出すのは勇気が必要でした。ただファンの方も喜んでくれて、アップテンポな曲以外でもOKなんだと自信を持ちました」。

「夏の終わり」がテーマとなっている表題曲は、恋愛末期状態にあるカップルを女性視点から描き、「子ども時代の終わり」や「恋の終わり」がリンクする歌詞が特徴的だ。いつまでも子どもっぽさが抜けない、長く付き合っていてはダメな相手だと分かる「あなたはいっつも一番安いシャーベット」というフレーズが特に気に入っているという。「メロディーに乗った時の言葉の間も好きなのですが、歌詞としても男性のうだつがあがらない感じが表現できた好きな一節です」(宮崎、以下同)

マンガ家を目指していた時期もあるという宮崎。歌詞は物語をゼロから作っていくように書いていき、実体験を元にすることはほとんどない。また、登場人物の見た目や髪型、バックグラウンドなどを詳細に設定することで、次に彼らがどのように行動するのかをより想像しやすくしているそうだ。今作のジャケットは宮崎の手によるイラストで、そこに描かれている女性は、歌詞の中に出てくる主人公なのだという。

「夏の恋人」 移り行く季節の中で、大人の階段を上っていくことを決意する少女の気持ちを歌ったバラード。カップリング曲の『恋に落ちる音が聞こえたら』は、恋に落ちる瞬間を描いた1曲。(GOOD CREATORS RECORDS/ユニバーサルシグマ/926円)

1月の日本武道館公演はチケットをソールドアウトさせたが、あくまでもこれは通過点の一つだと考えているそう。

「この会場でライブをしたいとか、目標を掲げると、達成した時に燃え尽きちゃうので。今後も自分たちが納得できる曲を届けることがすべてだと思っています」

宮崎の描く青春時代の情景がありありと浮かんでくる歌詞は、若者だけにとどまらず、幅広い世代から共感を得られるものが多い。11月からは自身最大規模となる全国ツアーも控えている。彼女の独自の歌詞世界が多くの人に届き、ファンをさらに増やす機会となりそうだ。

(「日経エンタテインメント!」10月号の記事を再構成。敬称略、文・中桐基善)

[日経MJ2016年10月20日付]

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