東京-大阪を走り切る BMWの新型EV「i3」

新型BMW i3
新型BMW i3
日経トレンディネット

BMWは小型電気自動車BMW「i3」を改良し2016年10月1日に発売した。価格は499万~607万円。

合計511km連続走行可能で東京から大阪まで一気に走れるように

最大の目玉は、エネルギーの密度の高いリチウムイオンバッテリーの採用による航続距離の延長だ。これまでのリチウムイオンバッテリーと同じサイズで、従来は約22kWhだった容量を約33kWhまで拡大。これにより航続距離は70%アップし390km(JC08モード)まで延びたという。647ccの発電用エンジンを搭載するレンジエクステンダーモデルなら、さらにプラス121km走行でき、合計で511km(JC08モード)まで走れるようになった。つまりフル充電のエクステンダーモデルなら、東京から大阪まで充電せずに行けるようになったということになる。

これまで弱点だった航続距離を改善したことで、充電の頻度を下げられ、日常の使い勝手が良くなっただけでなく、ロングドライブも可能になったのは大きいだろう。

なおパワートレインに変更はなく、駆動モーターの最高出力125kW(170ps)、最大トルクは250Nm。レンジエクステンダーモデルが搭載する発電用エンジンのスペックも647cc、最高出力28kW(38ps)、最大トルク56Nmと従来と同じだ。


インテリアを一新し3タイプから選べるように

インテリアは一新した。グレーのクロス(織物の生地の)シートとマットシルバーのトリムを組み合わせた、スポーティーなデザインの「アトリエ」。ウッドとレザーの取り入れたトリムに、レザーとウールのコンビシートを組み合わせ、自然素材の風合いを楽しませる「ロッジ」。そして従来型を引き継ぐシートやトリムに、レザーをたっぷり使ったラグジュアリーな「スイート」。以上の3タイプから選べるようにした。


ボディーカラーには、BMW iブランドのフラグシップであるエコなスーパーカー「i8」専用カラーだったプロトニックブルーを加えた6色を用意している。

充電サービスを拡充し初年度は利用料無料に

価格は、一部装備を見直しつつ、499万円からに据え置きとなった。また、クリーンエネルギー自動車補助金も従来型同様に適用されている。受給額は最大36万5000円で、従来の最大23万9000円から12万6000円もアップしている。

またサービス面では、公共充電サービス「ChargeNow」を発売と同時に導入。これはBMWの電気自動車とPHEVを対象とした充電サービスで、全国約1万4000基の提携充電ステーションが利用可能になるもの。約1万4000基の充電器のうち約8500基が普通充電器、約5500基が急速充電器だという。

このサービスは、10月1日以降の初年登録車が対象で、初年度は無料で利用可能。翌年からは2500円の月会費が必要になるが、普通充電器なら利用料金が発生しない。また車内ナビゲーションシステムや無料のスマートフォンアプリ「ChargeNow App」を使えば、全国の充電ステーション位置や詳細情報、リアルタイムの利用状況が分かるという。さらにオプションだった3年間のメンテナンスパッケージも標準化され、ユーザーのメンテナンス費用の負担も抑えられている。

販売好調、BMW iの販売拠点も増加

BMWグループは2016年8月に単月では最高販売台数となる16万5431台を販売。日本でも8月だけで4937台を販売する好調ぶりで、BMWのペーター・クロンシュナーブル社長はその要因として、フラグシップモデルの「7シリーズ」が好調であることや、お台場にオープンした体験型店舗「BMW GROUP TOKYO BAY」の集客が好調であることを挙げた。

ペーター・クロンシュナーブル社長

日常利用を基本とするレベルの航続距離だった従来型に比べ、新型は7割増しの390kmと、よりドライブに積極的に活用できるようになり、実用性が高まった。BMW iの販売拠点は2016年7月以降に7店舗増えており、10月1日現在、全国で54店舗まで拡大しており、今後はますます日本でのBMW iブランド車両の販売に力を入れていくという。

課題は充電設備の設置エリアが地域によって偏りがあることだろう。このためBMWも新型の販売主力をレンジエクステンダーモデルとしており、EVモデルは、受注生産へと設定を切り替えている。

(ライター 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年10月4日付の記事を再構成]

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