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コーヒーをおいしく入れるポット 女優・奈津子が体験

女優・奈津子の教えて家電ティーチャー

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット

ご無沙汰してしまいました! 家電ティーチャー・奈津子です。先日、千葉県千葉市にある幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2016」に「家電ティーチャー 出張編」として取材してきました。「日経トレンディネット」のサイトに掲載されましたが、ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。最近注目を集めている「VR(Virtual Reality:仮想現実)」を中心にたくさんのブースを回りましたので、よろしければぜひご覧ください!

さて今回は、2016年9月26日に開催されたバルミューダの発表会に伺ってきました! バルミューダといえば、"面の風"を送るという、2010年発売の「グリーンファン」が有名ですよね。その後もおしゃれでコンパクトながら大風量の空気清浄機「AirEngine」、ヤカンで水を注げる加湿器の「Rain」など、数々の話題商品を世に送り出してきました。

でも最近の最大のヒットと言えば、やっぱり「バルミューダ ザ・トースター」でしょう。2015年6月に発売したザ・トースターは、発売後数カ月経っても欠品状態が続くほどの人気で、販売台数は累計15万台を突破したそうです。実勢価格が約2万5000円ですから、計算すると……!!

以前、スーパーの見切り品で激安になった食パンを焼いたところ、まるでホテルのレストランのように激ウマに変身させられたことがあり、あの感動はいまだに忘れられません。今回は何を見せてくれるのか、楽しみです。

ちなみにこのトースターは、テレビ番組や広告の打ち上げでの景品としてもたいそう喜ばれる一品です。そのような流れもあって、バルミューダがこの大ヒットの次に何を出してくるのか、業界関係者であれば固唾を飲んで見守っていたことでしょう。

今回は、そのザ・トースターに続く「Hello Kitchen!」第2弾製品とのこと。そうなったら、奈津子も行かないわけにはいきません! そこで、発表会および体験会に潜入しにきたというわけです。

第2弾のキッチン家電とは、いったいどのようなものなのでしょうか……!?

「Hello Kitchen!」第2弾はなんと「電気ケトル」!

その答えは何と、「ポット」! ポットって、あのポット……!?

実際に手に取ってみるとなかなかおしゃれで、部屋に置きたいなと思わせるかわいらしいデザインです。ただ、1万1000円というのは電気ケトルにしてはちょっと高いな、というのが第一印象でした。この価格でも欲しいと思わせる"プラスα"は、さてどこにあるのでしょうか……。

私が参加したプレス向け体験会の冒頭でバルミューダの寺尾玄社長は、「(ザ・ポットのことを)詳しく語る前に、私たちのキッチンツールへのプランを紹介したい」と話し始めました。ザ・ポットも気になるけど、そっちも気になる……!

「2015年にトースターを発売し、この日に電気ケトルを発表しました。トースターが『とてもおいしい』と言われ、『次はなんですか?』とすごく聞かれるようになりました。『まさかバルミューダが今年これ(ザ・ポット)だけということはないだろうと思われると思いますが、微妙です。炊飯器、オーブンレンジ、コーヒーメーカーの開発を、チームで並行して進めています」(寺尾社長)

ザ・ポットはどんなものなの……?っていうのも気になるところですが、炊飯器もオーブンレンジも、コーヒーメーカーも気になりますね。

「炊飯器はすっごくおいしいのですが、正直申し上げて最後のところで苦労しています。だいたい試作品の間はうまくいくのですが、量産化の段階で開発を進めていくとどこかでクオリティーが落ちます。そこから持ち上げるのにだいたい2~3カ月かかっている状況で、今ちょうどその狭間にいます。年内にご案内できるかどうか微妙な情勢ですが、炊飯器に続く商品もとってもクリエイティブなので、十分にお楽しみいただけるかなと信じて開発を進めています。楽しみにお待ちください!」(寺尾社長)

新製品の説明ではなく、いきなり次の製品開発スケジュールを紹介するというのも新しい気がしますが、いよいよザ・ポットの全ぼうが明らかに!

コーヒーをおいしくドリップするためのポット……!?

寺尾社長の説明によると、ザ・ポットの構想が生まれたきっかけは「ザ・トースター」が誕生したことだそうです。ザ・トースターでおいしいパンを楽しめるようになると、次はおいしいコーヒーを飲みたくなったのだとか。うん、分かります。

そこでコーヒーについて調べはじめ、ハンドドリップを自分でもやってみようと思い、いろいろな実験や試作を重ねました。でもなかなかうまくいかなかった理由が「コーヒーポット」にありました。

コーヒーをおいしくドリップするためには細かいお湯のコントロールが必要です。しかしハンドドリップ用に作られたコーヒーポットにはお湯を沸かす機能がなく、底が小さいのでガスコンロにおいて沸かすこともできません。電気ケトルやヤカンで沸かしてコーヒーポットに移し替えるのは面倒……。「これはちょっとおかしいな、というのがザ・ポットを開発したきっかけになった」と寺尾社長は話しました。

おいしいコーヒーを、ハンドドリップで入れるための電気ケトルということですね。男性ならではのこだわりという感じがしてきました。

ザ・ポットのコンセプトはズバリ、「コンパクトで美しい電気ケトル」だそうです。特に注ぎ口とハンドルの形状、大きさと質感などのデザイン性を重視し、その上でお湯の出るスピードなど細かい点まで研究し尽くして作られたそうです。

ハンドドリップでコーヒーを入れるだけでなく、通常のポットとしても使えるように、お湯の量を細かくコントロールできてお湯の切れも良くなっています。

容量は600mlで、一般的な売れ筋の電気ケトルの約2分の1のサイズです。マグカップでコーヒーをハンドドリップした場合は約3杯分、カップヌードルの場合はぴったり2杯分とのことです。

寺尾社長は、ここで自身の高校時代のエピソードを披露しました。歩くよりもバイクに乗っていた時間の方が長かったという、ワイルドな少年時代を過ごしていた16~17歳ぐらいの寺尾社長。いつも、散々真夜中から明け方にかけて思い切りバイクで走りきった後、明け方の5時ぐらいに国道や県道に当時ひっそりとたたずんでいた「カップヌードルの自動販売機」へ。

カップヌードルの自動販売機は、購入した直後だけお湯が出る仕組みになっていて、それを食べるのが当時一番のごちそうだったと話していました。……本当に男の人ってカップヌードル好きが多いですよね。カップヌードルの自販機なんて私は見たことありませんでしたが、夜明けに寒空の下で食べるカップヌードルはおいしそう……!

なぜカップヌードルの話が出てくるのかというと、ハンドドリップ用にお湯を微調整できるだけでなく、カップヌードルを食べるときにお湯をサッと入れられるように、お湯の出る速度も追求したということなんです。確かに、一般的な電気ケトルはお湯の出は速いですが、微調整は苦手。逆にコーヒーポットは微調整は得意なものの、お湯の出は遅いというイメージです。それを両立させたというのは、意外に結構すごいことなのかもしれません。

見た目は、とてもシンプルですが確かに美しいです。注ぎ口のカーブなどを見ると、まさに機能美という印象を受けます。取っ手にさりげなく付けられたキューブ状のアクリルの中には、お湯を沸かしている最中であることを示すネオン管が入っています。ネオン管がほんのり揺れる感じが、とっても情緒的です。一般的な電気ケトルにもネオン管が用いられているのですが、それをあえて外に見えるようにしたのだそうです。

単に「お湯の微調整ができる」、「お湯の切れがいい」、「お湯の出るスピードが速い」と言われても、その魅力はなかなか伝わりません。寺尾社長は「『もの』ではなく『体験』を売ることが大切」と話していました。単なる「もの」としてのデザインや機能、性能だけでなく、それを使うことによってどんな新しいライフスタイルが生まれるのかという想像をかき立てられると、急に魅力的に感じられるのだから不思議です。

さて、体験会はここからが本番! ザ・ポットによるハンドドリップを実際に私も体験してみました。

日本一のバリスタ指導の下、ハンドドリップにチャレンジ!

体験会には、バルミューダが販売するブレンドコーヒー「バルミューダ ザ・ブレンド」の開発にも携わったという、福岡のREC COFFEE(レックコーヒー)代表の岩瀬由和さんも登場しました。直近2回の「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」で優勝し、世界大会でも準優勝したという、「日本一のバリスタ」です。

岩瀬さんは治安的に危険な地域にある農園で直々にコーヒー豆の栽培まで携わっているというプロ中のプロ。寺尾社長は1年ほど前に岩瀬バリスタが入れたコーヒーを初めて飲んだとき、興奮のあまり涙を流したそうです。泣くほどおいしいコーヒーってどんな味なのでしょう? それがこのポットを使えば作れるのでしょうか? プレゼンテーションの最後に、最前列の数人だけ岩瀬さんが入れたコーヒーを飲む機会がありましたが、私は残念ながら飲むことはかなわず。でも岩瀬さんの指導の下、自分でハンドドリップをしてみることにしましょう。

まずはペーパーフィルターの端を折ってから円錐形を作り、ドリッパーに載せます。沸かしたお湯でフィルターを濡らしてから、コーヒーの粉をフィルター内に入れて軽く平らにしてからお湯を注ぎ入れます。フィルターを濡らすとか濡らさないとか、お湯を注ぐときに「の」の字を描くとか描かないとか、いろいろと"流派"があって、入れ方の正解みたいなものはないのだそうです。

ザ・ポットを実際に使ってみると、ペーパーフィルターの中に入れたコーヒー粉の「ここの場所に注ぎたい」というのをしっかりとコントロールできるのが分かります。狙ったところに注げるので、ストレスを感じないのは魅力的です。

お湯のスピードも研究し尽くしされただけあって、イメージ通りのスピードで出てきてくれます。ハンドル部分は円形ではなく若干楕円形になっており、手になじむようなフィット感があり、クルッと回ってしまうこともありません。私のように手が小さい女性にはうれしいですね。

肝心のハンドドリップで入れたコーヒーも渋みと酸味が絶妙なバランスで、とてもおいしく味わえました。体験会では同じテーブルの参加者が入れたコーヒーも飲ませてもらったのですが、人によって微妙に味や口当たりが変化しているのが分かりました。コーヒー粉は岩瀬さんがブレンドしたバルミューダオリジナルで、無料でコーヒー粉を付属した限定セットを販売するオンラインショップもあるようです。

ザ・ポットの最初の印象は"そこそこ"という感じでしたが、体験してみるとその魅力がだんだん分かってきました。この感動はなかなか伝えづらいので、ぜひ体験会をバシバシ開いてほしいですね。

バルミューダ ザ・ポットは"買い"!?

正直に言って、ザ・ポットに対するファーストインプレッションは「悪くないかも」って感じでした。普通の電気ケトルよりちょっと高めだけど、おしゃれでいいな……くらいの印象です。でも寺尾社長が製品の魅力を自身の体験談と絶妙なバランスで絡めながら進めていくプレゼンテーションに、どんどん引き込まれていきました。社長とは会社の製品やサービスにとって一番の営業マンなのだなと、改めて感じました。

ザ・ポットは一見するとただのおしゃれなポットですが、ある意味では研究し尽くされた「特別なポット」とも言える。そういう意味では、家電製品としては今までにはないポットなのかもしれません。見た目が美しいので、キッチンにあれば確かに上品にキッチン環境の印象を向上させ、さりげなく生活になじんでいってくれると思います。計算し尽くされた、お湯の出るスピードについても「素晴らしい」の一言です。

ただ、そんなふうに一つひとつ感動した後で、同製品の1万1000円という価格に、一瞬冷静になった自分がいたことも事実です。3000~4000円前後が相場の一般的な電気ケトルに対して、明らかに高いので……。

プレゼンテーション後のインタビューで「『ザ・ポット』の魅力は十分に伝わりましたが、大ヒットした『ザ・トースター』のようなイノベーション(技術革新)は感じられなかった」と、ちょっと意地悪な問いかけをしてみました。すると寺尾社長は、「イノベーション、イノベーションって言ってた以前のバルミューダだったら、これは出さなかったと思います」と素直に答えてくれました。

「お客さんは『イノベーション』より『うれしさ』の方が大事なんですよ。イノベーティブかどうかなんて、そんなに大事なことじゃないじゃないですか。お客さんにとっては、それがいくらで買えて、どういう風に生活を変えてくれるかの方がよっぽど大事ですし、そっちの方が売れるんです。『売れる』というとイヤらしく聞こえるかもしれませんが、逆に言うと『買われている』ことであって、それはお客さんに『選ばれている』ということです」(寺尾社長)

寺尾社長はさらに続けます。

「お客さんを『うれしい』と思わせる製品が売れれば、社会が活性化して、家も活性化する……そんなことが起きてくるんじゃないかなと思います。そう考えていくと、電気ケトルという簡単なアイテムでも、もっと人々をうれしくすることができるよね……ということで今回の開発がスタートしました。必ずしもイノベーティブである必要はないのではないかということです」(寺尾社長)

確かに、ザ・トースターがヒットしたのはシンプルに「パンをおいしく食べられる」からであって、「スチーム技術と秒単位の温度管理技術」に魅力を感じたわけではないですよね。

私としてはザ・トースターはデザインがいいと思いますし、実際に焼いたパンをおいしく味わった経験もあり、開発ストーリーも聞いているので、あの価格(直販価格2万2900円)が高いとは思いません。口コミで買われたという人も、テレビやラジオ、雑誌、Webなどさまざまなメディアで紹介されて「おいしい」と評判になり、身近な人からもおいしいという声が上がってくるからこそ「買ってみよう」という気になるのだと思います。

ザ・トースターのように口コミ情報が多数上がってくるのであれば別ですけど、今後消費者がお財布のひもを緩めるようになるためには、やはり実際に手に取ってデザイン、質感、使い勝手のよさなどにどれだけ触れられるか、そこでどのぐらい感動できるかにかかっていると思います。電気ケトルに対して何のこだわりもない消費者は、やはり安いものの中から容量やデザインで気に入ったものを選ぼうとすることでしょう。これまで以上に、メーカーが伝えたい価値を伝えるのが難しい製品だなという印象を持ちました。

ザ・トースターのときはパンを焼いて試食するイベントを多数開いたそうですが、ザ・ポットの場合は今のところそういうイベントを開催する予定はないそうです。でも、使い勝手をユーザーが実感するためには、ぜひ体験会を開いてほしいものです。

もしこの製品がヒットしたら、ザ・トースターで「高級トースター」というカテゴリーが注目され始めたように、「高級電気ケトル」という新市場が生まれるかもしれません。ザ・トースターのように消費者に対して価値を伝えやすい製品ではないかもしれませんが、今以上に動向に注目していきたいと思います。

(文/奈津子 写真・構成/安蔵 靖志)

奈津子(なつこ)
女優・タレント。家電製品総合アドバイザー ゴールドグレード(AV情報家電)。元SDN48。特技は茶道、日舞、家電。餃子部部長。

[日経トレンディネット 2016年10月6日付の記事を再構成]

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