マネー研究所

Money&Investment

最大12回の給付金 不妊治療に初の民間保険 不妊治療サポート(上)

2016/10/18

金融庁は4月、保険業法の施行規則を改正し不妊治療の費用を保障する保険を解禁した

 なかなか子宝に恵まれず不妊治療の費用で苦労している友人がいます。私も30歳になり出産を意識するようになりました。不妊治療の費用を保障する民間保険が発売されたそうですが、どのような仕組みですか。

 晩婚化に伴って第1子出産の年齢が上がっており、不妊に悩む夫婦は増えている。国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査では、妻が30歳代で子どもがいない夫婦のおおむね3組に1組に不妊の検査や治療の経験があった。

 日本産科婦人科学会のデータなどによると、新生児の21人に1人が体外受精で生まれている。人工授精や体外受精は公的医療保険の適用対象外だ。都内の医療機関で体外受精をした場合、1回当たり約50万円の費用がかかるといわれる。

 日本生命保険が2日に発売した「ニッセイ出産サポート給付金付3大疾病保障保険」は、体外受精のために卵子を取り出したり、受精卵を子宮に移植したりする治療をするごとに最大12回まで給付金が出る。これを国からの助成金に上乗せすれば、治療費用のかなりの部分をカバーできる。

 今年4月に保険業法のルール改正で不妊治療の保険が解禁になり、日本生命の商品が業界初となる。

 この保険に加入できるのは16~40歳の女性。保険期間は10年、15年、20年から選ぶ仕組みで、最長で50歳までだ。すでに不妊治療を開始していても加入できるが、契約から2年経過するまでは治療をしても保険金は出ない。このほか、不妊治療をしたかにかかわらず、出産すると1人目は10万円、2人目は30万円といった出産給付金が出る。

 月々の保険料は年齢にかかわらず1万円前後と安くはない。がんなど三大疾病にかかったり、死亡したりすると300万円の一時金が出る保障のほか、満期でまとまった一時金が出る積み立て機能がセットになっているからだ。満期一時金として戻ってくる分を差し引くと、不妊治療や三大疾病のリスクに備えるための実質的なコストは月2000円ほどという。

 日本生命は「加入者は不妊治療のほか、乳がんなど女性特有の疾病を心配する20歳代が中心になるのではないか」(商品開発部)とみている。

 ただし商品設計上、明らかに不妊治療リスクの高い人も加入できる仕組みにせざるを得なかったため、不妊治療の保障は十分とはいえない。仮に上限いっぱい治療をしたとしても、保険金は90万円と貯蓄で代替できる水準。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏は「不妊治療のためだけに加入することは勧められない」という。

 一方、死亡のほか、がんと診断されたり、急性心筋梗塞や脳卒中で手術したりした場合の300万円の保障は大きいが、保険期間は最長50歳まで。それ以降のリスクに備えたければ別途、がん保険や医療保険に加入する必要がある。

 出産の具体的なスケジュールがないのなら、国や自治体による助成金の制度を頭に入れたうえで、比較検討できる新商品が出そろうまで待つのも一案だろう。

[日本経済新聞朝刊2016年10月12日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL