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五輪につなげ 国際観光都市・京都の文化発信ノウハウ

2016/10/16

東京五輪に向けて京都では文化関連イベントが始まる(京都市の産寧坂を訪れる外国人観光客)

五輪憲章はスポーツを文化・教育と融合することをうたう。2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、世界に日本の文化を発信する取り組みが始まる。国際観光都市として日本文化の窓口である京都には、これから4年間のけん引役としての役割が期待される。文部科学省などが主催する国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」も19日、まず京都で開催される。文化庁の京都移転構想も追い風に、古都から文化発信のイベントを続ける。

「京都の役割として、率先して日本の文化を発信していきたい」。京都府の山田啓二知事は東京五輪を見据えて、今秋から始まる文化関連のイベントに並々ならぬ意欲を燃やす。

「京都からやってくれないか」――。発端は昨年、下村博文文科相(当時)から向けられた一言だった。山田知事は京都でのフォーラムの実施を依頼されると、門川大作京都市長、立石義雄京都商工会議所会頭らに呼びかけ、京都の文化発信基地としてのアピールに動き出した。

■ももクロも登場

フォーラムは19日から4日間、京都と東京で開く。初日の会場となる京都では、松野博一文科相が開会宣言をするオープニングイベントに続き、文化芸術資源の活用についての議論、海外のクリエーターを招いてのパネルディスカッションなどの文化会議を開くほか、文化イベントなども予定している。1月に刷新した「ロームシアター京都」がメーン会場だ。

アイドルグループ「ももいろクローバーZ」によるパフォーマンスのほか、二条城でのバイオリンコンサート、世界遺産となった和食をアピールする京料理を使ったランチ提供イベント、京町家での日本舞踊や邦楽器の実演など関連するイベントも硬軟取りそろえた。

「京都文化力プロジェクト」の会合であいさつする京都府の山田啓二知事

京都では今回のフォーラムを手始めに、20年を見据え文化発信のイベントを次々に打ち出していく。自治体や経済界、文化・観光団体が中心となりイベントなどを計画する「京都文化力プロジェクト」が始動しており、5日には同プロジェクトの実行委員会が今後4年間の実施計画について議論した。

中心となるテーマは生け花、能・狂言、舞踊といった伝統文化と現代芸術のコラボレーション展示、京都の博物館や美術館、寺院などが連携して所蔵品を公開する「京のまちじゅう博覧会」、演劇などの舞台芸術と連携した参加型イベント「京のまちじゅう舞台」などだ。このほか「源氏物語」などを題材にした学術系イベント、お茶や京菓子のおもてなしなどもあり、4年間に発信する「文化力」は多彩になりそうだ。

イベントのアイデアを公募したところ、寄せられた構想は159件にのぼった。マンガ・アニメを発信するイベント、伊藤若冲生誕300年を記念した「平成の大茶会」、外国語での十二単(ひとえ)の着装講演、舞妓(まいこ)さん修業体験など府民を巻き込んだ自由な発想の提案が飛び交う。

実行委員会のメンバーからは「これまで京都には伝統芸能はそれぞれ縦に深めるものがあったが、一緒になってコラボレーションしていってもよいのではないか」といった声もあがっている。

■悲願の文化庁移転

京都が文化にこだわる大きな理由の一つは文化庁の移転だ。政府は地方創生の一環で文化庁の京都への全面移転を16年3月に決めた。地元経済界も10年来の悲願実現を後押しする姿勢で、京都商議所の立石会頭は「府や行政と力を合わせていく」と強調する。

これまで日本の文化行政といえば、補助金を交付して文化財や伝統芸能を保護するといった「絶滅危惧種保護」型の事業が中心だった印象が強い。だが、京都への文化庁移転を機に、文化財を観光に積極活用する手法やサブカルチャーの発信などを打ち出し、「攻めの文化戦略」に転じる必要もあるだろう。

「爆買い」のようなインバウンド(訪日外国人)消費がひところよりは落ちついたとはいえ、神社仏閣などに代表される伝統文化が息づく京都に対する外国人観光客の熱視線は20年に向けて一段と強まりそうだ。東京五輪を機に、京都から世界にどれだけ豊かで多彩な文化を発信できるのかが見ものだ。

(京都支社 渡辺直樹)

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