ヨロイで渋谷、パンツに家紋も…広がる戦国グッズ
モノから探る「真田丸」
大河ドラマ「真田丸」のヒットは、戦国グッズにも波及している。最近はドラマにとどまらず、他の戦国武将にまで人気が広がっているという。近年、「歴女」ブームもあり、戦国武将に関連する多様な商品やサービスが登場しているが、専門店によれば「今年に入り、その種類の増え方に加速度がついている」というのだ。最新の戦国グッズ&サービスの広がりを見ていこう。取り上げるのは「家紋グッズの広がり」「ヨロイを着て楽しむ人達」、そして「リアルなイベント」だ。
戦国武将グッズは「家紋」がポイント
関心のない人にとって、戦国武将グッズというと「やぼったい」というイメージがあるかもしれない。しかし、日本最大級の戦国グッズ専門店であり、東京スカイツリータウンのソラマチにも店舗を構える「戦国魂」の岡島純子さん(通販事業部)によると、「最近の商品デザインはどれもとても洗練されている」という。Tシャツなどは日常的に使用していても恥ずかしくないデザインが多いそうだ。
そのデザインで、重要な役割を果たしているのが「家紋」だ。
家紋は戦国武将のトレードマーク。ファンであれば、家紋を身につけることでその武将好きであることをアピールできる。その一方で、一般層にも和柄の模様として認識され、「気軽に身につけやすい」と人気だという。
家紋はシンプルなデザインであることから、さまざまなグラフィックデザインに応用しやすいというメリットもある。「家紋のデザインは男性向けでも女性向けでもないので、幅広いグッズ展開がされている」と岡島さんは解説する。
家紋入りマスキングテープに、家紋入りボクサーパンツも
実際、家紋はさまざまなグッズに活用されている。
クリアファイルやチケットホルダー、メモ帳、定規、ペン類などの文具はもちろん、トートバッグ、実際に身につけられるネクタイやボクサーパンツまである。
最近、女性に人気なのは家紋のマスキングテープ。他にも、あぶらとり紙は日用品として使いやすく、チョコレートや飴などのお菓子は、家紋がプリントされた容器を小物入れに使える点が受けている。
家紋をあしらったストラップやシールなどは、老若男女に人気が高い。「戦国魂」ソラマチ店では、観光ついでに立ち寄ってお土産に購入していく人が多いという。シール「蒔絵(まきえ)紋」は外国人観光客の多い土地柄、日本の伝統を感じやすいと人気も高いそうだ。
ヨロイを着たまま渋谷の街で記念撮影
近年、ハロウィン人気もあってコスプレも一般的になったが、戦国ファンの中にも、ヨロイを着て楽しむ人達が増えている。
2016年5月に東京・渋谷にオープンした「サムライアーマーフォトスタジオ」は戦国武将のヨロイを身につけて写真を撮ることができる写真スタジオ。用意されているのは真田幸村をはじめ6種類だ。記念撮影を行うだけでなく、各武将の歴史や、ヨロイのつくりなどについても丹念に解説してもらえる。
「女性の来店が多くて驚いた」というのは、サムライアーマーフォトスタジオスタッフの大戸昇さん。男性の来客が圧倒的多数だと予想していたが、オープン後は4割が女性だという。
ここではヨロイを着たまま、渋谷の街に出て撮影するコースも用意されている。
ヨロイを着て街に出るくらいだからマニアばかりなのかというと、そうではないらしい。「ヨロイの選び方も『好きな武将だから』というだけでなく『かっこいいから』『赤のヨロイが印象的だったから』と選ぶ人も多い」(大戸さん)というように、コスプレ感覚で気軽に楽しんでいる人も多いようだ。戦国好きのボーイフレンドへのプレゼントとして女性が申し込み、カップルで渋谷に繰り出したケースもあったという。
自宅で手軽にヨロイを着て楽しめるのが、「着れちゃう!ダンボール」。その名の通り、段ボールでヨロイを組み立て、着ることができる工作キットだ。現在、真田幸村と伊達政宗、前田利家の3種類がある。
もともとは子ども向けに企画された商品で、5月の端午の節句には大きく売り上げを伸ばしたそうだが、成人男性や女性でも着られるサイズも販売されており、「最近では大人用のニーズが増加している」(ショウワノート開発部の梅森雄輝さん)という。
USJが大阪城で戦国ショーを開催
戦国マニアだけでなく、さまざまな人たちが楽しむようになっている戦国グッズ。「真田丸」のようなテレビドラマ以外にも「イベントや舞台が戦国グッズが浸透するきっかけになっている」と岡島さんは分析する。第1回でも紹介したが、宝塚歌劇『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』の公演が始まった6月頃を皮切りに織田信長グッズの売り上げが伸びているのもその一例。ドラマ、ゲーム、イベント、舞台とさまざまな入り口が用意されたことで、従来の戦国ファンではない、新たな人たちにも浸透してきたということだろう。
今、岡島さんが注目しているのが、12月16日から大阪城で開催される戦国ショー『戦国・ザ・リアル at 大阪城』。「真田丸」の人気を受けて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大阪市と共同で主催。プロジェクションマッピングなどを演出に使った本格スペクタクルショーが繰り広げられるという。
大阪城を舞台に行われるショーは、どんな人を戦国の世界に取り込んでいくのか。そしてどんな戦国グッズが人気になるのだろう。
(文 二川智南美、仲田佳恵=かみゆ)
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