プジョーの最新ディーゼル 一押しは1.6Lモデル

プジョー「308SW アリュールBlueHDi」
プジョー「308SW アリュールBlueHDi」
日経トレンディネット

プジョー・シトロエン・ジャポンの最新クリーンディーゼルエンジン「Blue HDi」を搭載したプジョーの最新モデル群に試乗したところ、最もお買得の1.6L版が一番良い感じなのが分かった。

プジョー「308SW アリュールBlueHDi」

プジョーでBlue HDi搭載車を設定しているのは5ドアハッチバックの「308」、ステーションワゴンの「308SW」、セダンの「508」、ステーションワゴンの「508SW」の4車種。排気量は1.6Lと2.0Lの2種類で、どちらも酸化触媒、尿素SCR(セレクティブ・キャタリティック・リダクション:選択還元触媒)、DPF(ディーゼル・パーティキュレイト・フィルター:微粒子フィルター)の3段階で、排出ガス中の窒素酸化物(NOx)を最大90%、PM(粒子状物質)は99.9%除去するという。

尿素SCRを使用するためには尿素水溶液「AdBule(アドブルー)」が必要だが、1年間または1万kmに1回の点検補充でよく、走行可能距離が2400km以下になると、警告灯が付き、残りのAdblueで走れる距離がメーター上に表示される。また専用タンクを満タンにしてもディーラー価格で5000円程度で、新車購入から3年間は無料の補充サービスもある。

普及版の1.6LのBlueHDi、ガソリン車のGT LINEに相当する2.0L BlueHDi

1.6LのBlueHDiは、直列4気筒SOHCターボディーゼルエンジンで、最高出力120ps/3500rpm、最大トルク300Nm/1750rpmを発揮し、燃費も21.0km/L(プジョー308)とクラストップレベルだ。プジョーのクリーンディーゼルの中では普及版の役割を持ち、308のエントリーグレードであるハッチバックの「308アリュールBlueHDi」とステーションワゴンの「308SWアリュールBlueHDi」に搭載される。アリュールは308の標準グレードでもあり、装備が充実しているのが特徴だ。

一方2.0LのBlueHDiは直列4気筒DOHCターボディーゼルエンジンで、最高出力180ps/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発揮する。トルクフルな力強い走りが自慢で、308シリーズではガソリン車のGT LINEに相当する装備を備えたスポーティーグレードであるハッチバックの「308GT BlueHDi」とステーションワゴンの「308SW BlueHDi」に搭載。508シリーズでは最上級グレードとなる、ややスポーティーなグレードであるセダンの「508GT BlueHDi」とステーションワゴンの「508SW GT BlueHDi」にこのクリーンディーゼルエンジンが搭載される。

プジョー「308SW アリュールBlueHDi」

このうち308SW アリュールBlueHDi、308GT BlueHDi、508GT BlueHDiの3台に今回試乗した。

お得な308SW アリュールBlueHDiが一番良い!

結論から先に書くと、最も印象が良かったのは、308SW アリュールBlueHDiだ。1.6LのBlueHDiは、最高出力こそ120psと平凡だが、1750rpmという日常でよく使う低回転域で最大トルクの300Nmを発揮するので、なかなか力強い走りを楽しめる。このトルクは自然吸気の3.0Lガソリンエンジンに相当する。

プジョー「308SW アリュールBlueHDi」

特に、乗っていてもディーゼル車とは思えないような静かさがすばらしく、エンジンの回転が滑らかで、峠道を走り回転数を上げても音はガソリンモデルと同じくらいだった。他社の最新クリーンディーゼルと比較しても、トータルパフォーマンスは上位にランクインする高いレベルだ。外観や装備は、ガソリン車のアリュールと基本同じで、ハッチバック、SW共にBlueHDi搭載車は20万円高に抑えておりコスパが良い。スポーティーな内外装を望まなければ、308SW アリュールBlueHDiが308シリーズのベストバイといえそうだ。

308GT BlueHDiのトルクはスポーツグレード超え

308のスポーティーグレードである308GT BlueHDiに搭載された2.0Lのクリーンディーゼルエンジンは、2000rpmで最大トルクの400Nmを発生するため加速はかなり刺激的。トルクだけなら、スポーツグレード「GTi by PEUGEOT SPORT」さえ上回る性能を持つ。

プジョー「308GT BlueHDi」

刺激の高さや運転する楽しさはGTi by PEUGEOT SPORTに譲るが、308GT BlueHDiは6速ATの運転のしやすさ、燃費の良さ、乗り心地とスポーティーさの調和がとれた走りを備えた、街乗りにも向くスポーツハッチに仕上がっているといえる。エンジン音は1.6Lに比べて特にうるさくはないものの低回転からディーゼル特有の音を発するため、ディーゼル車に乗っている感が強い。ただ回転数を上げていくとスポーティーさも感じられる音なので、ネガティブにとらえる必要はないだろう。

508シリーズはセダンもワゴンもガソリン車廃止

508GT BlueHDiはスポーティーというよりGTつまりグランツーリスモとしての色が濃い味付けだ。これまでガソリン仕様の508GTに搭載していた1.6L直列4気筒ターボは165ps/240Nmの出力があったので性能に不満はなかったものの、プジョーのフラッグシップモデルとしては、やや薄味だった。

プジョー「508GT BlueHDi」

今回、トルクフルなクリーンディーゼルになったことで、峠や高速など、力強い加速が必要となるシーンでの走りの満足度は大きく向上。車の個性や経済性を考えると、ガソリン車よりクリーンディーゼルのほうが508GTには似合っている。今後、508シリーズのガソリン車は順次廃止され、セダンもワゴンもGTに一本化されるとのこと。

マツダ「アクセラ」やMINI「クーパーD」などがライバル?

プジョーの最新クリーンディーゼルであるBlueHDiの印象はかなり良かった。特に1.6L BlueHDiは感触もガソリン車に似ており、音も静かなので、ガソリン車から乗り換えても、違和感がないことにも驚いた。欧州車から乗り換えた人には、ガソリン車より静かと感じる人もいるかもしれない。

また、308なら300万円を切るのも魅力。装備や見た目をガソリン車と同じにしたのは、クリーンディーゼル仕様を普及させたいというプジョーの狙いがあるのだろう。ユーザーにとっては、実用的なクリーンディーゼルのコンパクトカーが出現し、フランス車という選択肢が増えた。国内ではマツダ「アクセラ」に1.5Lエンジンが追加され、価格は230万3640円からと選べるようになった。また輸入車なら個性的なMINIに3ドアの「クーパーD」(300万円)もあり、クリーンディーゼル車を比較して選べるようになってきた。

その中で、2016年のプジョーの販売は8月末の時点で4686台を記録し、前年度比126.1%を記録している。今期はBlueHDi投入前から好調だったので、クリーンディーゼルモデルの投入でさらに弾みがつくかもしれない。

(ライター 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年9月29日付の記事を再構成]

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