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「撮影」を変える!ミラーレスが一眼レフを超えて進化

2016/10/21

世界最大のカメラ用品の展示会「Photokina2016」で展示された中判ミラーレスカメラ用の交換レンズ群。ミラーレスの本格化を感じさせる発表だった

一眼レフのデジタルカメラに比べると、小型・軽量なモデルが多く、幅広い人に受け入れられているミラーレス一眼だが、カメラ全体で見ると「小型で安価」「一眼レフより下位モデル」という位置付けだった。しかし、その傾向は変わりつつあるようだ。

■「一眼レフの下位モデル」ではないミラーレスの可能性

先日、ドイツで開催された世界最大のカメラ用品の展示会「Photokina(フォトキナ)2016」に参加してきた。現地では2016年末から2017年にかけて発売される数多くの新製品が発表されたが、そこで印象に残ったのは、「ミラーレス一眼の本格化」だった。

例えばオリンパスが2016年内に発売を予定しているミラーレス一眼「OM-D E-M1 Mark II」は、AF(オートフォーカス)を効かせながら、秒間18コマの連写を実現した。

OM-D E-M1 Mark II。先代モデルと共通したイメージでありながら、より曲線を取り込んだおおらかなデザインになり、 特にグリップ部が大きくなるとともに握りやすい形状となった

現状、一眼レフカメラではキヤノンのEOS-1D X Mark IIが秒間14コマ連写を実現しているが、OM-D E-M1 Mark IIはそれを上回る。センサーのサイズが違うので一概には比べられないものの、大きなミラーを高速で動かし、なおかつ寸分の精度誤差も起こさせない必要がある一眼レフに比べ、ミラーレスの方が設計の自由度が高いことを示す1つの表れと考えていいだろう。

スポーツカメラマンではないので、個人的には連写はほとんど使わないのだが、OM-D E-M1 Mark IIを使うと、これまではテンポ悪くしか撮影できなかったブラケット撮影(1回のシャッター操作で3~5枚ほどの明るさの違う写真を撮影してくれる機能)がストレスなく行える。通常撮影の感覚で、明るさの違う写真を続けて撮影できるので、露出設定の間違いで写真のイメージが違ってしまった、という失敗を減らせるのだ。カメラの使い方が変わるかもしれないと感じられた進化だった。

OM-Dの新フラグシップモデル「E-M1 Mark II」はフォトキナ開催前日、ケルン市内でパーティー形式の発表会で 「BIG NEWS」との触れ込みでお披露目された

■中判カメラもミラーレスに

もう1つ、フォトキナで印象に残ったのは、富士フイルムが2017年に発売するミラーレスの中判カメラ「GFX」だ。

中判デジタルカメラ「GFX 50S」。高画質で使いやすいシステムとして設計されている。これまでにない軽量なシステムで、来春の発売を目指して開発が進んでいる

フィルム時代の標準サイズだった135フィルム(24×36mm)をフルサイズと呼ぶ現在のイメージセンサーサイズに比べて、中判カメラは大きなセンサー(一般的には33×44mm)を採用している。センサーサイズに余裕があるため5000万画素といった多画素化が行いやすい。多画素でも画素ひとつあたりの面積が大きいためにノイズが少なく、階調に優れた画質が得られる長所も持つ。

しかしその分、価格は高い。これまでも中判のデジタル一眼レフは存在したが、比較的安価なペンタックス645Zでもレンズなしの本体のみで90万円前後。それ以外のモデルは300万~600万円が普通だった。しかし、フォトキナで、富士フイルムが発表した中判カメラはミラーレスを採用。レンズ、ファインダー込みの価格で100万円以下を目指すという。

この価格は同社の戦略的なものもあり、ミラーレスだからこの価格が実現したとは言えないかもしれない。しかし、一眼レフ構造をやめたことで、大きな可動ミラーによる撮影時のカメラぶれが低減でき、さらにレンズの設計も自由度が上がるので、大幅な画質と使い勝手の向上が期待できるのは間違いない。本体のサイズもコンパクトにできるだろう。

小型で安価な中判ミラーレスが登場することで、より暗い場所での撮影が可能になる、街の写真館などもこれまで以上に高画質な写真を撮影できるなどの可能性も考えられる。こちらもミラーレスの将来性を感じさせる製品だった。

Photokina2016会場内で、各ホールをつなぐメインの通路。会場は大きく分けて9つのホールに分かれ、端のホールまで歩くには大人の足で10分ほどはかかる。会場移動用のシャトルバスも用意されているほどの規模だ

■ミラーレスが一眼レフに置き換わるのはいつか

フィルム時代から続くいわゆる「一眼レフ」は、レンズから入ってきた光を、被写体を確認する時はファインダーに送り、実際にシャッターを切る撮影時にはフィルムに送る必要があるため、内蔵された可動式ミラーが上下に動いて光の経路を切り替えるシステムだ。この可動式ミラーを取り払ったのが、2008年に登場した、液晶モニターや電子式のファインダーを覗きながら撮影するミラーレス一眼だった。

一眼レフは可動式ミラーを上下に動かさなくてはいけないため、その動きが手ぶれを引き起こす危険があり、また故障の原因にもなる。可動式ミラーを設置するスペースが必要になるため、小型化、薄型化も難しい。今以上の高速化を実現するには、可動式ミラーを現在より速い速度で寸分狂わず上下させるという、さらなる精密さが求められることになる。

一方、ミラーレス一眼は、一眼レフに比べると、ピント合わせが遅い、電子式ファインダーの表示に遅れが生じるなどの欠点があるが、これらは技術の進化によって解消される可能性が高い。現在でも、一眼レフカメラは撮影している時、明るさや色合いなど実際に記録される映像をファインダー像で確認できないが(ファインダーをのぞいても見えるのはレンズを素通しして見た被写体だけ)、ミラーレスは撮影中にどういう明るさ、色合いで撮れるのかを目視で確認しながら撮影できるメリットがある。

これまでミラーレス一眼というジャンルは「一眼レフより下位モデル」と位置づけられており、安価で小型のモデルが中心だった。しかし、カメラの高画質化や高速化など性能がますます進化していくにつれて、デジタルカメラの主流となるのはミラーレス一眼と考えて間違えないだろう。

もちろん現時点で性能を比べれば、ハイエンドモデルは一眼レフカメラのほうがすぐれている。実は先日、仕事用にEOS-1D X Mark IIを購入したのだが、使っていると現時点でのミラーレス一眼ではおよばない点が数多くあることがはっきりわかる。特に動く被写体の目視での追いやすさ、ピントが合う時のダイレクトなフィーリングなど、カタログの数値では表れない使い勝手には、まだまだ差を感じる。

しかし、一眼レフも登場した当初から現在のような完成度の高さを誇っていたわけではない。日本メーカーで最初に35ミリ一眼レフカメラを発売したのは旭光学工業(現リコーイメージング)だが(1952年)、当時はライカが採用していたレンジファインダーシステムが主流だった。しかし、技術革新を重ねながら一眼レフは進化し、カメラの主流となっていったのだ。

では、いつミラーレス一眼が一眼レフに置き換わるのか。さすがに2020年の東京オリンピックは難しいが、2017年に開催地が決まる2024年の五輪が開かれるころには、スポーツカメラマンの使うカメラもミラーレスに置き換わっているのではないかと思うのだが。そんな視点から、各社から登場する新型ミラーレスと一眼レフを見比べるのも、過渡期の今だからできる楽しみかもしれない。

フォトキナは2年に一回開催される。写真は再来年の開催を予告するのぼり。次回のフォトキナで、カメラはどんな進化を遂げているのだろうか?

(カメラマン 吉村永)

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