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パラに続け! 文化・芸術で障害者の才能開花後押し

2016/10/12

「SOMPOパラリンアート・サッカーアートコンテスト」でグランプリを受賞した飯山太陽さん(前列中央)

東京五輪・パラリンピックに向け、五輪憲章に基づく4年間の文化プログラムが国内各地で本格始動する。その目玉の一つが障害者アーティストの育成だ。パラリンピックを通じて、共生社会の実現を目指すことは2020年の日本にとって一大テーマ。スポーツだけでなく、文化・芸術の分野でも障害者の才能を生かせる環境が整えば、ダイバーシティー(多様性)を尊重する社会の実現が一歩前進する。

文部科学省は10月19~22日に東京と京都で開催する東京五輪などのキックオフイベント「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の中で、障害者アーティストの活動を紹介するプログラムを用意している。ロームシアター京都(京都市)での「アールブリュット展」、国立新美術館(東京・港)でのアート展「ここから アート・デザイン・障害を考える3日間」などだ。

例えば、「ここから」には、精巧な表現を得意とする自閉症の切り紙作家、藤岡祐機氏のほか、知的障害者施設「やまなみ工房」(滋賀県甲賀市)を拠点に、ボタンを布に縫い付けて丸めた「ボタンの玉」を手掛ける井村ももか氏ら12人のアーティストが作品を出展する。同フォーラムの文化分野を担当する文化庁は「20年に向けた『キックオフ』という機会をとらえ、障害のある人の優れた芸術を多くの人に知ってもらいたい」(芸術文化課)と期待する。

SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長

障害者アートの支援は企業でも活発になっている。例えば、損害保険ジャパン日本興亜は障がい者自立推進機構と連携し、サッカーをテーマにした絵画を募集する「SOMPOパラリンアート・サッカーアートコンテスト」を通じて、次世代アーティストの育成に乗り出した。コンテストでは、1862作品の中から、栃木県立益子特別支援学校に通う16歳の飯山太陽さんが描いた「未来のサッカースタジアム」がグランプリに選ばれた。

「グランプリを獲得できて、とてもうれしい」。いくつものスタジアムが空中に浮かんでいる絵画を「思いつくまま、自由に描いた」と話す飯山さんは9月9日の表彰式で、はにかむような笑顔を見せた。損保ジャパン日本興亜の田村康弘取締役常務執行役員は「障害者がアートを通じて夢を実現するという素晴らしいコンセプトを陰ながら応援していきたい」と受賞者にエールを送った。

SOMPOホールディングスは文科省が開催するフォーラムに協力しており、桜田謙悟社長は7月にフォーラムの「アンバサダー」に就任した。その就任式で、桜田社長はグループで手がける介護事業に関連して「アートや絵画を高齢者と結びつける。あるいは障害者と結びつける。障害者のアーティスト、高齢者の施設とのパイプ役になっているアーティストもいるので、そういう人たちを応援したい」と語っている。

リオ・パラリンピック閉会式の引き継ぎ式

障害者アーティストの活動に注目が集まることで、創作者側も刺激を受けている。リオ・パラリンピック閉会式の引き継ぎ式のステージアドバイザーを務めたスローレーベルの栗栖良依代表は「障害のあるダンサーが舞台に上がる環境の整備、それをサポートする人材の育成などに取り組み、世界を驚かせる芸術表現を生み出したい」と今後の活動に意欲を見せる。

スローレーベルは文科省のフォーラムの関連イベント「六本木アートナイト2016」に参加し、10月22日に六本木ヒルズ(東京・港)で車いすのダンサーらによるパフォーマンスを披露するという。

五輪は「スポーツの祭典」とあると同時に「文化の祭典」でもある。スポーツではパラリンピックの注目度が上がり、障害者アスリートの存在感が強まった。今後は文化・芸術でも、4年間のオリパラ関連の文化プログラムなどを通じて、絵画や造形、舞踊など幅広い分野で障害者アーティストの活躍が期待される。その先では、障害者アーティストの経済的な自立を後押しする仕組みづくりなども課題になりそうだ。

リオ・パラリンピックで銅メダルに輝いた日本の車いすラグビーは車いす同士の激しいタックルなどで五輪のラグビーとは別の魅力をアピールし、新しいファンを獲得。日本のスポーツ全体がパラ人気によって厚みを増した。障害者アートでも、独自性や斬新さで芸術分野に新しい風を吹き込むアーティストが正当な評価を得られるようになれば、芸術分野全体でのダイバーシティーが促進され、日本の文化に厚みが加わるだろう。

(ライター 三山彩音)

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