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新婚共働き夫婦、ガラス張り収支で家計も円満に

2016/10/8

 秋はブライダルシーズン。円満な家庭を築くには安定した家計運営が欠かせない。特に共働き夫婦は互いに収入があるため、家計管理が不透明になりがちとの指摘が多い。将来の住宅購入や子育てなどライフプランを考え、無理なく貯蓄できる仕組みを作ることが大切だ。

 東京都内に住む公務員のAさん(34)は結婚6年目。団体職員の夫と毎年200万円を目標に貯金し、共通口座の残高は約1200万円になった。順調にたまっているように見えるが、Aさんの表情はいまひとつさえない。

 Aさんの家計は夫が家賃と光熱費を払い、食費などはその時々でどちらかが負担。それぞれの収入の残りは自由に使うため、2人で毎月いくら支出しているのか分からないという。実はAさんは来春に第1子の出産を控える。いまは親から譲り受けた古いマンション住まいだが、新築の購入も検討中だ。「もっと計画的にやり繰りしていれば、多くためられたはず」と話す。

■給与明細見せ合う

 「住居費や教育費など家族のお金を確実に用意するには、結婚当初からガラス張りの家計を目指そう」とファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子氏は助言する。まず必要なのが、結婚前後に互いの収入と借り入れをすべて公開することだという。

 毎月いくらの収入があるかは結婚生活の予算を立てる上で大切な情報だ。会社員なら給与明細で手取りの収入を確認しあうのが選択肢になる。独身時代に組んだ自動車ローンやカードローン、奨学金など借り入れの内容も伝える。総額だけでなく、返済計画も知らせる。借り入れの返済は固定費として毎月の負担になることが多いためだ。

 次に大まかなライフプランを決めることが欠かせない。共働きをずっと続けるのか、子どもは持つのか、持つならいつごろ何人か、住居は賃貸か持ち家かなどがテーマになる。結婚時点では共働きでも妊娠・出産や思わぬ大病で離職することも考えられる。片方の収入が減ったり、途絶えたりした際に家計をどうやり繰りするかも話し合おう。

 ライフプランがある程度固まったら、貯蓄目標を決める。「住宅購入の頭金」「子どもの教育費」「老後資金」といった具合にできるだけ明確な目的を設定し、いつまでにいくらためるか、そのために毎月いくら、ボーナス時にどのくらいを積み立てるかなどについて計画を作る。

 多くの専門家によると、共働き夫婦なら子どもが生まれるまで合計手取り収入の20~25%程度ずつためるのが目安という。「子どもが生まれると生活費や教育費が多くなり、お金はたまりにくくなる。新婚時代のため時を逃さないのが大切」(畠中氏)だ。

■生活費は一口座で

 貯蓄目標を達成するためには、日々の家計管理をどうするかがカギになる。夫婦の収入や支出、ライフプランは千差万別なので一概には言えないが、FPの国松典子氏は多くの新婚家庭の相談を受けた経験から「大きく4つのパターンがある」と話す。

 まずは全額一方負担型。夫または妻どちらかの収入だけで生活費を賄い、もう片方の収入は貯蓄を優先する。毎月の生活費以外にそれぞれが自由に使えるお金も、一定額の小遣い制で管理する。このため2人の支出総額を把握し、一定金額以内に管理しやすい。お金をためる意識が高い夫婦や、片方が出産や育児で休業中などの夫婦に多いパターンだという。

 共通財布型は生活費専用の口座をつくり、夫婦それぞれが一定額ずつ払い込む。収入に応じて不公平感が少ない負担割合に調整するのがポイントになる。振り込む手間はかかるが、2人の生活費は一つの口座に集約するため支出を把握しやすい。

 費用別負担型は家賃や光熱費は夫、食費は妻などと費用別に支払いを分ける方法。収入に差がある夫婦が採用することが多いという。口座に振り込むなどの手間はないが、それぞれの財布からお金が出ていくため全体でいくらかかっているのか分かりにくい。

 共通財布型、費用別負担型とも収入の残りは夫婦それぞれが自由に使う。このため計画的に貯蓄するのが難しい。生活資金の口座とは別に貯蓄用口座を用意し、計画した金額を毎月振り込むのが選択肢になりそうだ。

 無計画型は生活費の負担方法を特に決めず、場当たり的にどちらかが払う。夫婦それぞれが働いて得たお金を自分で自由に使える半面、家計の透明性は低くなりやすい。「結果的に貯蓄できるケースもあるが、あまりお勧めしない」(国松氏)

 どんな方法で家計を管理するかは夫婦の考え方次第だが「余裕を持って続けられる方法を選ぶことが大切」と畠中氏は助言する。管理方法を決めたら一年に1回は家計をチェックし、目標額を貯蓄できているか確認することも必要だ。(川本和佳英)

■独身時代の財産 別の口座で管理
 もし離婚する場合、婚姻から別居までに作った金融資産や住宅、家財、自動車などの財産は夫婦の共有財産とされ、2人で分ける必要がある。名義や、どちらの収入で購入したかなどは問われず、妻が専業主婦でも2人で築いたとみなされる。
 一方、独身時代の財産、相続や贈与などで受け取った分は共有財産にならない。相続や贈与の時期が結婚期間中でも自分のものとなる。弁護士の中里妃沙子氏は「独身時代の貯蓄や相続した財産などは、結婚後の貯蓄や生活費とは別の口座で管理すべきだ」と助言する。同じ口座にすると「口座自体が共有財産と判断されかねない」(中里氏)という。

[日本経済新聞朝刊2016年10月5日付]

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