費用は? 先生の探し方は? 歯列矯正5つの疑問
【1】 歯磨きで気をつけることは?
口の中に装置が入ると自浄作用が低下し、汚れが付着しやすくなる。むし歯などになっては元も子もない。しっかり歯磨きをしよう。特に汚れがたまりやすいのはブラケット周囲やワイヤーの下。「歯並びが変わるにつれ磨きにくいところが変化することも意識して」と佐奈院長。歯垢の染め出し液を使うと汚れをチェックしやすい。アライナーやリテーナーも歯ブラシで洗ってから装着を。
【2】 食事の注意点は?
歯に装置がついている間、食べないほうがいいのはキャラメルやヌガー、チューインガムなど、べたべた付着して取れにくいものだけ。食事に関する制限はあまりないが、「繊維質のものも装置にひっかかりやすく取れにくいので事前に細かく切っておくといい」と佐奈院長。ただしワイヤーを交換した日の夜や翌日など痛みが出たときには、歯に負担のかかる固いものは避けるか、細かく切って食べたほうがいい。
【3】 専門家はどうやって探す?
全国の認定医を検索できる日本矯正歯科学会のHP(http://www.jos.gr.jp/roster/)を参考に。舌側矯正を希望する場合は日本舌側矯正歯科学会のHPを(http://www.jloa.org/p/patient/recognition/)。
【4】 費用はいくらかかる?
歯列矯正は自費診療なので医療機関ごとに治療費の設定が異なるが、目安は下のとおり。古典的な金属ブラケット+ワイヤーを基本にセラミック製ブラケットなど審美性の高いものの使用や、手間のかかる舌側矯正は高めの設定になっている。医療機関の多くはホームページで公表しているので事前に確認を。
■初回相談料:3000円程度
■検査・診断料:5万円前後
■表側の矯正:60万~80万円程度・舌側・マウスピース矯正:100万~120万円程度
■ 処置料/回:5000円前後
【5】 舌の癖を治す方法は?
開咬や上顎前突の人は舌を前歯の隙間に入れないとかめなかったり、口から食べ物をこぼすまいとして舌を前に出す癖がつく。自分では気づかないが、「飲み込むときに舌に歯が触れる人はその疑いがある」と佐奈院長。矯正治療の進行を遅らせ、後戻りの原因にもなるので歯科衛生士の指導のもと「筋機能療法(MFT)」を行う。
例えば舌の先を「スポット」(下図)に常につけておくよう意識したり、舌を上あごに吸い上げて離し、ぽんぽん音を出す練習をしたりする。口呼吸がある人は風船を手で持たずに膨らませて口輪筋を鍛えるのもいい。ただし鼻の病気がある場合はその治療が先決だ。
この人たちに聞きました
昭和大学歯科病院(東京都大田区)病院長。昭和大学歯学部歯科矯正学講座教授。昭和大学大学院歯科研究科修了。歯学博士。日本矯正歯科学会専門医・認定医。昭和大学歯学部歯科矯正学講座講師を経て2003年、歯学部主任教授。13年、病院長就任。痛みの少ない装置「マニューバー」を開発
名古屋矯正歯科診療所(名古屋市中村区)院長。愛知学院大学歯学部卒業。歯学博士。日本矯正歯科学会専門医・認定医。日本舌側矯正歯科学会認定医。01年から現職。舌側矯正に詳しい数少ない矯正歯科医の一人。愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座非常勤講師
(ライター 小林真美子)
[日経ヘルス2016年11月号の記事を再構成]
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