自転車にIoT スマホ連携、ハンドルでナビ
あらゆるものがネットにつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」の関連製品が増えるなか、ずばぬけた個性を放つのが、カナダ発のスマート自転車「ヴァンホークス ヴェイラー」(輸入・販売元はFOX[注])だ。
フルカーボンの独自フレームを採用し、滑らかなシフトチェンジが可能な無段変速機構を備えるなど、見た目はスタイリッシュで高機能なクロスバイク。だが、中身は完全なるIoT仕様になっている。スマートフォン(スマホ)と接続するためのブルートゥースを搭載し、ジャイロセンサーや加速度センサー、GPSも内蔵。専用アプリに移動距離やルート、平均時速などの走行ログを残せる。
さらに、グーグルマップのナビゲーション機能と連動した専用アプリとつなげば、ハンドルバーの左右に配置されたLEDが進行方向を示して目的地まで導く。具体的には、交差点の100~200mほど手前から進行方向のLEDが点灯し、曲がる直前に点滅して知らせる仕組み。実際に試すと、日中でもLEDの視認性は高く、スマホを注視せずにナビ機能を使えるため、運転に集中できる点はメリットに感じた。
ただ、ナビ機能にはやや不満も残る。現状、国内のグーグルマップは自転車用のルート案内に対応しておらず、一方通行の道路を避けたクルマ用のルートを示されるため、自転車では遠回りになるケースが多かった。また、道を間違えると自動でリルートされるのだが、新しいルートの反映にはタイムラグがあり、複雑に入り組んだ道路では対応できないこともあった。
これらの改善点がある半面、今後の機能拡張に期待できる点もある。その一つが、2016年10月のソフトウエアアップデートで対応予定の後方車両の検知機能だ。実は、すでにリアランプに2つの超音波センサーを搭載しており、後方3mの範囲で物体の接近を感知するとハンドルの振動で危険を知らせるという。その他、自転車の盗難時に街なかのフリーWi-Fiと接続して現在位置を通知する機能も予定される。約30万円(税込み)と高価な自転車なので、進化を見定めてから検討したい。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年10月号の記事を再構成]
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