女性の7割が自覚している? 「敏感肌」の真実

PIXTA
PIXTA
日経ヘルス

女性の約半数がコスメを購入するというドラッグストアでは“敏感肌向け”コスメが人気。これだけ多くの女性たちを悩ませる“敏感肌”の正体を、専門家たちに聞きました。

ある化粧品会社が実施した敏感肌に関する調査で、回答した女性の約7割が「敏感」「やや敏感」だと答えた。コスメにも「敏感肌向け」と銘打つ商品が数多く存在し、人気を集めている。

しかし、「敏感肌という明確な医学的定義はない」というのは、宇野皮膚科医院の漆畑修院長。「私が考える敏感肌とは、刺激に反応しやすい皮膚状態のこと。敏感肌だと思っている患者の多くは、体調や季節的要因によって皮膚の感受性が高まってバリア機能が乱れているだけの人や、乾燥によって一時的に刺激が受けやすくなった乾燥肌の人が多い」(漆畑院長)

そこで、自分が本当に敏感肌なのかどうか、確かめてみよう。下のチェックで敏感肌に当てはまった場合は、医師の診察を受けよう。敏感肌に当てはまらない場合、「コスメの選び方や、生活習慣を見直すことで状態が回復することも」(漆畑院長)

肌の調子が不安定な人は、まずコスメが肌に合っているか確かめて。ひじの内側に1日2回、同じ商品を塗布し、1週間ほど経過を観察。腫れや赤み、かゆみが出なければOK。ほかのコスメでも行う。

「敏感肌」は5タイプある
1.肌荒れ過敏肌(脂漏性皮膚炎)
2.大人のニキビ(尋常性ざ瘡)
3.かぶれ(接触性皮膚炎)
4.光かぶれ(光線過敏症、光接触皮膚炎)
5.アトピー性皮膚炎

敏感肌の人はバリア機能が乱れている

正常な肌は、角層の水分が保たれ、刺激から肌を守るバリア機能が働いている。刺激物質などの影響は受けにくい。ストレスや乾燥などの影響で一時的に乱れることもあるが、保湿ケアなどで改善する。

バリア機能が異常な肌は、角層の水分が失われて乾燥しており、肌代謝も乱れるため、アレルゲンや刺激物質などの影響を受けやすい。かゆみが生じる、皮脂分泌が過剰になるといった状態が続き、改善が難しい。

 

敏感肌のなかでも悩む人が多い アトピー&ニキビの最新治療フロントライン】

■アトピー性皮膚炎

特徴
・湿疹病変(紅斑や鱗屑(りんせつ)、痴皮(ちひ)など)が見られる
・必ずかゆみを伴う
・思春期以降は上半身(頭、頚部、胸、背中など)にできやすい
・乳幼児以外は6カ月以上を慢性、新旧の皮疹も混在する

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が大きく乱れて、慢性的にかゆみを伴う、“超敏感肌”状態だ。近年は、小児アトピーに加えて大人のアトピー患者が増加中。長年、アトピー性皮膚炎の診療・治療に携わる東邦大学の向井秀樹客員教授は、「最近は高齢者のアトピー患者も増加している。これは今までなかったこと」と話す。アトピー性皮膚炎のベースにはアレルギー反応による異常があるが、「環境の悪化や、ストレスなどの非アレルギー性の要因も、非常に大きな影響を及ぼしていると考えられる」(向井客員教授)。

アトピー性皮膚炎には、必ずかゆみが伴う。そこにストレスがかかると、発散のために患部を掻かくという行為に走り、症状が悪化した結果、余計にストレスが増すという悪循環に。

また、人の体はストレスを感じると下垂体と副腎の働きでコルチゾールなどの抗ストレスホルモンを分泌する。ところが、入院を要するほど重症な患者は、持続的な強いストレスにより副腎や下垂体の機能が抑制されているという。「入院療法などで、アトピー性皮膚炎の症状が改善すると、ストレス状態も緩和され、副腎機能も正常に戻る」(向井客員教授)

つまり、大人のアトピーの改善にはストレス解消が無視できない課題となっている。運動や趣味など、ストレス対策も取り入れていくことも重要だ。

アトピー性皮膚炎治療の新潮流

・バリア機能に関わるフィラグリンを増やす
・再生医療によるバリア機能の改善
・副腎・下垂体の機能回復で予後が良好に

アトピー性皮膚炎治療の新しい主役として注目されているのが、皮膚のバリア機能を担うたんぱく質のフィラグリン。アトピー性皮膚炎の患者はフィラグリンの発現遺伝子に異常があるが、動物実験ではフィラグリンの発現を増やす薬で症状悪化が抑えられたという報告がある。

また、「幹細胞」の特性を利用し、バリア機能の改善が治療をサポートする可能性も注目されている。さらに、ストレス対策の一環として、副腎・下垂体の機能改善も注目されている。

 

■大人ニキビ(尋常性ざ瘡)

大人ニキビの治療薬はここ数年で選択肢が増え、治療の幅が広がっている。ニキビの前段階である「白ニキビ」、炎症を起こした状態の「赤ニキビ」といった、症状に合わせた処方が可能になり、ニキビをより早く、キレイに治すことができると考えられている。

15年に登場した新薬「ベピオゲル」は、過酸化ベンゾイルを主成分とする赤ニキビの治療薬で、耐性菌のリスクが低く、ニキビ跡を残さない治療が可能になった。すでに広く処方されている一方で、使い方に注意が必要という見方もある。肌が弱い人、アレルギー性皮膚炎と合併しているニキビ患者は、特に注意が必要。「塗布して赤く腫れたり、ヒリヒリする症状が続いたりするようなら、医師に相談してほしい」(明和病院にきびセンター長黒川一郎医師)

11月には新しい薬剤も登場予定で、よりきめ細かい対処が可能になる。ニキビに悩む人は皮膚科専門医に相談してみては。

漆畑修院長
宇野皮膚科医院
 皮膚科専門医、東邦大学客員教授。東邦大学医学部修了後、東邦大学大橋病院皮膚科部長、美容医学センター長などを歴任。アレルギー性皮膚疾患、美容皮膚科が専門。著書に『敏感肌の診療』(メディカルレビュー社)など。
向井秀樹客員教授
東邦大学 医学部
 日本皮膚科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。アトピー性皮膚炎、アレルギー性疾患が専門。「ストレス対策はアレルギー性皮膚炎には重要な課題。アトピーの場合、患者はストレス解消が苦手な人が多い」

(日経ヘルス 熊 介子)

[日経ヘルス 2016年10月号の記事を再構成]