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妻の家庭生活満足度は夫の料理頻度で決まる?

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日経DUAL

共働き家庭(の特に女性)にとって、食事の支度はなかなかの負担になりますよね。今回はそんな料理の男女での分担率について、国際比較をします。

夫の家事分担率の中で特に料理は低い?

こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。ある調査結果によると、女性が男性に期待する家事の首位は料理だそうです。

掃除や洗濯などと違って、料理は毎日数回、欠かさずしないといけませんからね。夫がこれを対等に分担してくれたらどんなに楽になるか……。こう思っている女性は多いでしょう。

しかし現実は甘くなく、強引にやらせてみてもスキル不足で、出された料理は食べられたものじゃない。料理は単純作業ではなく、それなりのスキルも必要です。後述するように、これは家庭科教育に関わる問題でもありますが。

日本の男性が家事をしないことは、よく知られています。共働き夫婦の夫の家事分担率は、とても低いのが現状です。1日あたりの平均時間でみると、夫の分担率は14.1%(7分の1)というありさまです。

しかるに、もろもろの家事の中で男女差が最も大きいのは、恐らく料理でしょう。 今回は、この部分に焦点を当ててみようと思います。視野を世界に広げた国際比較をすることにいたしましょう。

パートナーと同等以上に料理をする日本の男性は14.1%

国際社会調査プログラム(ISSP)の「家族と性役割の変化に関する調査」(2012年)では、パートナー(事実婚含む)のいる対象者に対し、料理の分担状況を尋ねています。選択肢は(1)いつも自分がする、(2)ほとんど自分がする、(3)同じくらい、(4)ほとんどパートナーがする、(5)いつもパートナーがする、(6)自分とパートナー以外の第三者がする、(7)分からない、の7つです。

量的に少ない(6)と(7)は除外して、(1)~(5)の回答分布を簡略化してみましょう。

25~54歳の男性の回答分布をグラフにすると、図1のようになります。ドイツが「西ドイツ」となっているのは、調査対象が東西で分かれているためです(東ドイツは、対象のサンプルが少ないので分析対象から除外)。

パートナー(妻)と同等以上にやっている者の比率が高い順に36カ国を並べていますが、日本はたったの14.1%で下から2番目です。

日本の"オトコの料理実施度"は低い

上位7カ国(インド、ベネズエラ、ノルウェー、デンマーク、アイルランド、フィリピン、アイスランド)では、半分以上の男性がパートナー(妻)と同等以上に料理をしていると答えています。トップのインドは7割。ひょっとして、定番のカレーばかり作っているのでしょうか……。

というのも上記の国際差は、料理のハードルが国によって違うことにもよると思います。日本では、手作りの主菜・副菜・汁物が備わったメニューが期待されますが、北欧では"レンチン料理"が多いとも聞きます。それならスキルがなくてもやりやすい。

しかし、こういう事情を割り引いて考えても、日本の"オトコの料理実施度"は低いと判断せざるを得ません。仕事時間がバリバリ長いからだと言われるでしょうが、そういう役割差(男は仕事、女は家庭)は変革されねばなりません。

男性の料理実施度が高いと女性の家庭生活満足度が上がる

ちなみに、男性の料理実施度は、女性の家庭生活満足度と相関しています。図2にみるように、女性と同等以上に料理をする男性が多い国ほど、女性の家庭生活満足度は高い傾向にあります。相関係数は+0.5303で、1%水準で有意と判断されます。うーん、何ともうなずける。

インドは、男性の料理実施度が高い割に、女性の家庭生活満足度は低くなっています。恐らく、男性(夫)と女性(妻)の間に評価の食い違いがあるものと思われます。夫は「やっている」つもりでも、妻からするとそうではないと。

なお、掃除や洗濯などもひっくるめた家事全般(household work)を男性がどれほどするかと、女性の家庭生活満足度の間には、有意な相関関係は見られません。料理のような毎日の、しかもスキルを要する家事の実施度が、重要ということでしょうね。

教育が問題? 家庭科の得意率は性差が大きい

われわれの世代は、家庭科は女子のみの必修科目でしたが、今の若い世代は男女共修を経てきています。そのためもあるのか、若い男性の家事実施意欲は高く、「男性も家事・育児を行うことは、当然である」に対する20代の肯定率をみると、女性より男性で高いくらいで、男性は64.0%、女性は39.8%となっています(内閣府『女性の活躍推進に関する世論調査』2014年8月)。

女性のほうが低いのは、「夫にしてほしいのはやまやまだけど、スキル不足で戦力にならない、させても二度手間になる」といった不信感もあるかと思います。これはジェンダー観念の問題ではなく、男女の家事スキル格差の問題で、学校での家庭科教育の在り方に通じます。

図3は、小学校6年生の教科の得意率のグラフです。「男子<女子」の教科とその逆の教科が、はっきりと分かれています。音楽や家庭科は前者、算数や理科といった理系教科は後者です。

家庭科の得意率は性差が大きく、男子は23.6%、女子は53.0%と倍以上の開きがあります。男子は家で料理や裁縫などをあまりしないためでしょうが、それだけではありますまい。

「男子はこの程度でよい」という到達水準の性差はないか

ある日、私が学食でカレーライスを食べていたら、手弁当をぶらさげた教え子の男子学生が「ご一緒、いいですか」と前に座ってきました。具のない(安い)カレーを食べている私をふびんに思ったのか、「一つ、あげます」とから揚げを入れてくれました。これがメチャうま。(私好みの)ニンニクしょうゆの下味もしっかりついている。

「おいしいね。お母さんが作ってくれたの」と問うと、「いいえ、自分で作りました」と答え、こう続けました。「家庭科も得意でしたよ。でも先生には変な目で見られましたけどね、男子なのにって」

私は、これを聞いて「はっ」としました。教師の役割期待に偏りがあるのだなと。形の上では家庭科は男女共修になっていますが、「男子はこの程度でよい」などと、要求する到達水準に(暗に)性差が設けられていないか。言わずもがな、子どもはそうした教師のまなざしを鋭敏に感じ取るものです。

理科教育についても、同じことが言えます。村松泰子教授(当時/現・公益財団法人日本女性学習財団理事長、東京学芸大学名誉教授)の調査結果によると、理科でよい成績をとることを期待されていると感じる生徒の割合は、女子より男子で高いそうです(『学校教育におけるジェンダー・バイアスに関する研究』東京学芸大学、2002年)。理系教科の嗜好(成績)がいつも「男子>女子」であるのは、このことと無関係ではないでしょう。この傾向は普遍的ではなく、理系職の志望率が男子よりも女子で高い社会があることも、申し添えておきます。

教師たる者、日々の教授活動の中で、子どもに向けるまなざしにゆがみ(バイアス)が生じていないかどうか、絶えず反省的でないといけません。読者の中には学校の先生もおられると思うので、このことを申し上げておこうと思います。そして、読者の皆様にも。年少の子どもの主な生活の場は「家庭」ですので。

舞田敏彦
 1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。武蔵野大学、 杏林大学兼任講師。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)など。近著は『平均年収の真実 31の統計から年収と格差社会を図解【データえっせい】』(impress QuickBooks)

[日経DUAL 2016年8月26日付記事を再構成]

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