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福原彰美さん ブラームスの最高傑作に挑む

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14歳でデビュー、15歳で渡米し、主に米国で活躍してきたピアニストの福原彰美さん。今年から日本に拠点を移して新たな演奏活動を始めた。来年にはブラームス晩年の傑作群を集めたCDを出す。米国での研さんと実績を支えに日本の聴衆をどう引きつけるか、ブラームスの間奏曲の演奏を交えて映像で聞いた。

ロマンチックなピアノの音色が白い部屋をやさしく満たしていく。福原さんが「彼の最高傑作だと思う」と言って弾き始めたブラームス(1833~97年)の晩年のピアノ曲集「6つのピアノ小品」(作品118)、その第2曲「間奏曲(インテルメッツォ)」だ。

ブラームス集大成はピアノ小品

ブラームスといえば「交響曲第1番」をはじめ大掛かりなオーケストラ曲が日本では人気があり、ピアノ曲はショパンやリストら他のロマン派の作曲家に比べ地味な扱いを受けている。しかし福原さんは「ブラームスの後期のピアノ曲が大好きで、10代の頃からずっと弾き続けている」と話す。

ブラームスが59歳のときに発表した作品番号116~119の4作品はすべてピアノ小品集だ。順番に「7つの幻想曲」「3つの間奏曲」「6つのピアノ小品」「4つのピアノ小品」。ブラームスのピアノ芸術の集大成といえる作品群で、計20曲に上る。うち14曲は「間奏曲」と名付けられている。ピアニストでもあったブラームスは晩年に改めてピアノにこだわり、随想とも実験ともいえる数々の短い曲を集中的に書いた。

福原さんは来春、ソロとしては15年ぶりとなる通算3枚目のCD録音に取り組む。そこで「ぜひとも収録したい」と言うのが作品118の「6つのピアノ小品」と同119の「4つのピアノ小品」だ。まだ30代前半の福原さんにとって「ブラームス晩年の、集大成のようなピアノ曲集をもうレコーディングしてしまっていいのかという迷いがあった」。

しかし14歳でデビューCDを出した彼女のプロとしてのキャリアは、すでに20年近くに及ぶほど長い。「作曲家がたどり着いた晩年の境地に最も興味がわく。これからもずっと取り組んでいく作品群だからこそ、ここで一度録音しておきたい」。若手にしてベテランのピアニストにとって、人生の「間奏曲」とも呼べる録音になりそうだ。

15歳で米サンフランシスコ音楽院に入学。その後、ニューヨークのジュリアード音楽院に進学した。米国での人脈を生かして演奏活動を続けてきた。特に室内楽のピアニストとして大物演奏家から指名され、共演を重ねてきた。

米国の大御所と共演重ねる

主な共演者はサンフランシスコ交響楽団のメンバーのほか、米国の大御所チェリストのクリスティーヌ・ワレフスカさん、それにチャイコフスキー国際コンクール優勝の世界的チェリストのナサニエル・ローゼンさん。ワレフスカさんと共演したCDは複数出ている。日本に拠点を移した今年以降も米国人脈は生きる。10月9日には、南カリフォルニア大学で20世紀最高のバイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツに学んだローゼンさんら弦楽奏者3人とともに、山手ゲーテ座ホール(横浜市)でシューマンの「ピアノ四重奏曲」を演奏する。

一方で今後は日本でのソロ活動にも本格的に取り組む。これまでも毎春、すみだトリフォニーホール(東京・墨田)でソロコンサートを続けてきた。その際には米国の現代作曲家の作品も本邦初演してきた。2017年2月10日には汐留ベヒシュタイン・サロン(東京・港)でショパン作品のコンサートも開く。「今の私にとって守護神はブラームスとショパン」と話す。9月13日にハクジュホール(東京・渋谷)の1階サロンで開いたコンサートもショパン中心の演目だった。それでも「久しぶりにCD録音する機会を得たからには、まずはブラームスに取り組む」と話す。

古典と現代をつなぐ「間奏曲」

本紙電子版「ビジュアル音楽堂」の過去記事と映像でも確認できるが、ブラームスの作品を好む第一線の演奏家は非常に多い。特に晩年のピアノ曲はシンプルで緩やかで簡単そうだが、楽譜を見れば、非常に複雑に書かれていることが分かる。メロディアスな優しい顔の裏には「ものすごく頭脳的なテクニックが隠されている」と福原さんは言う。3拍子で整然と小節が割られていても、リズムは各小節をまたいで微妙にずれていく。単純に聞こえる音も、実際には鍵盤上の遠い音を複数、それも微細にずらして鳴らす場面が多い。通好みの音楽なのだ。こうした複雑で重層的な音符を「3D(3次元)映像のように立体的に響かせたら、新しいブラームス像が生まれる」と福原さんは話す。

現代音楽の開祖の作曲家アルノルト・シェーンベルクは論文「進歩主義者ブラームス」でブラームスの音楽の現代性を看破した。分かりやすいメロディーと確かな古典形式による保守的な作曲家、そんな従来像を覆す新しいミニマルな響きは、さりげなく難しい晩年のピアノ小品からも聞こえてくる。古典と現代をつなぐ「間奏曲」ともいえる。ヴィルヘルム・ケンプ、グレン・グールド、ヴァレリー・アファナシエフ、そして日本の田部京子。演奏頻度が少ないとはいえ、ブラームス晩年のピアノ作品群で名盤を生み出した歴代ピアニストにはそうそうたる名前が挙がる。

派手な超絶技巧に拘泥しない音楽。人生の苦楽を味わった者だけが達する境地。だがそんな境地もさらに高い次元へと向かう「間奏曲」だとしたら、踏み込むのに早すぎることはない。「ブラームスはシャイな性格だったといわれるが、とてもロマンチックだと思う。だからわざと分かりにくく書いている部分もたくさんある。深みのある渋い曲が好きなので、ぜひ挑みたい」と話す福原さんのアプローチに期待がかかる。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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