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森山直太朗 世界に一つの「ギターにもぼろ」

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NIKKEI STYLE

著名人が、お気に入りのモノについて語る連載「私のモノ語り」。今回の語り手は、「さくら(独唱)」や「夏の終わり」などタイムレスな名曲を紡ぐ、シンガーソングライターの森山直太朗さん。今年でデビュー15周年を迎えますが、音楽活動を続ける上で欠かせない相棒のひとつが、アコースティックギターです。母親である歌手の森山良子さんがギターを家に置いていたこともあり、幼い頃からギターとは友達。楽曲制作からライブでの演奏、プライベートでの使い道などなど、様々な場面で手にするギターとの関わり方や思いについて語るうち、森山さんの音楽やものづくりへの真摯な姿勢が透けて見えてきました。[前編はコチラ

母が物置に放置していたホコリだらけの名器を救出

この前お話しした「ぼろ」が、今の僕のプライベートで大切な「モノ」の代表だとすれば(前編「『ぼろ』に和む 森山直太朗、曲に重ねるシンパシー」参照)、アコースティックギター(以下、ギター)は僕のやっている活動、生業(なりわい)の象徴のような「モノ」です。歌う時にギターがなくても歌えますが、持っていた方がもっと頑張れる。まだまだへたっぴですが、僕の歌の支えになってくれるものです。

曲を作るときもギターはとても役立ってくれます。だからこそ、自分の手癖みたいなものが出てしまうこともあり、あえて手放すこともあります。物書きの人なら、今日はいつもと違って鉛筆で書いてみるとか、違う場所で書くような感覚かもしれません。そうすると違うアイデアが浮かんだりするんですよね。

僕とギターの出合いは、本当に小さい頃。母が入手したであろう、マーチン・ギターのOOO-42(以下、トリプルオー)が最初だったと思います。このギターは、エリック・クラプトンがアンプラグド・ライブで弾いたり、僕の尊敬するニール・ヤングが愛用する名器ですが、こだわりのある人が選ぶギターでもあって、万人受けするタイプではないのかなという印象です。

たとえば、同じマーチンでも、(ドレッドノートシェイプの)D45やD28は、リーバイスジーンズでいうところの501のように、長年誰からも愛される定番中の定番。それに比べてトリプルオーはリーバイス502(ごく短期間生産されたがすぐに廃盤となった)のようなポジションだったりする。……学生時代にアメカジ(アメリカン・カジュアル)やジーンズに凝ったので、ジーンズで例えてしまいましたが、かえって分かりにくかったかもしれませんね(苦笑)。

さて、トリプルオーは僕が音の良しあしがわかる前からあったし、ゆえにその価値もわからなかった。中高生はサッカーに打ち込んでいて、存在すら忘れていました。でも大学に進学してギターを弾いて歌うようになると、「そういえば、トリプルオーが家にあったな」と思い出した。マニア垂ぜんの、戦前のお宝リーバイスが家にあるようなものですから、大至急家に帰って母に尋ねました。そうしたら、「物置かしら……」なんてのんきなことを言うんですよ。ホコリまみれのトリプルオーを見つけて、またまた大至急で知り合いの方にメンテナンスをお願いしました。そこに持って行く間は、あたかも救急車に乗っているみたいな気持ちでしたね(笑)。

一命をとりとめたとわかり(笑)家に帰ったんですが、「今では値がつかないような貴重なギターなんだから大事にしなきゃだめだよ」と母にお説教しましたね。

トリプルオーにはこんなエピソードもあるし、今回持ってこようかなと思いました。が、これまでにも語ったことがある話だし、せっかくなら新しいモノがいいなと。だから、このギターの話をちゃんとするのはここが初めてなんです。

気軽にアウトドアにも持ち出せる世界に1つだけのギター

このギターは今年4月に、誕生日プレゼントとしていただいたものです。イラストレーターで切り絵作家、アパレルブランド「Porter Classic」などのアートワークも手がけているmimoe(みもえ)さんがデザインして、スタッフの皆さんと手描きしてくださったもので、僕が「ぼろ」が好きだと聞き知って描いてくれました。ギターストラップには本物の「ぼろ」が使われていて、NAOTAROと名前までつけてくださった。世界に1つだけのギターです。うれしいですよね。だからこの場を借りてお礼を言いたい。mimoeさん、本当にありがとうございました!!

モノとしての付き合いは浅いけれど、この1年は前回の「ぼろ」の話も含め、僕にとってとても濃いものだったから、このギターはそれを象徴するものでもあるなと感じています。

型としては、リトルマーチンのLXM。通常のものより小ぶりで持ち歩きやすいトラベルギターです。ヴィンテージギターともなれば、かなり高価で大胆に絵を描いたりすることは(音にも影響するので)難しい。ギターはそれだけで美しい楽器ですが、なかなか「自分だけのモノ」は作りにくかったりするんですよ。でも、LXMは値段も手ごろだから遊べる。しかも音もいいので、とても使い勝手がいいんです。

この春は(笑福亭)鶴瓶さんやピエール瀧さんなどから花見によく誘われたんですが(笑)、そうなると大抵「1曲歌って」となります。花見やキャンプなどのアウトドアは大好きで楽しい場だけど、ギターにとっての環境は劣悪(笑)。どんなアクシデントがあるかわからないし、正直、繊細なヴィンテージギターは持って行きたくないんですよ。そんなときに、または今回のような取材も、こういう小型のギターは惜しみなく持っていけるのがいいですね(笑)。

そんな気軽さもあって、15周年記念オールタイムベストアルバム『大傑作撰』の(初回限定盤につく)特典DVDのスタジオライブセッションでも、このギターが登場します。他にも「ぼろ」も忍ばせているので(笑)、僕のちょっとしたこだわりというか遊びにも注目して見ていただきたいですね。

ギターを買うときは歌って確かめます

全部でギターは20本ほど持っていますが、それでも欲しくなりますね(笑)。新たに買い求めるときは、見た目も含めて温かみや味わいが感じられるものを選びますが、おのずとヴィンテージギターになりますね。僕の求めるものが備わっていますから。

あと、歌って気持ちがいいかどうかもすごく大事。ギターとしていくら完璧でも、僕の場合は歌って心地よく思えないと「僕が弾くべきギターではないのかな」と思います。だからギターショップでも試し弾きだけじゃなく、歌っちゃうんですよ。お店の人とはすでに仲良しなんですが、それでも「歌っちゃうんだね」ってあきれられます(笑)。

ヴィンテージは希少性の高さから、どんどん高価になっていますが、モノの価値って最終的には値段だけでは計れないと思うんです。僕は学生時代によくフリーマーケットに出店してモノを売る側だったんですが、それまで使ってきた愛着のあるモノを手放すわけだから、買ってくれる人の思いもすごく気になりました。いくら高額で競り落としたとしても、それがモノへの愛着や敬意と必ず正比例するとは限りませんよね。愛されて使われ続けることこそが「モノ冥利」に尽きるのかなと思ったりもする。我々が創るポップスも消費されるものの最たるものだから、よりその思いが強くなるのかもしれません。

極論を言えば、僕が求めるモノ……誰でもきっとそうなのかなと思うのですが、最終的には「唯一無二のモノ」を選びたい。それがハンドメードなのか、オーダーメードなのかはわかりませんが。

と、今こう話していて、頭に浮かんだのが「老舗ラーメン店」と「チェーン店のラーメン屋」です(笑)。チェーン店はレシピがあって、それを忠実に守ることで全国どこでも同じ味を食べられることが信用になっています。一方、老舗はそこに行かなきゃ食べられない。(不便さはあるけど)代わりがきかないものです。そんな、代わりのないものが理想です。自分の活動もそうですが、でもそれは業や欲なのかなとも思う。

まだまだモノ選び、ものづくりの道半ばですが、ゼロから作れるものや自分だけに最も価値のあるものを選択していけたらいいですよね。

森山直太朗
1976年4月23日生まれ、東京都出身。少年時代はサッカーに夢中だったが、大学時代よりギターを手に持ち、楽曲制作を始める。ストリートライブなどを重ね、2001年に直太朗名義でインディーズでデビューし、翌2002年にメジャーデビュー。2003年の「さくら(独唱)」が大ヒット。「夏の終わり」「生きてることが辛いなら」など、色あせないヒット曲を多数放つ。心に染み入るような透明感あふれる歌声とどこか懐かしい旋律で、世代を問わず多くの人の心に寄り添う歌を贈り続けている。デビュー15周年を記念して「さくら(独唱)」「夏の終わり」などヒット曲を網羅したオールタイムベスト・アルバム「大傑作撰」をリリース。2017年1月からは全国ツアー「15thアニバーサリーツアー『絶対、大丈夫』」を開催する。
私のモノ語り 森山直太朗
前編 「ぼろ」に和む 森山直太朗、曲に重ねるシンパシー
後編 森山直太朗 世界に一つの「ギターにもぼろ」

(文 橘川有子/写真 稲垣純也)

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