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ビジネス書・今週の平台

新宿で注目 ビジネス書として読むテツガク書 紀伊国屋書店新宿本店

2016/9/30

ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している街を離れてJR山手線西側の一大繁華街、新宿に足を伸ばした。訪れたのはこの街の象徴ともいえる書店、紀伊国屋書店新宿本店だ。地下1階、地上8階に売り場を持ち、さらに別館に2フロアという巨大書店で売れているビジネス書は何か。一般的な売れ筋本に混ざって、人文書に強いといわれる同店らしい1冊の本が売り上げを伸ばしていた。

ビジネス書売り場で哲学書?

その本は岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』(ダイヤモンド社)。ビジネス書の出版社が出した哲学書だ。著者の岡本氏は現代哲学に精通した研究者。発売当初は人文書のエリアに並べていたが、「出足がいいのでビジネス書売り場にも展開したところ、こちらでも大きく売り上げが伸びている」と同書店新宿本店第2課課長代理の中里有里さんは話す。

哲学者と書名にはあるが、哲学好きだけをターゲットにした本ではない。帯の惹句(じゃっく)にもあるように、「哲学=人生論」というとらえ方ではなく、哲学がいかに現代社会が直面する課題に向き合っているのかをわかりやすく解説した内容だ。IT(情報技術)革命やバイオテクノロジー、さらには資本主義や地球環境問題、宗教的対立などといった課題にアクチュアルにかかわっているのが現代の哲学者たちであり、まさに今を生きるビジネスパーソンの抱える課題とも密接に関連しているのだ。哲学の今をビジネスの今にきっちりひきつける書きぶりがビジネスパーソンの読者を呼び込んでいるようだ。

健康や体調管理に関心

体調管理やメンタルヘルス、仕事への心構えなどに関する本が売れている

もう一つ中里さんが紹介してくれたのが、裴英洙『一流の睡眠』(ダイヤモンド社)。医師で経営学修士(MBA)を持ち、コンサルタントでもある著者が仕事で結果を出すための快眠戦略を伝授する。「ビジネスの現場でも体調管理で悩んでいる人が多いようで、健康とからめたビジネス書はお客様の反応がいい」(中里さん)という。このほか7月刊行の久賀谷亮『世界のエリートがやっている最高の休息法』(ダイヤモンド社)も好調な売り上げが続き、今は店頭在庫がない状態だという。こちらは米国で長年の診療経験を持つ精神科医が働き続けの脳を休息させる方法を説いた1冊だ。

それでは、先週のベスト5を見ていこう。

(1)ニトリ 成功の5原則似鳥昭雄著(朝日新聞出版)
(2)ザ・会社改造三枝匡著(日本経済新聞出版社)
(3)最強の働き方ムーギ-・キム著(東洋経済新報社)
(4)会社四季報業界地図〈2017年版〉東洋経済新報社編(東洋経済新報社)
(5)これだけは知っておきたい「簿記」の基本と常識椿勲著(フォレスト出版)

(紀伊国屋書店新宿本店、2016年9月19日~9月25日)

1、2、5位は著者、版元関係などのまとめ買いが入ってのランクイン。日本を代表する書店チェーンの本店だけにランキング入りを狙ったまとめ買いは多く、ここでは紹介しないが、6~8位もまとめ買いのものだという。3位はこれまでもこの連載で紹介してきたビジネススキル、仕事の習慣、考え方の教科書。7月の刊行以来つねにベストセラーの上位に顔を出すロングセラーだ。4位は定番の業界研究本。8月下旬に2017年版に切り替わったため、こちらはこの時期の上位の常連だ。

(水柿武志)

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