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神秘の国ジャパン! ロンドンでの日本の存在感って… kay me 毛見純子のロンドン起業挑戦記(第2回)

2016/10/4

 こんにちは。kay me(ケイミー) ファウンダー兼リードデザイナーの毛見純子です。

 kay me は2011年に私が立ち上げた、「一瞬で華やか ずっとラク」をコンセプトとする働く女性のための仕事服ブランドです。それまで携わっていたIT(情報技術)や金融、エネルギー産業の事業開発コンサルタントからkay me創業へ。この夏からいよいよ本格的に英国ロンドンに活動拠点を移し、海外展開を始めようとしています。

 Brexit(英国のEU離脱)で注目を集めるロンドンからお届けするコラム。第2回の今回は、ロンドンにおける「日本」についてです。

■ビジネスネットワーキングはエネルギッシュ

 kay me はベンチャー企業で資本も独立系なので、現在、私のロンドンでの大きな役割は、自分自身のネットワークで最適な協力者を見つけていくこと。デザイナーやITエンジニア、あるいはビジネスパートナーや投資家、インターン生など、さまざまです。

 そのためには、「ターゲティング(=求める方向性の人がいる場所に接触すること)」×「活動の量」が前提になります。そのうえで「なにをしゃべるか(=内容の質)」。この3つが、活動の成否やスピードを左右します。

 そのため、積極的に人が集う場所へ出かけています。ロンドンは、東京よりもビジネスネットワーキングが盛んな街。もともと話好きの国民性(前回お伝えしたパブ文化しかり)であることも影響していると思いますが、現在はオンラインにもネットワーキングのポータルサイトがいくつもあり、機会を簡単に見つけられるのも特徴です。

 先日は、金融街の真ん中で平日の昼休みに開催されるネットワーキングに参加。いかにもロンドンらしい風情の建物でラグジュアリーに開催されていました。

オフィスの建物も数百年の歴史があるものが通常(左) この日のネットワーキングも300年ほどの歴史ある建物を改装したレストランで(右)

 参加者はざっと50人ほど。名簿を見ると金融関係者、弁護士、コンサルティング関係者、ビジネスオーナー、クリエーターなどさまざま。立食形式で、ドリンクの選択肢は白ワインか赤ワイン。ワイン片手に機動力高く動きまわります。だいたい日本で立食形式だと食べ物を取りにいったり、最初に出会った1人と無用に長く話したりしますが(すぐに切り上げると相手に失礼かも、といった配慮もあり)、ロンドンではだいたい1人あたり平均3~4分で会話に集中。逆に長く拘束すると相手に失礼かも、という感じです。気になる人がいたら後日連絡。ここでも超効率的なマインドセットを見ることができます。おそらく「ネットワーキングしに来たのならお互い、より多くの人との出会いの機会を見つけるのが目的でしょ?」という考え方。加えて、だれかが紹介してほしいという方面の人がいたら、初対面でも間を取り持ってあげたりするというのも一般的。

 この会は昼の12時からスタートしたのですが(私は次のアポイントメントに移るため途中で退席しました)、おそらく15時頃までは続いていたと思われます。みなさんいい感じで酔いも手伝い、さらに冗舌に。「あれ、職場に戻らなくてもいいの?」なんていう質問はロンドンではおそらくやぼ。ネットワーキングこそがマネジメント層にとって重要な仕事ですから!

■日本人が参加していると“グローバルな会合”?

 しかし、はたと気づいたことがあります。かれこれロンドンに来て20回はローカルなネットワーキングに参加したと思いますが、いずれの会でも何と、これまで日本人に会ったことがありません。

 いわゆるベンチャー系のピッチ大会にも飛び入りで参加してもいますが、そちらでも日本人と会ったことがない。主催者にも「何と、きょうは日本からの参加者がいます。グローバルな会になりましたね」なんて紹介されることも。グローバル……ってそもそもイギリス人はもとより日本以外のアジア、アフリカ、中東、北米、東欧などからの参加者で成り立っているのですが。

グーグルがロンドンに開設しているインキュベーションセンターでは毎日ネットワーキングイベントが開催されています

 日本についての感想も聞くと、「日本? そうだねー。うーん、うーん、テクノロジー! 代表的な会社? ソ、ソニー? ニコン? あ、あとアニメ!」といった具合。また日本製品についての印象をたずねると「メードインジャパン? 家電や車やアパレル? うーん、最近は中国と変わらないっていうか、中国や台湾、韓国の技術もすごいんだよ」なんて返ってきます。「アニメ好きは限られてるよねー」とも。おそらく「クールジャパン」や「メードインジャパン」は日本国内でだけの高頻出単語のような気がします。つまり海外ビジネスでは、日本国内以外の付加価値も大事!

 そして「今もGeisha(芸者)やセクハラ、女性差別が公然とあるのか」という質問も受けます。代表的な日本のメーカーがソニーやニコンということも含め、日本のイメージってなんだか80~90年代のまま更新されていないようです。

 半面、ちょっとポジティブだなと思ったのは「日本って、でも、神秘的だよね!」という表現。でも詳しく聞くと……ロンドンの街中でたくさん出会う中華系の方々と違い、日本ってすごく神秘的だよね、とのこと。まわりにもあまりいないからよく分からないの、とも。ということは、つまり「あまり存在感がない」ということ?

 とにかく歩くスピードも(地下鉄のエスカレーターもめちゃ速い!)、話すスピードも東京よりスピーディーなここロンドンでは、深く考える前にわかりやすい存在感を示して打って出ることが大事。まさに、資本主義の国という感じですが、一方ではどの街角にも同じような大資本のチェーン店ばかりが軒を連ねているのも事実です。資本がないなりに、我々もほかにない価値を届けたいと奮闘する毎日です。

 次回もお楽しみに。

ロンドン中心部の帰宅風景。エクササイズも兼ねて自転車での通勤は当たり前。電車通勤組は通勤・帰宅時はスニーカー。自転車も徒歩もとにかくスピードが速い
毛見純子(けみ・じゅんこ)
 kay me 株式会社代表取締役。早稲田大学第一文学部卒業。ベネッセコーポレーションでの営業職、PwC、ボストンコンサルティンググループでの経営戦略コンサルタントを経て、2008年にマーケティングコンサルティング会社設立。自らの経験とマーケティングメソッドを生かし、2011年「一瞬で華やか ずっとラク」をコンセプトとしたキャリア女性向けの日本製ストレッチ素材アパレルブランド「kay me」を創業。2015年英国法人を設立し欧米を中心とした海外展開を開始。オンラインショップのほか、銀座、新宿、日本橋、梅田、羽田空港、ロンドンにて店舗展開。2015年英国商工会議所が選出する「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」受賞、2016年日本政策投資銀行「DBJ女性起業大賞」受賞。

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