東京五輪と都市づくり、職住接近の虎ノ門をモデルに森ビルの辻慎吾社長に聞く(上)

虎ノ門の再開発プロジェクトについて語る森ビルの辻慎吾社長
虎ノ門の再開発プロジェクトについて語る森ビルの辻慎吾社長

2020年の東京五輪・パラリンピックを視野に入れて東京都港区の虎ノ門地区の再開発を加速させている森ビル。東京が都市のグローバル競争を勝ち抜くために、総額4000億円を投入し、虎ノ門に国際的なビジネスセンターを形成する計画だ。五輪開催都市の東京をパワーアップさせる戦略を森ビルの辻慎吾社長に語ってもらった。

――20年の東京大会は都市開発において、どんな意味を持ちますか。

「目標年度を定めることは都市開発において極めて重要な意味を持つ。五輪の招致に成功した東京は20年という目標年度を得た。今、当社は東京都内で大規模な再開発事業を同時並行的に進めている。20年の東京五輪前に完成するプロジェクトもあるし、それ以降にできるものもあるが、いずれも20年という節目を意識しながら、国際的なビジネスセンターと位置づけた都市開発をしている」

――20年を視野に入れ、東京で具体的に、どんな都市づくりを進めますか。

「当社が今、進めている虎ノ門の再開発が1つのモデルになると考えている。複合施設である虎ノ門ヒルズ森タワー(地上52階)を囲むように、地上36階建てのビル『ビジネスタワー』、56階建ての住宅棟『レジデンシャルタワー』、日比谷線新駅と一体となった『ステーションタワー』を建設する。これらのうち『ビジネスタワー』と『レジデンシャルタワー』は16年度中に着工し、東京五輪が開催される直前の19年度に完成させる計画だ」

――蓄積してきた都市開発のノウハウは生かせましたか。

「東京の中心部に職住近接のコンパクトシティーが誕生する。これは当社がこのエリアに持つ『タネ地』を生かしながら、周辺も含め小さな土地をまとめた結果だ。土地はまとめることによって、土地利用の効率は上がり、生産性も増す。虎ノ門は高級ホテルや文化施設、会議場なども呼び込み、多機能で利便性の高い都市の中核部分を形成することになる」

――文部科学省が東京五輪などに向けたキックオフイベントとして開催する「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」を支援し、辻社長自身がアンバサダー(大使)役も引き受けました。

「文科省のイベントは当社の六本木ヒルズで開催される。これは光栄だと思っている。五輪だけでなく、19年にはラグビーのワールドカップ、21年にはワールドマスターズゲームズといった大きな国際イベントもある。これらは日本にとってチャンスだ。そこに向かって走っていくキックオフのイベントを六本木ヒルズからサポートしたい」

――五輪は「文化の祭典」という側面も重視されます。

「六本木ヒルズは『文化都心』というコンセプトで文化の情報発信もしてきた。毎年春に開催してきた『六本木アートナイト』というイベントも今回の文科省のイベントに合わせて10月に開く。こうした形で盛り上げていきたい。六本木ヒルズには森美術館もある。文化の大きなイベントを18年、19年には持ってきて、事前に(東京五輪・パラリンピックを)盛り上げたい。アジアの美術館との連携も考えている」

(聞き手は日経産業新聞副編集長 前野雅弥)