使うお茶わんを小さいものにして減量を目指すダイエット法があります。1杯に盛る量を減らすことによって、無理せず総摂取カロリーを抑えるという方法です。お金についても無意識の支出や、ちょっとしたぜいたくが、実はお金を守るための大きな弊害になっていることがあります。
チリも積もれば……
毎月出演しているインターネット番組(スズキpresentsニコニコ生活講座、現在はseason2を放送中)の中で、1週間ずつ、外食だけ、スーパーだけ、コンビニだけで食費をまかなうという実験を行いました。その結果、1食当たりの平均価格はスーパー278円、コンビニ456円、外食980円となりました。年間で換算すると、スーパーとコンビニでは約20万円、スーパーと外食では約77万円の差が生まれることになります。
実験を行ったのが30代独身男性(ユーザー記者ユニット「JAST」代表のjetだよさん)だったこともあり、スーパーでの買い物も自炊をするというよりは、そのまま食べられる総菜などがメーンの比較にはなりました。それでも、毎日割高な物を買い続けることで生まれる金額の大きさに驚きました。
所得が高いのに貯蓄ができないという人の話を聞いていても、それほど目立った散財をしているわけではないのに、なぜかお金がたまらないという話をよく聞きます。
ところが、一緒に過ごしていると1日に缶コーヒーを5本も買っていたり、ファストフード店に行ったらプレミアム商品を注文していたり、ランチでメーンを選ぶ場合も追加料金が必要なメニューを選んでいたりすることが多いのです。
一つ一つは大きな金額の違いにみえません。しかし、年間で使う金額に換算してみると意外と大きいことがわかります。
例えば缶コーヒーを1日5本から2本に減らすと1日300円、月20日勤務で12カ月とした場合、300円×20日×12カ月=7万2000円の違いが生まれます。プレミアム商品や追加料金が必要なメニューなどで毎日500円程度高い選択をしているとしたら、365日過ごすと500円×365日=18万2500円多く支出することになります。
ラテ・マネーに要注意
同じように自宅や衣類、持ち物なども、少しずつ高価なものを所有していることが少なくありません。自宅についていえば、1部屋多い、1駅職場に近いといった具合に、ちょっと条件を上乗せすることで数百万円の差が生まれます。衣類も1枚ずつは5000円や1万円程度の差でも、持っている10着をすべて合わせると5~10万円のコスト高になります。
このように、ちょっとずつのぜいたくには意外とお金がかかります。
毎日500円多くお金を使うことで年間約18万円の違いが生まれることを先ほど計算しました。約18万円あれば、新しいパソコンを新調できるかもしれません。食事に例えると、お茶わんを小さくしてご飯の量を減らすことで、たまにはステーキを食べたとしても減量できるかもしれません。
自分にとって大切ではない費目については、お茶わんを小さくするように「ワンランク下げる」ということを意識すると、まとまった資金を必要とする本当に欲しいものをもう一つ買うことができるかもしれません。
お金の使い方が上手な人や、お買い物の満足度が高い人は、優先順位の低い事柄に対しては上手にお茶わんを小さくし、より本当に欲しいものの方にお金を割くようにしています。欲しいものを手に入れて満足感を得られれば、優先順位の低い物への支出を抑えても、それほどストレスにはならないと話す人も多くいます。
なんとなく習慣で買ってしまっているカフェラテに例えた「ラテ・マネー」という言葉があります。単価は小さいけれど、無意識に使ってしまっているお金のことを指します。この言葉を定義した『自動的に大金持ちになる方法』(デビッド・バック著、白夜書房)の中には、ラテ・マネーを排除することで複数の不動産などの資産を築いた夫婦が登場します。
重要でないもののコストは抑え、自分が本当に求めているものに対してより多くのお金を使えるようになれば、人生のお買い物の満足感がより高まるのではないでしょうか。
