検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「ストーリー性」も魅力 地域発コスメに日本の底力

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

普段使用する化粧品の原料が、どこの土地のもので、誰がどういう思いで作り、手に届くまでに何人の人がかかわったのかまで考えたことがありますか? 食品はなるべく生産者の顔が見えるものを選ぶという人でも、化粧品はブランドや機能性、トレンドなどを重視して購入することが多いのではないでしょうか。

日本の化粧品業界は異業種の参入も多く、コストを抑えて大量生産し、結果をすぐに求める企業も少なくありません。しかし最近、地域で生産されるオンリーワンに近い原料素材や、そこにかかわる人という地域資源を生かした「地方発コスメ」がじわじわと実力をつけてきています。「生産者の顔が見える」というだけでなく、開発・製造にまつわる秘話や地域が持つ個性の魅力など「商品自体にストーリー性があるコスメ」が、「地方創生」の流れにも乗って全国区ブランドへと広がる勢いを見せているのです。

目利きのバイヤーが地域コスメを評価

とはいえ、これまでは地方でつくられたコスメにとって、継続的な販売チャネルを獲得するのはとても厳しい状況でした。美容・コスメ業界に詳しい月刊ダイエット&ビューティ編集長の江渕敦さんは「日本は、美容やコスメの優れた素材が全国にあふれている。しかしその素材を『売れる』商品に仕立てるにはいくつものステップが必要」と言います。

2016年9月、東京・国際展示場で開催された美容の展示会「ダイエット&ビューティーフェア2016」(主催:UBMメディア)では、地域発信の美容アイテムを対象にした「第2回ジャパンメイド・ビューティアワード」が発表されました。審査員は流通の目利きのバイヤーなどが中心。地域資源を活用したコスメや食品を表彰し、全国レベルのブランドに引き上げていくための場です。昨年から始まったこのアワードをきっかけに、大手百貨店などの売り場を地域発コスメが確保した実績が既にいくつかあります。

今年の最優秀賞は、奈良市に本社を置くクレコスのQUON(クオン)。地域の自然と人の資源を生かす、サステイナブルな商品づくりの取り組みが評価されました。奈良県北部の耕作放棄地を利用して自然農栽培(肥料や農薬を一切使わず、土地も耕さずに植物の持つ力を引き出すという自然農法)で育てられた大和茶を原料とし、その有効成分を、水だけで抽出する「亜臨界水抽出法」によって取り出します。茶葉だけでなく、茶花や茶実も活用します。化粧水の主原料のヘチマ水は、熊本県山都町の契約農家が無農薬・有機栽培で育てたヘチマを使い、パッケージ用の紙には、森林保護のために山から切り出した間伐材をパルプにして製造したものを使っています。

同社副社長の暮部達夫さんは、他地域のコスメの仕掛け人でもあります。今回、アワードを同時に受賞した愛媛県西予市明浜町の「yaetoco(ヤエトコ)」、北海道上川郡の「NALUQ(ナルーク)」ブランドの立ち上げにも協力しています。

「yaetoco」は、環境にやさしい農業に取り組む生産者団体「無茶々園」が有機農法で栽培した柑橘(果皮エキス)を使ったスキンケアアイテムが中心。かわいいデザインとみかん色のパッケージに描かれた手描きイラストが特徴で、コンセプトは家族。「家族ハンドクリーム」、「家族バーム」、「家族外遊びスプレー」など商品名には「家族」がつきます。

「NALUQ(ナルーク)」は、北海道のトドマツのエッセンシャルオイル(精油)を原料にしたアロマ・化粧品ライン。下川町森林組合が始めた取り組みの中で生まれたトドマツ精油事業が、NPO法人森の生活により引き継がれ、株式会社フプの森として2012年に独立したもの。土地の9割が森林という下川町が、林業の衰退とともに人口が減少していくなかで町おこしに一役買ったのが、工場内の副産物から生まれたトドマツの精油でした。アロマテラピーを取り入れた「森のあるライフスタイル」を訴求する商品が広く女性の共感を集めつつあります。

地域おこしプロジェクトと組んで商品開発

地元と組み、多面的な地域おこしの原動力となるコスメも次々生まれています。

福岡県芦屋町は、県内流通量の約6割を生産している赤シソの産地。この赤シソを使った美容オイル「ハーベストオイル」は、芦屋町が進める「農業者が作ったモノを販売業者につなぎ商品化する」農商工事業に認定されています。国産の椿と茶の実、米ぬか、ユズの種をまったく熱を加えることなく圧搾したオイルに赤シソの美容成分を封じ込めています。オイルなのにべたつかず、サラッとした使用感が特徴です。2014年から赤シソコスメ「ハーベストシリーズ」を販売するパルセイユ代表の金井誠一さんは「昔から食用や漢方に用いられてきた赤シソには防腐作用と殺菌作用があり、アレルギーの予防も期待できる」と言います。

地域コスメの仕掛け人でもあるクレコスの暮部達夫さんは現在、過疎・高齢化が進む滋賀県東近江市の奥永源寺地域おこし協力隊とともに、ムラサキ(紫根)の栽培プロジェクトを進行中とか。ムラサキは古くから生薬や染料に使われてきましたが、日本の純正種は今や絶滅危惧種となっており、貴重なもの。「その土地でしか採ることができない素材」を生かしたコスメブランドを準備中とのことです。

海外からも注目される「地域発のジャパンブランド」

地域発コスメは国内だけでなく、海外市場を狙える可能性もあります。江渕編集長は「海外からの、日本製コスメへの信頼度はやはり非常に大きく、『ジャパンブランド』として地域発コスメのポテンシャルは高い」といいます。

その一例が、京都市下京区に本社を構えるヒューマンリソースコミュニケーションズ。国産のゆずなどを使ったクレンジングジェルなどが国内だけでなく東南アジアや中東で人気を呼び、2015年8月にはドバイに支店を作りました。さらに、京都・嵯峨水尾の農家と提携し、伝統的手法で栽培した水尾ゆずを原料とする「京ゆず」のライン(クレンジングジェル、化粧水など6アイテム)を開発。ゆず本来のりんとした香りは使うたびにワクワクします。天然の色の再現にもこだわり、食べ物と見まごうほどのキュートさが印象的です。

地方に行くと、偶然に出会えた地元のコスメや食品に日本の底力のようなものを感じることがよくあります。自然の恵みを受けた素材を通じて地域が底力を発揮し、活性化が進むとともに消費者も美しくなるという循環が実現するといいですね。

http://quon-cosme.jp/ (株)クレコス(quon)
http://www.yaetoco.jp/ (株)地域法人無茶々園
http://fupunomori.net/#2 (株)フプの森
http://palseylle.co.jp/wp/ パルセイユ(株)
http://www.augustya.co.jp/ (株)ヒューマンリソースコミュニケーションズ

※価格はすべて税込みです。

(ライター 大崎百紀)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_