あのNOVAのオーナーに 市職員が起業家となった理由NOVAホールディングス社長 稲吉正樹氏(上)

英会話教室最大手NOVAが2007年10月に経営破綻してから9年。全国に600校あった教室は現在280校。事業を引き継いだNOVAホールディングス(東京・港)の稲吉正樹社長は「まだ道半ばだが、全国の主要都市は網羅できた」と話す。稲吉社長は市役所職員から起業、数々のM&A(合併・買収)で教育・外食の一大フランチャイズチェーン(FC)を築き上げたものの、NOVA取得後には一旦、会社を売却するという苦汁も味わった。一敗地にまみれながらも復活を遂げた稲吉社長にその軌跡を聞いた。

(下)NOVA取得も会社売却 一敗地から反転攻勢 >>

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もともとは公務員でした。大学を卒業して地元、愛知県蒲郡市の市役所で3年間、勤めた後、学習塾を立ち上げました。1994年のことですから、22年前になります。

起業した理由は2つあります。まず1つ目は「自分にはもっと何かできることがあるのではないか」という思いです。公務員になったのは、そば店を営む親から「市役所の採用試験があるから受けてみてごらん」と勧められたのがきっかけです。運良く合格し、流されるように公務員になったというのが正直なところです。

そんな多少のもやもやを抱えながら、よく思い出したのが、小中学校の5年間、通っていた個人塾の先生のことです。

6畳ひと間の自宅で営んでいた小さな塾でした。生徒があまり多くなかったので「私が辞めたら先生が困るのではないか」と思い、通い続けていましたが、失礼ながら「先生、なんだか生活が大変そう」と子供ながらに思っていました。

塾の恩師が直木賞受賞 「かっこいい生き方」にあこがれる

NOVAホールディングス社長 稲吉正樹氏

私が大学生のころです。そんな先生がある日、テレビに出演して取材に答える姿を見て驚きました。直木賞を受賞したというのです。先生のお名前は宮城谷昌光さん。古代中国を舞台にした作品を多く執筆されている小説家です。すごい衝撃でした。自分のやりたいことをやって結果を出す。「めちゃくちゃかっこいい人生だな」と思いました。

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