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「キュート」はほめてない 米西海岸・起業家の旅 ウォンテッドリーCEOの仲暁子さん

2016/10/11

シリコンバレーのイベントに登壇した仲さん(Peter Prato)

 ビジネス向け交流サイト(SNS)を展開するウォンテッドリー(東京・港)最高経営責任者(CEO)の仲暁子さん。海外でのイベントや市場開拓のため、欧米やアジアへの出張が増えている。子供のころは米国に1年間滞在、高校時代の3年間はニュージーランドに留学した。異文化での経験は豊富、ビジネスなどの商習慣にも慣れているが、6月に訪れた米西海岸のシリコンバレーで思わずハッとする体験をした。

 「ザッツ キュート」――。米シリコンバレーでのメディアが主催する起業家などのイベントに呼ばれた仲さん。イベントは盛り上がっていた。米国人から日本のベンチャーの資金調達額の推移はどんな状況かと質問され、「以前は2億~3億円オーダーだったが、現在は30億~50億円ベースに膨らんでおり、好調だ」と答えた。そうすると、相手の米国人はニヤッと笑って、キュートだと評したのだ。

 別に仲さんがかわいいとほめたわけではない。この場合のキュートの意味は日本語で言えば、「ささやか、ほほ笑ましい」という意味だ。それだけ調達金額の規模が小さいといっているわけだ。その瞬間、胸にグサッと突き刺さる感じがした。

 確かにシリコンバレーには「ユニコーン企業」が次々勃興している。企業評価額10億ドル超の非上場ベンチャーをユニコーンと呼ぶが、「彼らの調達額は日本とは1ケタも2ケタも違う」という。ユニコーンの代表銘柄は配車アプリ大手の米ウーバーテクノロジーズや中国スマートフォン(スマホ)大手の小米(シャオミ)などがある。ウーバーの累計の調達額は日本円で1兆円を超えるといわれる。

 キュートといわれた際、仲さんは、2008年当時のゴールドマン・サックス証券に勤務していたころも思い出した。アジアを代表する市場の東京だが、米国投資家の日本市場に対する姿勢は厳しかった。日本の投資先としての魅力はどんどん薄れ、欧米の投資家の視線は中国などアジア市場に移っていった。「マネーが日本をスルーして中国に向かっていた。あのころと同じですね。日本って切ないなと感じました」という。

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