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家事代行、頼んでみる? ネット予約簡単、割安料金も登場

2016/9/26

稲葉あゆみさん宅を掃除する家事代行サービス「カジアル」のスタッフ
一般家庭を対象にした家事代行サービスが広がりを見せている。IT(情報技術)を駆使した新しい事業形態や新規の事業者が続々登場。神奈川県などで、外国人によるサービス提供も始まる。多様化する家事代行は多忙な人々の心をつかめるか。

「ほこり一つなく、脱ぎっぱなしのパジャマが畳んであった。ここまでやってくれるとは」

東京都内のフリーコンサルタント、稲葉あゆみさん(48)は3月から、家事代行サービス「カジアル」を2週に1度利用する。夫と中1、小2の娘の4人家族。平日は忙しく掃除は週末だけ。「髪の毛やほこりが床にある状態だった」

背を押したのが「家事代行は高いというイメージを変える価格」だ。毎週か隔週の定期利用で1回2時間5000円(税別)。7000円以上が主流の既存大手業者に比べ安い。「週末の時間が自由になった。家族も家がきれいになって喜んでいる」と話す。

4月にサービスを本格的に始めたリクルートスタッフィング(東京・中央)は「働く女性の家事負担を減らし、働く時間や場所に制約のある人に雇用を創る。その両輪で家事代行事業を始めた」(カジアル推進部)。利用者の7割以上が共働きで、サービスを担う登録制アルバイトの多くは40代を中心とした主婦だ。

総務省の社会生活基本調査(2011年)によると、1日の家事関連時間は妻の5時間4分に対し、夫はわずか46分。共働き家庭だけでみても妻の家事関連時間は夫の約7.4倍だ。

重い家事・育児負担が女性の活躍を妨げているとして、国は14年から家事代行の普及促進に着手。経済産業省は15年、「家事支援サービス事業者ガイドライン」を策定。事業者がつくる全国家事代行サービス協会とともに、事業者の認証制度の創設を進めている。

こうした動きと並行し、安価で気軽に利用できるIT(情報技術)を使ったサービスも登場している。インターネットを通じて利用者と登録スタッフをマッチングするのは家事代行のカジー(東京・千代田)。ITの駆使で人件費を削り、定期利用だと1時間2190~2390円(税別、掃除は1回2時間以上)だ。「料金が比較的安価で、ネット上で完結するのが魅力」と週1回利用する都内の会社員女性(35)。

ブランニュウスタイル(東京・港)が手掛ける「タスカジ」は、家事を頼みたい人と依頼を受けたい人とをネットでつなぐ。希望者は登録後、ネット上でプロフィルを見て依頼相手を選ぶ。定期利用で1時間1500~2300円(税込み、1回3時間)。14年7月の開始以来、依頼者は6500人を超えた。

野村総合研究所が14年に実施した調査では、家事支援サービスの利用経験があるのは3%。サービスを知っているが利用したことはない人は70%、知らない人も27%いた。

利用しない理由の最多が「他人に家の中に入られることに抵抗がある」(47%)。「所得に対して価格が高い」(45%)、「必要性を感じない」(39%)が続いた(複数回答)。

家事代行の活用がなかなか進まない背景について、同研究所の武田佳奈主任コンサルタントは「経済的な抵抗感に加え、他人を家に入れたくない、家事を人に任せるのはよくないなど心理的な壁もある」とみる。

安価なサービスの登場で経済的なハードルは下がってきた。心理的な抵抗感をなくすには「必要なときは利用したい」と思えるよう、認知度アップや安心して使える仕組みづくりを進める必要がある。

◇   ◇

■外国人も特区で本格始動

海外人材による家事代行サービス開始に向けた研修も始まっている(ベアーズ)

外国人による家事代行サービスは、政府の国家戦略特区の目玉の一つだ。受け入れに名乗りを上げた神奈川県と大阪府の第三者管理協議会は8月、認可事業者を発表。年内にも各社のサービスが始まる予定だ。東京都も12月をメドに協議会をつくる見通しだ。

神奈川と大阪で認可を受けたベアーズ(東京・中央)は両府県で4人ずつ、フィリピン出身のスタッフを雇う予定。早ければ2017年早々に業務を始める。

サービスはマンション居住者が対象。マンションの管理組合と契約し、フィリピン人スタッフが管理室に常駐。入居者の要望に応じて、建物内の住戸に出向き掃除など家事サービスを提供する。「顔の見える家事代行にする」(高橋ゆき専務取締役)ことで、利用へのハードルを下げる。

ダスキンは早ければ年内にも、大阪と神奈川の直営店にフィリピン人スタッフを4、5人ずつ配属。日本人スタッフとペアで利用者宅を訪問、家事サービスを実施する。将来は同社の家事代行「メリーメイド」サービスを「単身で任せることも視野に入れている」(岡井和夫常務取締役)。

パソナは神奈川県で主にフィリピン人によるサービス「クラシニティ」を開始した。月2回、1回2時間で1万円から。同国の人材会社から30人程度を受け入れる。

外国人ならではのサービスを用意するのはポピンズ(東京・渋谷)だ。フィリピン人の育児経験や英語力を生かした付加価値を子育て世帯に提供する。都の特区も視野に50人規模を採用する。

東南アジアなどでは、家事の外注が普及し、女性の社会進出を後押ししているとされる。日本では他人が自宅に入ることへの抵抗感は根強い。「日本人より外国人の方が気を使わずに済むとの声もある」(パソナ)が、今回の特区事業は東南アジアで一般的な手ごろな価格設定とは言い難い。外国人に頼む必然性を利用者がどう感じるかに、成否は左右されそうだ。

(女性面編集長 佐藤珠希、南優子)

[日本経済新聞夕刊2016年9月26日付]

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