訪日外国人に大受け カワイイ・モンスター・カフェ日経BPヒット総合研究所 品田英雄

原宿の「KAWAII MONSTER CAFE(カワイイ・モンスター・カフェ:KMC)」
原宿の「KAWAII MONSTER CAFE(カワイイ・モンスター・カフェ:KMC)」
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を斬るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは訪日外国人に人気のエンターテインメントスポット。外国人だけでなく、日本人にとっても楽しめる工夫がこらされている。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、訪日外国人を念頭に置いた新しいエンターテインメントスポットが増えている。日本人にとっても新鮮でおもしろい体験ができるスポットだ。

アートディレクターの増田セバスチャン氏

「テーマパークに来たような気分」「外国のクラブに紛れ込んだよう」「夜景を見ながらお酒が飲めるテラスなんて原宿じゃないみたい」――、といった感想が女性から寄せられたのが、原宿の「KAWAII MONSTER CAFE(カワイイ・モンスター・カフェ:KMC)」のパーティーだ。1000人以上を集客した。KMCは16年9月10日から夜の時間帯に「KMCショウケース」をスタートし、これまでとは違った「大人の夜」を提供して話題になっている。

KMCは外食産業の大手「ダイヤモンドダイニング」と、きゃりーぱみゅぱみゅのビデオや舞台の美術を担当するアートディレクターの増田セバスチャン氏が手を組んで、15年8月にオープンした。場所は表参道と明治通りの交差点近くにあるビルの4階、面積は212坪、客席数193とカフェとしては最大級の広さを誇る。

店のコンセプトは次世代のカワイさ。カラフルな動物やキノコのオブジェが並び、中央にはショートケーキの形をしたメリーゴーランドが回る。ポップでカラフルで、ところどころ毒々しい。店内は「モンスターの胃の中」に飲み込まれたような雰囲気だ。来店客数は16年9月20日で16.9万人を突破し、大人気になっている。

KMCの内装

順調に運営が進んできたように見るが、その実は試行錯誤しながら進めてきた結果と関係者は説明する。いくつもの工夫がなされて来ている。

メニューの工夫

当初からコンセプトに合ったメニューを取りそろえていたが、客の反応を見ながらできるだけ写真映えするメニューを並べるようにしている。一番人気は色鮮やかな「カラフルレインボーパスタ」で1年間で3万5000食オーダーされた。このほか、VIPルームにいる大きな猫のオブジェに似せた「ピンクキャットフード」や唐揚げ「パーティーパーティーモンスター」なども人気。どれもフォトジェニックで写真を撮る人が多い。しかも見た目は毒々しいのだが、使っている材料はどれも自然由来成分で健康にも目配りが行き届いている。

カラフルレインボーパスタ

接客の工夫

増田氏が自ら選んだかわいい容姿の「モンスターガール」たち。そのコスチュームとともにKMCの目玉の一つだが、初めの頃は積極的に客と接することはほとんどなかった。それを、パフォーマンスの際には手拍子するなど、客との一体感を演出するようにした。もちろん客との写真撮影もOKで、店内を回遊しやすくしている。客との接点を増やすことが、店内のにぎわい感を生んでいる。

KAWAII MONSTER CAFEのモンスターガール

伝え方の工夫

開店当時はそのコンセプトやデザインをマスメディアが取り上げ人が集まった。だが、途中からは実際に来店した人たちが店内で写真を撮り、インスタグラムやフェイスブックに投稿することが集客につながるようになった。現在は来店客の約3割が海外からで、米国や欧州からの客が目立つという。その外国人も日本をひと通りは知っている人たち。彼らが「今、一番新しいTOKYOを見たい」と集まって来る。

ほかにも、ホームページでは日本語と英語の両方で表記したり、折りにふれて開かれるイベントを告知したりなど、様々な工夫があって現在の人気に至ったようだ。

KMC1周年パーティー

9月10日からは、夜の時間帯をキャバレーのような雰囲気の中で楽しむ大人の時間にしようという企画「KMCショウケース」をスタートさせ、世界一のエンタメレストランをめざす。「買い物や観光で楽しい東京も、夜の楽しみはまだまだ。夜に着飾ってショーを見ながらお酒を飲むような場を提供したい」と増田セバスチャン氏は言う。エンターテインメントを一緒に盛り上げるも良し、お客同士が触れ合ったりするも良し、また次の店に出かけて行くも良し。新しいタイプのエンターテインメントスポットと言えそう。東京にはなかったタイプの店で、今後が楽しみだ。

KAWAII MONSTER CAFE店舗情報
ランチ 11:30~16:30
ディナー 18:00~22:30
(日曜日は11:00~20:00)
〒150-0001 東京都渋谷区 神宮前4丁目31-10 YM スクエア 4F
03-5413-6142
http://kawaiimonster.jp/

ほかにも外国人観光客を念頭に置いたエンターテインメントスポットが登場している。

明治座(日本橋浜町)

伝統芸能とアニメを融合させたミュージカル「SAKURA~JAPAN IN THE BOX~」が9月7日からスタートした。開演は19時および20時半と遅めで、公演時間は70分と短い。内容は、東京に住む女子高生が異次元の世界に迷い込むと四季の精と出会う……、といったもので、和楽器とロックとダンスがシンクロする。言葉なしでもわかるが、スマートフォン(スマホ)のアプリを使うと英語と中国語の字幕が見られる。

明治座「SAKURA」公演
アプリの画面

AiiA 2.5 Theater Tokyo(渋谷/国立代々木競技場 渋谷プラザ)

2.5次元ミュージカルの専用劇場「アイア 2.5 シアタートーキョー」。15年3月にスタート、「美少女戦士セーラームーン」「ハイキュー!!」などの作品を上演している。作品によるが、メガネ型の字幕システムを借りるとレンズの中に、英語や中国語(最大4言語)の字幕が浮かび上がる。

2.5次元シアターの劇場外観
多言語対応メガネを着用したところ

品田英雄(しなだ・ひでお)
日経BPヒット総合研究所 上席研究員。日経エンタテインメント!編集委員。学習院大学卒業後、ラジオ関東(現ラジオ日本)入社、音楽番組を担当する。87年日経BP社に入社。記者としてエンタテインメント産業を担当する。97年に「日経エンタテインメント!」を創刊、編集長に就任する。発行人を経て編集委員。著書に「ヒットを読む」(日経文庫)がある。
日経BPヒット総合研究所

日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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