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噂の韓国ミュージカル 「イン・ザ・ハイツ」の説得力

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NIKKEI STYLE

こんにちは。トレンドコラムニストのダヨリンことヨダエリです。このコラムでは、横道に入ってみたらこんな花が咲いてたよ!という気持ちで、みなさんにぜひ知らせたい、注目しておいて損なしとワタシが保証するエンターテインメントを紹介していきます。

今回紹介するのは、"韓国ミュージカル"です。

韓国といえば韓流ドラマやK-POPを思い描く人は多くても、ミュージカルを思い浮かべる人はまだ少ないのではないでしょうか。かくいうワタシも、存在を知ったのは1、2年前。K-POPを通じて知り合った女性が「韓国ミュージカルが大好きな友人と、よく一緒に韓国まで見に行ってます」と話していたからです。

そういうジャンルもあるのか……! そしてマニアがいるのね……!と新鮮に感じつつ、「韓国ミュージカル」は自分の中で印象に残るキーワードとなりました。いつか見てみたいなと。

そして、そのいつかがやってきました! さる9月2日、ブロードウェーミュージカルを韓国人キャストで上演する、韓国版「イン・ザ・ハイツ」(IN THE HEIGHTS)を見に行ってきたのです。

2008年にトニー賞最優秀作品賞など4部門を受賞、2009年度グラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞した作品。それが2015年、人気と実力を兼ね備えた韓国人キャストによって韓国版イン・ザ・ハイツとなって韓国で生まれ変わり、さらに日本にも上陸したというわけです。

このミュージカルのポイント、それはラップやヒップホップ、ストリートダンスを取り入れていること! それを韓国人キャストがやって、うまくいかないはずがない!とワタシは見る前からその点については安心していました。

なぜなら、韓国はヒップホップやR&B(リズム・アンド・ブルース)の層がとんでもなく厚いから! 優れた表現力や独創性を持つアーティストは山ほどいますし、アイドルというくくりで呼ばれているグループにも、歌やダンスでラップやヒップホップの卓越したスキルを見せる逸材はウヨウヨいます。ハングルの響きがヒップホップやラップに合っているのも魅力を倍増させています。

そんなわけで、音楽は気に入るだろうなと予測していましたが、じゃあ音楽のライブを見ればいいじゃん、とはならずに、ミュージカルならではの魅力を感じられるかどうか。それは見てみないとわからない……と思いました。

そして結論から言うと……良かったです! 韓国ミュージカル、いい!! もちろん、一口に韓国ミュージカルといってもいろいろあるのでしょうが、そこに興味を持たせるだけの魅力を「イン・ザ・ハイツ」は放っていました。だから、ここで紹介しています。どこがどう良くてオススメなのかは、続きをお読みください!(10月16日から横浜公演も開催されるので、ネタバレにならないようお伝えします)

●叙情的かつナチュラルな表現がもたらす説得力

「イン・ザ・ハイツ」の舞台は、マンハッタン北西部にある中南米移民が多く住む街ワシントンハイツ。故郷ドミニカを離れ、小さな食料雑貨店を経営する青年ウスナビを主人公に、移民たちの夢と挫折、そして希望をパワフルに描くミュージカルです。

メーンキャストは公演日によって変わります。ワタシが見た9月2日は、主人公ウスナビ役をミュージカル俳優のチョン・ウォンヨン、ベニー役をポップスグループDouble S 301のキム・ヒョンジュン、ヴァネッサ役をミュージカル女優のオ・ソヨン、ニーナ役をミュージカル女優で少女時代のスヨンの姉、チェ・スジンが演じました。

では感想へ。席に着いてすぐに思ったのは、セットがいいなぁ、ということ。カラフルだけど古びた看板や住宅から、貧しいなりに明るく生きているラテンの人たちの生活が早くも伝わってくる気がしました。

舞台の両脇にはハングルと日本語の両方で字幕が映し出されています。開演直前には、楽団が音合せをする音が! ワクワク。

ちなみにこの公演は上演時間165分で、1幕80分、休憩20分を挟んで、2幕65分の2部構成になっています。

1幕が始まり、まず感じたのは、ダンサーがうまい! せりふのないキャスト勢が見せるエモーショナルなダンスに目を奪われました。

メーンキャストを含め大勢で歌うコーラスも素晴らしく、それを聴きにもう一度行きたいと思わせるほど。感情を無理に押し出すのではない、内側からこぼれるナチュラルな叙情にグッときました。

脚本はというと、舞台はアメリカといえど実に普遍的。両親の期待を重荷に感じるスタンフォード大学生のニーナ。美人だけど未来に希望が持てず毎日がつまらない美容師のヴァネッサ。「こんな人いないよ」ではなく、「いるいる!」と思えるキャラクターたちが、それぞれに情感豊かな歌と演技、ダンスで心情を伝えてくれます。その表現が、実に自然なのです!

ミュージカルというと、どこか浮世離れした、絵空事の世界というイメージを抱く人もいるでしょう(もちろん演目にもよりますし、そこが魅力と感じる人もいるでしょう)。でも「イン・ザ・ハイツ」は、とにかくリアルでナチュラル。かといって、現実の延長のような作品でグッタリ、ということは全くなく、日々と人生を改めて前向きに見つめ直させてくれるエッセンスがそこかしこに散りばめられているのです。

カーニバルのシーンは、立ち上がって一緒に踊りたくなりました。

ニーナが父親の経営するタクシー会社で働く青年ペニーと歌うデュエットでは、「出会いとは奇跡だな」と涙がこぼれました。2人には紆余曲折あるのですが、その描き方もニンマリしてしまうリアルさ。

ウスナビという不思議な名前の由来が分かるシーンにも、ハッとさせられます。名前に隠された人生の重さ、それを笑い飛ばせる彼らの明るさ。

ある悲しい出来事の後、皆で「ありがとう」と歌うシーンは、何度も涙したこのミュージカルで最も泣いたシーン。やはりコーラスが素晴らしい。

ウスナビが人生の岐路に立ち、悩んだ末に答を出し「アイムホーム!」と力強く歌うクライマックスは圧巻。リアルな希望と説得力に満ちています。

つまり脚本が良く、演出が良く、音楽が良く、演じるキャストも良いのです!

●主役も脇役も魅力タップリ!

主人公のウスナビを演じるチョン・ウォンョンは、明るいけれど根っこの真面目さが伝わってくる演技が印象的でした。そのままウスナビとして帰っていくんじゃないかと思うくらい役に馴染んでいました。

ベニーを演じるキム・ヒョンジュンは、喜んだり傷ついたり、感情の浮き沈みがビビッドなところが魅力的。叱りたくなったり、応援したくなったりと、彼と一緒になって一喜一憂。

ヴァネッサ役のオ・ソヨンは、そりゃこの街のヒロインだ!と思わせる華がありました。彼女が職場であるヘアサロンの女性スタッフ同士で結構きわどいセクシャルな会話をするシーンは、この作品ならではかもしれません(笑)

ニーナ役のチェ・スジンは、フレッシュな魅力炸裂! 癖のない歌唱がいいなあと思い、さらに、全くぐらつかない声の安定感に唸りました。彼女が自分に言い聞かせるように歌う「Breathe(深呼吸)」に胸がしめつけられたのはワタシだけではないはず。

ウスナビの従兄弟ソニーを演じるユク・ヒョンユクは、やんちゃな弟分といった役柄なだけに、ソロで歌い出したときの歌唱力に度肝を抜かれました。ふくよかで聴き惚れる美声! こういう才能が潜んでいるから、韓国エンターテインメントは目が離せません!

さらに、ウスナビの育ての祖母クラウディア役のイ・ユンピョ、ニーナの父ケヴィン役のシム・ジョンワン、母カミラ役のチャン・ジャヘ、ヴァネッサが働くヘアサロンの社長ダニエラ役のチェ・ヒョクジュなど、皆それぞれに味があり、魅力的です。

カーテンコールは拍手喝采。この日は3名のキャストによるアフタートークがあったのですが、かき氷屋ピラグエロを演じたキム・ナムホが、昨年から勉強を始めたとは思えない流ちょうかつ熱のこもった日本語で伝えてくれた言葉が印象に残りました。

「毎日公演していても、毎日が良いわけではありません。今日はカーニバルのシーンでキャストとお客さんが一つになった気がして、カタルシスがありました!」

なんて正直な人なんだろう、と好感を抱くと同時に、ミュージカルについて考えさせられました。実際ライブに一つとして同じものはないわけですが、特にミュージカルの場合、一つのステージを構成する要素が膨大かつ複雑なので、回による変化の振り幅は大きいのかもしれません。

また基本的には静寂の中で行われるため、キャストは観客のテンションを感じ取りやすく、違いが如実にわかるのかも、と想像しました。自分の向かいにおしゃべりな人と無口な人が座っていたら、無口な人の表情に敏感になりますよね。それと同じでは、と。

ただ、変化があるということは、それだけ回によって異なる魅力があるということ。「毎日が良いわけではない」という言葉は、高い向上心によるものではと解釈しています。というのも、あの安定感あるステージを見る限り、「良くない」日があるとはとても思えなかったから。観客をもっともっと惹きつけたい!というモチベーションがみなぎった結果、出た言葉なのでは、と。

そのエネルギーはセリフのないキャストたちがみなで同じ振りを踊る群舞シーンからも感じました。「自分を見てくれ!」という一人一人の気合いがほとばしるように伝わってきたのです。単に席が舞台に近かったせいか、それとも距離は関係ないのか? 確かめに行きたいと思っている時点で、ワタシも韓国ミュージカルファンになりつつあるのかもしれません。10月16日から始まる横浜公演、お見逃しなく!

◆ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」◆
横浜公演日程:2016年10月16日(日)~11月6日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場(ホール)
脚本:クイアラ・アレグリア・ヒュデス
演出・韓国語歌詞:イ・ジナ
音楽監督:ウン・ミソル
振付:チェ・ヒョンウォン、キム・ジェドク
料金やキャストなど詳細は韓国版「イン・ザ・ハイツ」公式ホームページにて
http://musical-intheheights2016.jp/
<プロフィール>
ヨダエリ トレンドコラムニスト。東京都目黒区出身。慶応義塾大学文学部卒業後、PR会社勤務を経てフリーに。「イマ・ヒト・ココロ」にまつわるテーマで新聞からウェブまで幅広い媒体で執筆。ドイツ在住時の思春期に洋楽ロック&ポップスにハマって以来、ポップカルチャーは大好物。5歳から10年間ピアノとバレエ、高校・大学時代はバンドをたしなんだ経験もあいまって「ジャンルに貴賎なし」がモットーの超雑食。恋愛アナリストとしての著書に『その恋、今のままではもったいない!』などがある。

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