「ポケモンGO」のマジックリアル世界に新しい味付け

街を歩くと、スマホ画面にモンスターなどが現れる
街を歩くと、スマホ画面にモンスターなどが現れる
人気スマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」の配信が7月下旬、日本でも始まった。スマホをかざして街を歩けば、画面上にポケットモンスターが現れる。これを「捕獲」しようとする人々が街にあふれる現象が生まれている。テレビゲーム以来、長らくゲームは室内ですることが多かったが、今、人々はゲームをするために街に出る。ポケモンGOはさらに“進化”する可能性があり、今後の動向が見逃せない。

7月22日。この日を境に、街の風景は一変した。スマホを片手に立ち止まる人々、公園にあふれ返る若い男女や子供連れ。瞬く間に社会現象となった。

驚くべきはその波及効果だ。ポケモンGOを長時間楽しむためには、モバイルバッテリーが必須。家電専門店のビックカメラでは日本配信直後の7月22~24日で、売れ行きが前年同期比の6~7倍を記録。いち早く店舗をポケモンの「ジム」などにした日本マクドナルドホールディングスは7月の売上高、客数が大きく伸びた。「20~30代が昔のポケモンを懐かしみ、過去のゲームタイトルも売れ始めている」(ファミ通App編集長の目黒輔氏)という。

公園や史跡がスポットに

ゲームをするために外に出る。それ自体は以前からあった。全地球測位システム(GPS)を使った位置情報ゲーム、いわゆる“位置ゲー”だ。いったい何が違うのか。

ポケモンが出現しやすいといわれ、多くのプレーヤーでにぎわった世田谷公園(東京都世田谷区)
大阪城公園にもプレーヤーが集まった(大阪市中央区)

「これまでの位置ゲーは点と線だった。ポケモンGOは“パラレルワールド”」。アジャイルメディア・ネットワーク取締役CMOの徳力基彦氏は、違いをこう説明する。近所のあちこちの寺院や郵便局が「ポケストップ」になり、都内の世田谷公園や新宿御苑がモンスターの巣になる。「ゲームによってリアルの世界にもう一つの意味を持たせた点が新しい」(徳力氏)

周到に練られた仕掛けでポケモンGOは人々を外へ連れ出すことに成功した。だが、そろそろ「モンスターを捕まえるだけのゲームに飽きてきた」という人も多いのではないだろうか。

交換や対戦、進化の可能性

それもそのはず。ポケモンGOは「ポケットモンスター」本来の楽しみのうちの、まだわずかしか提示していない。まずモンスターの種類が圧倒的に少ない。今出現しているのは「第1世代」のみ。ポケットモンスターのゲーム機版は現時点で第6世代まで発売されており、種類は今後格段に増えるとみられる。

また、ポケモンはもともと、「収集」「育成」「交換」「対戦」の4つの柱で成り立っているゲーム。このうちポケモンGOでは、まず交換が実装されていない。メインは収集と育成で、現状は「図鑑を埋めるゲーム」にとどまっていると言っていい。対戦もあるにはあるが、まだまだ手薄。「ポケモンの一番の醍醐味は、対戦における高い戦略性にある」(「ポケモン徹底攻略」サイト管理人のやっくん氏)。

裏を返せば、楽しさの片鱗(へんりん)しか見せていないにもかかわらず、ここまでの社会現象を巻き起こしているポケモンGO。トレーナー同士がリアルタイムでバトルできるようになったとき、いよいよ本領発揮といえるのだろう。

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どうやる? こうやる?
ボールを投げてポケモンを捕獲する (C)2016 Niantic, Inc./(C)2016 Pokemon. (C)1995-2016 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

●アイテムを集める

公園、史跡、モニュメントなど世界中に点在する「ポケストップ」と呼ばれる場所に実際に行き、必要なアイテムを入手。

●モンスターを捕まえる

ポケストップなどで「モンスターボール」を入手。遭遇したモンスターにボールを当て、捕まえる仕組み。ボールはスマホ画面をスワイプして投げる。逃げられることも多い。

●バトル

同じく点在する「ジム」で、他のプレーヤーが設置したモンスターとバトルができる。3陣営に分かれて、ジムを奪い合う。

●「タマゴ」をふ化

ポケストップからときどき出るモンスターのタマゴを9個まで持てる。ふ化させるには2~10キロ歩かなければならない。

●進化させる

ゲットしたモンスターは、一定数の「アメ」を集めると、さらに強く進化できる。

(「日経トレンディ」10月号の記事を再構成。文・佐藤央明、臼田正彦、森岡大地、宮岸洋明)

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