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真田が伊達政宗を抜く 真田丸が変える歴史グッズ事情 モノから探る「真田丸」(1)

2016/9/23

専門店には戦国グッズがずらりとならぶ(戦国魂 東京スカイツリータウン・ソラマチ店)

近年のNHK大河ドラマとしては異例の高視聴率を記録しているドラマ『真田丸』。その人気が牽引するかたちで、戦国武将ゆかりの観光地や戦国グッズ専門店でも数多くの関連商品が発売。その人気は「歴史好き」以外の人達にも広がっている。つわものの「歴女」と新しいファンとでは、戦国グッズの買い方、選び方も異なるという。

■大人気の『真田丸』、高視聴率をマーク

戦国時代を代表する猛将で、天下人・徳川家康を追い詰めた男、真田信繁を主人公にしたNHK大河ドラマ『真田丸』が好調だ。一般には「真田幸村」の名で知られるが、ドラマの人気を受けて「信繁」の本名が広く浸透するようになった。

主人公の真田信繁役をドラマ『半沢直樹』の堺雅人、脚本を人気脚本家の三谷幸喜が務めるだけあって、放送前から注目されていた今作。第2話で視聴率20.1%。大河ドラマとしては3年ぶりに20%の大台に乗った。その後も17~18%台をマーク。去年の大河ドラマ『花燃ゆ』の平均視聴率が12%だったのに比べて、高水準で推移しているといえる。

注目すべきはBSプレミアムでの視聴率だ。「3%台で健闘、4%台で異例」といわれるBS視聴率だが、7月31日までに放送された30話の平均視聴率は4.5%をマーク。BSは本放送より2時間早い18時からのオンエアであるため、SNSなどでは「早丸」の愛称で呼ばれている。少しでも早く見たいという視聴者の高い期待がこの視聴率を生み出しているのだろう。

こうした人気は、歴史にくわしくない人でも楽しめる、「目線を下げた歴史ドラマ」であることも大きい。戦や事件を追うだけでなく、一人ひとりの登場人物とその人間関係を丹念に、かつコミカルに描いている。親しみやすいキャラクターが繰り広げるユーモラスな作風は、三谷脚本の真骨頂。最近では珍しく、老若男女が楽しめるお茶の間ドラマであり、18時台のBS放送の視聴率が高いのも、夕飯の時間に家族みんなで視聴できることと関係がありそうだ。

歴史にくわしくなくても楽しめる。そんな『真田丸』の特徴はグッズの売れ方にも影響しているという。

■「真田人気」が伊達政宗を抜く

専門店によると、ドラマ『真田丸』の人気は、グッズの売り上げにも波及している。

「以前はゲーム『戦国BASARA』の影響で伊達政宗の関連グッズが不動の売り上げ1位でしたが、今年は『真田丸』の影響で1位が真田幸村、伊達政宗は2位へと売れ筋武将が逆転しました」と言うのは、日本最大級の戦国グッズ専門店であり、東京スカイツリータウンのソラマチにも店舗を構える「戦国魂」の岡島純子さん(通販事業部)だ。

「戦国BASARA」は、プレーヤーが戦国武将たちを操って楽しむゲーム。従来の戦国ゲームに比べ、美形に描かれた武将たちは、これまで戦国ゲームに関心を示さなかった女性たちにもブームを広げ、「歴女」という言葉が生まれるきっかけとなった。伊達政宗は「戦国BASARA」の代表的な人気キャラクターだが、「真田丸」人気は、それを超える勢いだという。

豊富な戦国武将グッズが揃っており、連日お土産を求める観光客で賑わう「戦国魂」の東京スカイツリータウン・ソラマチ店

「真田丸」人気を受けて、戦国魂を訪れる客数も増えている。今まで歴史や戦国武将に特に関心のなかった人も、大河ドラマの影響で興味を示してやってくるという。

岡島さんによると、ゲームやドラマのようなフックがあると、その武将関連グッズの売り上げが大きく伸びるそうだ。「ここ2~3カ月は織田信長のグッズの売り上げが伸びて、真田幸村、伊達政宗に続く3位まで上がりました。今年の6月から公演されている宝塚歌劇『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』の影響があるのではないかと考えています」

「真田グッズは以前から人気はありましたが、今年は特にその勢いを増しています」というのは、ネット通販で戦国武将グッズを販売する戦国ブランド「もののふ」を主宰する田中秀樹さん。今年の真田グッズの売り上げは5割増になったという。「店側としてもこの機会を見逃すまいと、新たに真田グッズのシルバーアクセサリー、ピアス、スマホケースをラインアップに加えました」

戦国魂でも、もののふでも、販売されている真田グッズは文房具類から衣類まで多岐にわたる。真田というと家紋の「六文銭」が有名で、さらに信繁がヨロイを赤く染めた「赤備え」の部隊を率いたことから、赤色がイメージカラーとなっている。そのため、真田グッズは赤を基調に六文銭を配した商品が多数展開している。

では、どんなグッズが人気なのだろう。

■人気は普段づかいできる文房具

戦国魂の岡島さんによれば、「新しいファン、常連客問わずに人気があるのが、メモ帳やクリアファイルなどの文房具類」だという。

これは戦国グッズ全般にもいえることだが、普段使いできる点が支持される理由のようだ。「Tシャツやアクセサリー類も人気がありますが、女性客の売り上げの3割は文房具が占めます。日常的に使用頻度の高いメモ帳を10冊ほどまとめて購入することが多く、人気を得ています。まれに男性もメモ帳をまとめ買いしていく方はいますが、文房具の大量購入は女性によく見られる傾向にありますね」。

「真田幸村プレミアム一筆箋」。金の六文銭に彩られた、戦国魂オリジナル

真田関連の文房具でいえば、真田丸をテーマにした印鑑ケースやボールペンを始め、六文銭が描かれた一筆箋、日本刀をかたどった鉛筆など、新しい商品も登場して注目を集めている。

刀をモチーフにした「日本刀鉛筆 真田幸村」。長い方は黒芯、短い方は赤芯

もののふの田中さんが一押しするのが、現代人に欠かせないスマートフォン(スマホ)の関連グッズだ。「情報化社会の現代におけるスマートフォンは、昔の武士にとっての刀のようなもの。その刀を収めるサヤという解釈で企画した」というスマホケース。サイズは290×185mmに厚さが55mm、9月16日に発売されたiPhone7も収めることができる。こだわり深い完成度の高さもあり、売り上げは堅調だという。

「すまほぶくろ・不惜身命パッケージ」。真田信繁ゆかりの地である和歌山県の職人によって、牛革を丁寧に縫い付けたスマホケースだ
重さ約66g、96×62cmとコンパクトな「戦国×モバイルバッテリーカード」。4時間分の充電が可能だという

戦国魂、もののふとも、ドラマ人気にあわせて、商品のラインアップを増やしているが、人気なのは日常生活に取り入れやすい商品たち。普段の生活に戦国グッズを取り入れて楽しんでいる姿がうかがえる。

■初心者は他の武将も一緒に購入

岡島さんによれば、ドラマを見て戦国武将に興味を抱いた新規ファンと、以前から武将好きだった常連客とでは、グッズの買い方が異なるという。

「初めてオンラインショップを利用するお客さんは真田グッズだけを購入するのではなく、他の武将グッズも合わせて10点程度購入されます。一方、真田ファンの常連さんは真田グッズをずっと購入してきているので、新作が出ればそれをピンポイントで購入するという買い方になります」(岡島さん)

岡島さんによれば、「真田丸」がきっかけとなり、他の武将グッズの売り上げも好調だという。「『真田丸』の人気を受けて、真田信繁だけでなく戦国時代や戦国武将全体に関心を抱く人が増えたというのは、歴史に携わる人間としてうれしいことです」

以上、専門店の人気商品を調べてみたが、ドラマの舞台となった都市ではどんなグッズが人気になっているのだろうか。次回は幸村信繁の父・昌幸が築城した上田城がある長野県上田市、関ケ原の戦いの舞台となった岐阜県不破郡関ヶ原町を訪ねてみる。

(文/二川智南美・仲田佳恵=かみゆ)

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