見えない球を追え、体を張った攻防戦 ゴールボール

ゴールボール女子日本代表の安達阿記子選手
ゴールボール女子日本代表の安達阿記子選手

ゴールボールは視覚障害者が3人1組のチームとなり、ボールを転がして得点を競う球技だ。リオデジャネイロ・パラリンピックで2連覇を狙った女子日本代表は準々決勝で中国に敗れたが、若手の活躍も見られ、2020年の東京パラリンピックに向けた手ごたえも感じられた。4年後の日本代表の飛躍を期待しながら、ゴールボールの基本ルールや見どころを押さえてみよう。

ゴールボールは第2次世界大戦中、視覚に傷害を受けた軍人のリハビリ目的で考案され、1976年のトロント大会からパラリンピックの正式種目になった。国際大会では視力に障害がある選手のみが出場するが、国内大会は晴眼者も出場できる。

コートでゴム製のボールを転がし、相手ゴールに入れば1得点。オフェンスチームが転がしたボールをディフェンスチームの3人は体を使って防ぐ。これを交互に行い、前後半各12分の合計点を競う。

「鈴の音」に集中

プレーヤーはスキー用ゴーグルのような形状のアイシェード(目隠し)をつけ、完全に目が見えない状況で競技する。試合中、プレーヤーがアイシェードに手をかけると反則になる。ボールには鈴が入っており、鈴の音を頼りにボールの位置を把握する。プレー中は選手、コーチともに声を発することが制限されているため、鈴の音や足音を聴きながら、ボールの軌跡や相手の動きを読む集中力が求められる。

ボールの重さは1.25キログラム。大きさはバスケットボールとほぼ同じだ。コートのサイズはバレーボールと同じ18メートル×9メートル。ラインテープには触れて確認できるように、たこひもを入れてある。ゴールの高さは1.3メートル。幅は9メートルだ。

ボールを転がすといっても、そのスピードは速い。オフェンスチームの投球者の手を離れてからディフェンス側のゴールに届くのに、男子ならば約0.5秒、女子でも約0.8秒といわれるから、片時も気が抜けない。ディフェンスは体を投げ出しながらボールを止めてゴールを守る。

日本ゴールボール協会の増田徹理事

日本ゴールボール協会の増田徹理事はリオ大会の結果を受け止めながら「世界各国のチームが日本を研究して、かなり強くなってきている」と実感したという。そのうえで「今後も日本は守備が要。パーフェクトディフェンスを目指すべきだ」と強調する。女子日本代表は3人のプレーヤーのうち、センターだけが前に出て、サイドが下がって守る三角形のフォーメーションだったが、サイドの選手も前に出て守備をする形にして守備力を強化してきた。だが、リオ大会では中国の投球力が日本の守備を上回った。強力なショットで攻められ、序盤のリードを守れなかった。

バウンドボールの脅威

「かなり中国のヘッドコーチは戦術を練ってきていた。バウンドボールが日本にきくと判断し、センターとウィングの選手の間のコースをうまく狙ってきていた」2004年のアテネ大会で監督を務め、銅メダルに導いた経験もある増田理事はこう指摘する。

パワーがある外国人選手はボールを強く弾ませるバウンドボールによって、守備側の体を乗り上げてゴールを狙ってくる。バウンドボールはボール到着のタイミングが変わるため、キャッチが難しくなる。さらにプレーヤー間の低くなった場所を乗り越えやすいため、ディフェンス側には脅威だ。これにどう対処するのかが今後の課題だろう。

東京大会に向けて、女子日本代表は王座復帰が目標になる。それには欠端瑛子選手ら若手の成長が不可欠だ。増田理事は欠端選手について「リオ大会ではコースをしっかり狙えていた。これが東京大会に向けて大きな自信につながるだろう」と期待する。リオ大会の中国戦は延長戦の末に敗れたが、欠端選手、安達阿記子選手が得点源になって、試合の主導権を握る場面が見られた。4年後につながる手掛かりもあったはずだ。

増田理事は東京都多摩障害者スポーツセンターに勤務する上級障害者スポーツ指導員でもある。今後、ゴールボールの人気が高まり、センターの利用者が増えることを願っているという。日本の競技人口は1992年にわずか4~5人だったが、現在は約100人に増えている。ゴールボールが4年後の東京パラリンピックを盛り上げる注目競技になる可能性は十分だ。

(ライター 広川淳哉)

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