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海外ETFなら1銘柄で世界に分散投資 ETF最前線(4)

2016/9/20

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 米国株が上昇していると聞き、米国の株式や債券への投資を考えています。どのような商品の選択肢があるのでしょうか。

 ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は過去20年間で3倍以上に上昇した。日経平均株価が同期間に10%以上下落したのと対照的だ。米利上げ観測も根強く、円安・ドル高を見越して米国への投資を検討する投資家も多いだろう。

 米国の株式などに投資する方法は主に3つある。投資信託、東証に上場する外国籍上場投資信託(ETF)、そして海外市場に上場するETFの購入だ。

 その米市場ではETFが急成長している。2000年に1000億ドルに満たなかった運用額が、15年末には2.1兆ドル超に膨らんだ。特にリーマン・ショック以降の成長が著しい。

 理由の一つは運用コストの低さだ。モーニングスターによると米国の総経費率(資産残高に対する信託報酬や管理費用などの割合)はETFが年平均0.55%。指数連動型の投信(0.85%)やアクティブ投信(1.2%)に比べて低い。

 手軽に分散投資できる点も人気の理由だ。「金融危機の教訓から、より多様な資産への分散志向が強まった」(ブラックロック・ジャパンの新井洋子氏)。例えば「iシェアーズMSCI ACWI」は先進国と新興国の株式1300銘柄、「iシェアーズ・コア米国総合債券市場」は5700超の米国の投資適格債を組み入れる。

 日本から一部証券会社を通じて購入できる海外上場ETFは現在300銘柄前後。東証上場の外国籍ETFよりも圧倒的に多い。国内上場には少ない米国株の業種別指数に投資する銘柄や商品関連も豊富だ。

 売買代金にも大きな差がある。例えば、S&P500指数を連動対象にする「SPDR S&P500ETF(SPY)」。資産残高が約2000億ドルと世界最大のETFだ。この銘柄は日米両市場に上場するが、違いは流動性だ。SPYの東証での1日当たり売買代金は3000万円程度だが、米市場では同約200億ドルに達する。米市場の取引時間内であれば、リアルタイムで売買できる。

 海外ETFの注意点は投信に比べて販売手数料や為替手数料などがかかる点だ。ただ、手数料引き下げの動きもあり、SBI証券は8月から購入時の手数料を約定代金の0.45%(最低5ドル)に引き下げ、マネックス証券と並ぶ業界最低水準を打ち出した。

 保有コストはやはり投信に比べて低い。例えば保有コストが年0.18%、購入時の為替手数料が1ドルあたり25銭、取引手数料が約定代金の0.45%の海外ETFを46万円購入した場合と、保有コストが年0.42%の国内投信を購入した場合を比べると、運用成績が同じなら5年超でETFの方が有利になる。

 米国上場のETFの場合米国で分配金に10%課税された後、日本国内で約20%課税される。NISA口座以外で購入した場合は、確定申告すれば、外国税額控除の適用を受けられる。

[日本経済新聞朝刊2016年9月14日付]

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